2020-12-18
四十九日法要を執り行ったら、ご葬儀などでお世話になった方々にご葬儀へのご会葬のお礼と無事忌明けを迎えることができたことを報告するためにお礼(香典返し)と共に挨拶状をお送りします。これを「忌明けの挨拶状」と言います。この忌明けの挨拶状ですが、あまりなじみがないため、どのように書けばよいのか分からない方も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は、失礼のないように忌明けの挨拶状のマナーや書き方についてご紹介します。
仏教では、人が亡くなられてから49日間を「中陰(ちゅういん)」と言います。この期間は、閻魔大王をはじめとする十王による裁きが7日ごとに行われ、最後の裁きとなる49日目に故人様の霊が極楽浄土に行けるかが決まるとされています。
最後の裁きとなる49日目は「四十九日(しじゅうくにち)」「満中陰(まんちゅういん)」と言い、この日を迎えることを「忌明け」と呼んでいます。
忌明けとなる日には、ご家族やご親族などが集まって「四十九日法要(満中陰法要)」を執り行いますが、この日以降なるべく早急にご葬儀にご会葬いただいた方や香典・供花・供物をいただいた方に、ご葬儀へのご会葬のお礼と無事忌明けを迎えることができたことを報告するために、お礼(香典返し)と共に忌明けの挨拶状をお送りします。
忌明けの挨拶状を書く際にはいくつかの注意する点があります。ご葬儀にご会葬いただいた方や香典・供花・供物をいただいた方に失礼のないように、忌明けの挨拶状を書く上での注意点を見ていきましょう。
忌明けの挨拶状では、「、」や「。」などの句読点を使わないようにしましょう。
句読点を使わない理由としては、ご葬儀が法事・法要が「滞りなく、問題なく執り行うことができた」ことを示すために文章が切れる句読点を付けないという説やかつての書状では句読点を付けなかったために「お礼状や挨拶状などの正式なルール」として伝わったという説などがあります。
季節の挨拶を使う必要はありませんので、使用は避けるようにしましょう。
「忌み言葉」とは、「死に対する直接的な言葉」や「重ね言葉」を指し、不幸が繰り返す・重なることを連想させてしまうため使わないようにしましょう。
【重ねことば】
重ね重ね(かさねがさね)/益々(ますます)/度々(たびたび)/重々(じゅうじゅう)/次々(つぎつぎ)/再三(さいさん)/いよいよ/くれぐれも/かえすがえす など
【繰り返しが連想されることば】
続く/引き続き/再び/再々/次に/なお/また/追って/追いかける など
【直接的な表現】
死亡/逝去/死ぬ/生きる/存命中/自殺 など
【不吉な表現】
浮かばれない/大変なことになる/消える など
【宗教・宗派で使っていけない言葉は避ける】
・神式やキリスト教式の場合……成仏/供養/往生などの仏式の表現
・浄土真宗の場合……霊前/冥福など
ご葬儀にご会葬いただいた方や香典・供花・供物をいただいた方に失礼のないように、正しい敬語を使いましょう。例えば、「逝去(せいきょ)」は身内以外の方が亡くなられた時に使いますので、身内の方が亡くなられた場合は「死去(しきょ)」を使うのが正しいマナーになります。
忌明けの挨拶状の内容は、宗教によって異なりますが一般的な内容としては、
・ご葬儀へのご会葬や香典・供花・供物へのお礼
・四十九日法要(満中陰法要)を無事に執り行ったこと
・香典返しをお贈りしたこと
・直接挨拶にお伺いせず、挨拶状という略儀で済ませることに対するお詫び
・日付
・差出人の氏名
となります。
以下では、各宗教ごとの挨拶状の文例をまとめましたのでご参照ください。
謹啓
先般 亡父 ○○○○(俗名)儀 葬儀に際しましてはご多忙の中にもかかわらずご会葬を賜り、またご鄭重なるご厚志を賜り心より厚くお礼申し上げます
お蔭をもちまして ○○○○(戒名)の四十九日法要を滞りなく営み忌明けを迎えることができました
つきましては供養の印に心ばかりの品をお送りいたしますのでご受納いただければ幸いです
本来であれば拝眉の上お礼申し上げるべきところですが略儀ながら書中をもちましてお礼のご挨拶とさせていただきます
敬白
令和○○年○月○日
住所 ○○○○
喪主 ○○○○
親族一同
神道の場合、忌明けは「五十日祭」で迎えることになります。そのため、挨拶状やお礼(香典返し)をお贈りするのも「五十日祭」以降になります。
謹啓
先般 亡父 ○○○○儀 帰幽の節はご多用の中ご臨席賜りまた御懇篤なる御弔慰とご鄭重なる御玉串料を賜り誠に有り難く 衷心より厚く御礼申し上げます
お陰をもちまして五十日祭も滞りなく済ませることができました
本来なら早速拝趨の上お礼申し上げるべきところではございますが略儀ながら書中を持ちましてご挨拶を申し上げます
敬白
令和○○年○○月
偲び草のしるしとして心ばかりの品をお送りしますのでご受納いただければ幸いです
住所 ○○○○
氏名 ○○○○
カトリックでは、故人様の死後30日目に「追悼ミサ」が執り行われます。挨拶状やお礼(香典返し)に関しては、追悼ミサ以降に行います。
謹啓
過日 亡父 ○○○○(洗礼名・俗名) 帰天の際はご多用中ご臨席賜りまたご鄭重な御花料を賜り 厚くお礼申し上げます
お蔭をもちまして 追悼ミサも滞りなく済ませることができました
つきましては忍草のしるしに心ばかりの品をお送りいたしますのでご受納いただければ幸いです
本来ならお目にかかりお礼申し上げるべきところ書中にて失礼とは存じますが ご挨拶とさせていただきます
敬白
令和○○年○○月
住所 ○○○○
氏名 ○○○○
プロテスタントでは、故人様の死後1カ月後の「昇天記念日」に集会が執り行われます。挨拶状やお礼(香典返し)に関しては、「昇天記念日」の集会以降に行います。
謹啓
先般 亡父 ○○○○(洗礼名・俗名) 召天の際はご多用中ご臨席賜りかつご鄭重な御花料を賜り 厚くお礼申し上げます
お蔭をもちまして 召天記念日も滞りなく済ませることができました
つきましては忍草のしるしに心ばかりの品をお送りいたしますのでご受納いただければ幸いです
本来ならお目にかかりお礼申し上げるべきところ書中にて失礼とは存じますが ご挨拶とさせていただきます
敬白
令和○○年○○月
住所 ○○○○
氏名 ○○○○
謹啓
先般 亡父 ○○○○ 永眠に際しましてはご多用中にもかかわらずご臨席賜り またご鄭重な御厚志を賜り厚くお礼申し上げます
お蔭をもちまして 諸事万端滞りなく済ませることができました
つきましては心ばかりの品をお送りいたしますのでご受納いただければ幸いです
本来ならお目にかかりお礼申し上げるべきところ書中にて失礼とは存じますが ご挨拶とさせていただきます
敬白
令和○○年○○月
住所 ○○○○
氏名 ○○○○
挨拶状の書き方に関しては、普段あまりなじみがないために難しいと思われる方も多いと思います。しかし、お忙しい中でご葬儀にご会葬いただいた方や香典・供花・供物をいただいた方に失礼がないように、マナーを守った上でお送りするようにしましょう。
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