2021-02-12
家計を支えているご家族が亡くなられてしまった時に遺されたご家族が金銭的な援助を受けられる年金制度が「遺族基礎年金」になります。遺族基礎年金は遺されたご家族にとって大変助かる制度ではありますが、受給要件や必要な書類が分かりづらい面があります。
そこで今回は、遺族年金の1つである遺族基礎年金を受給できる条件や申請の期限などについてご紹介します。
遺族年金は、家計を支えられていた国民保険もしくは厚生年金保険などの被保険者が亡くなられた場合に、ご遺族が受け取ることができる年金になります。
ただし一口に「遺族年金」といっても実際には何種類かあり、それぞれ申請をする管轄が異なるだけでなく、必要な手続きも異なることもあります。あらかじめ遺族年金の手続きに関する情報を集めておけば比較的スムーズに手続きを進めることができますので、事前にしっかり確認しておきましょう。
遺族基礎年金は、国民年金の加入者または老齢基礎年金の資格期間を満たしていた方が亡くなられた場合にご遺族の生活の安定を図るために支給されます。自営業や自由業者などのように事業所に勤務する従業員以外の方が主になります。
遺族基礎年金の申請先は「住所地の市町村役場の担当窓口」または「年金事務所または年金相談センターの窓口」、申請の時効期間は「5年」です。
遺族基礎年金の受給要件は、亡くなられた方とご遺族に細かな条件がありますので、注意しましょう。
・亡くなられた方に関する条件(被保険者等要件):以下の4つのいずれかに該当する
1)被保険者であること ※1
2)亡くなられた方が、死亡日に日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満 ※2
3)老齢基礎年金の受給権者
4)老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている者
※1 死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間があるときは、その被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が、その被保険者期間の3分の2以上であること。
※2 令和8年4月1日前である場合は死亡日に65歳未満であれば、「被保険者期間の3分の2以上」を満たしていなくても、死亡日の属する月の前々月までの1年間に保険料納付済期間と保険料免除期間以外の被保険者期間がない(未納期間がない)場合には、保険料納付要件(※3)を満たしたこととされます(2021年2月現在)。
※3 死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が全体の2/3以上あることが必要です。ただし、令和8年4月1日前に死亡した場合は、この要件を満たさなくても死亡日の属する月の前々月までの1年間に保険料未納期間がなければ該当します。
・ご遺族に関する条件
1)被保険者が亡くなられた時、死亡者によって生計を維持していた配偶者または子で一定の要件を満たすこと
2)配偶者(※1)の場合は、子と生計を同じくしていること
3)子(※2)の場合は、18歳到達年度の末日を過ぎていない子または20歳未満の1級または2級に該当する障害の程度の状態にあること(ただし、現に婚姻をしていない)
※1 婚姻の届出をしていない事実婚姻関係と同様の事情にある配偶者を含みます。
※2 亡くなられた方の実子、または届出がされている養子であることが必要になります。
遺族基礎年金の支給開始時期は、死亡日の翌月からになります。ただし、遺族基礎年金は国民年金の加入者が亡くなられると自動的にご遺族が受け取れるものではなく、ご遺族側が請求をしなければ受給ができません。
そのため、必要書類を集めるのに手間取ってしまうと、それだけ支給が遅くなってしまいます。また、市町村役場の担当窓口に提出できても、そこから審査が入りますのでその期間も待たなければいけません(審査には大体3,4カ月かかってしまいます)。その後、審査で支給に問題が無いことが分かれば、死亡日の翌月から蓄積された年金を受け取ることができます。
遺族基礎年金の申請手続きを行うにあたって様々な書類を用意しなければいけません。書類に不備があると受給できるまでの期間が延びてしまいますので、事前に必要書類を確認しておきましょう。
・年金請求書
・年金手帳
・戸籍謄本:受給権が発生して以降、6か月以内に発行されたものが必要です。
・住民票の写し(世帯全員分):住民票コードが記載されており、個人番号が記載されていないものが必要です。
・故人の住民票の除票
・収入が確認できる書類:年金請求者と子の2種類の所得証明書などの書類が必要で、子どもに収入がない場合は学生証などが必要です。
・自治体に提出した死亡証明書
・受取先金融機関の通帳等
・印鑑
・第三者行為事故状況届
・交通事故証明または事故が確認できる書類
・確認書
・被害者が扶養していたことがわかる書類:健康保険証の写し・源泉徴収票・学生証の写しなどが該当します。
・損害賠償金の算定書:すでに損害賠償が決定している場合に必要です。示談額がわかるものを用意しましょう。
・年金加入期間確認通知書:死亡者が共済組合に加入されていた期間がある場合
・年金証書:他の公的年金から年金を受けている場合
・合算対象期間が確認できる書類:状況により異なる
遺族年金の受給条件や手続きに必要な書類については、遺族年金の種類によって異なりますので事前にしっかり準備を整えるようにしましょう。なお、社会労務士に代理手続きを依頼するのもよいでしょう。費用はかかってしまいますが、専門家による確実な仕事が期待できるので安心して任せられるでしょう。
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