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2020-11-20

お墓の移転・撤去はどうすればいいの?改葬を執り行う際の手続きや流れ

近年、「実家のお墓が遠くてお墓参りが大変」「親族のお墓が複数あるため1つにまとめたい」などの理由から、お墓を今ある場所から他の場所に移して供養する「改葬」をされたいというご相談を受けることが増えてきました。「改葬」という言葉自体あまり馴染みのないものですから、ご不安なことも多いと思います

そこで今回は、お墓の改葬の手順や必要な手続き、注意点などについてご紹介します。

改葬とは

「改葬」とは、お墓に納められているご遺骨を取り出し、他の墓地や納骨堂などに新たにご遺骨を移動させることを意味し、簡単に言うと「お墓の引っ越し」となります。

近年では、改葬が執り行われる件数が増加傾向にあり、厚生労働省が出している『衛生行政報告例』によると、ここ数年では毎年約8万件以上実施をされているとの報告がなされており、年々増加傾向にあることが分かります。

改葬を執り行う理由はいくつかあります。転居などによる引っ越しによってお墓へのアクセスが悪くなってしまいお墓参りが難しくなってしまったので引っ越し先の近隣の墓地に改葬をされたり、お墓の管理をされる後継者がいないために高齢でも管理がしやすいご自宅の近くに改葬されるなどが挙げられます。

お墓の改葬に必要な書類

お墓の改葬を執り行う際に必要になる書類は以下のようになります。

必要書類 発行元
・墓地使用許可証(永代使用許可証)
・受入証明書
新しい墓地・霊園
・埋葬証明書 現在の墓地・霊園
・改葬許可申請書
・改葬許可証
お墓がある自治体の市町村役所
・改葬承諾書
※墓地使用者(承継者)と改葬許可申請者が異なる場合
既存墓地の使用者(承継者)

お墓を改葬する際の手順

お墓のお引っ越しと言える改葬には、多くの手続きが必要になります。実際に改葬を執り行う上で事前にその手順や流れを理解しておくと、スムーズに進めていくことができます。以下で、改葬を執り行う際の手続きと流れについてまとめましたので、ご参照ください。

1.ご親族や寺院と話し合う

お墓の改葬を執り行う場合、まずはご親族やこれまで供養を行ってくださった寺院と改葬に関して話し合う場を設けましょう。

代々受け継がれてきたお墓には、ご自身だけでなくご親族や寺院など多くの方が関わられています。そのため、たとえご自身がお墓の承継者であったとしても、どなたに相談されることなく改葬を執り行ってしまうとトラブルになってしまう可能性があります。

ご親族や寺院と話し合いを行う際の内容としては以下が中心となるでしょう。

・改葬を執り行う理由
・古いご遺骨の供養はどうするのか
・どのような場所に改葬をしようと考えているのか
・檀家を離れることについて

2.改葬先を決めて「受入証明書」を発行していただく

ご親族や寺院と話し合って改葬の理解を得られたら、改葬先を決めましょう。改葬先が決まっていないとご遺骨を取り出すことができません。改葬先が決まったら、改葬先の墓地管理者に「受入証明書」を発行してもらいましょう。

3.役所で「改葬許可申請書」をもらう

現在お墓がある市町村の役所で「改葬許可申請書」をもらいましょう(手数料がかかることがあります)。

4.現在の墓地管理者に「埋葬証明書」を発行していただく

改葬先が決まったら、現在の墓地管理者に正式に改葬の申し出をし、改葬を正式に承諾していただいたら、墓地管理者の署名捺印がされた「埋葬証明書」を発行してもらいます。この際、これまで先祖代々のご遺骨を預かっていただいたことへの感謝の気持ちをお伝えしましょう。

5.役所に「改葬許可証」を発行していただく

先にとりあげた「受入証明書」「改葬許可申請書」「埋葬証明書」の3点が揃ったら、現在お墓がある市町村の役所にこれらを提出し、「改葬許可証」を発行してもらいます。「改葬許可証」は、ご遺骨を移動させた後に改葬先の霊園や納骨堂の管理者に提出する大切な書類ですので、それまで失くさないように保管しておきましょう。

なお、既存墓地の使用者(承継者)の代理として申請をする場合は、既存墓地の使用者(承継者)の「改葬承諾書」が必要になりますので注意しましょう。

6.ご遺骨を取り出して、「魂抜き」を執り行う

現在のお墓がある市町村の役所で「改葬許可証」が発行されたら、ご遺骨の移動をすることになります。改葬に入る前にはまず「魂抜き」を執り行わなければいけません。

「魂抜き」は、閉眼供養・遷仏法要とも呼ばれ、司式者を招いて墓石に宿る故人様やご先祖様の魂に離れていただき、墓石を「参拝対象」から単なる「モノ」に戻す儀式になります。

7.改葬先に納骨をし、「魂入れ」を執り行う

最後に、宗派のやり方や会葬先の規則に則って、新たなお墓に納骨します。その際、ご遺骨を取り出した時とは逆に「魂入れ」を執り行います。

「魂入れ」は、開眼供養・入仏法要などとも呼ばれ、司式者を招いて魂抜きの逆に新しい墓石に故人様やご先祖様の魂を入れていただくことで、単なる「モノ」が「参拝対象」となる儀式になります。

なお、新しいお墓ができておらず、すぐに納骨を行えない場合は、新しいお墓ができるまでの間、ご遺骨をご自宅の仏間などで安置することになります。

改葬を検討する上での注意点

改葬を執り行う際、様々な関係者の事情やお気持ちからトラブルが起こることが多々あります。トラブルを防ぐためにも事前にどのような内容があるのか理解しておくとよいでしょう。

ご家族・ご親族とのトラブル

墓地の使用権や大切なお墓に対するご家族・ご親族の思いからトラブルが起こることがあります。先にもとりあげましたが、改葬を執り行う際は、事前にご家族・ご親族としっかりと話し合う場を設けて理解を得てから執り行うようにしましょう。

寺院とのトラブル

ごく一部ではありますが、改葬に伴う離檀(お寺からお墓を移転・撤去して檀家を離れること)の際に、高額な離檀料を請求されるというトラブルが起こることがあります。また、お墓の基礎部分が他のお家のお墓と繋がっている「連結墓地」の場合、改葬工事が高額になったり、ご親族とのトラブルに発展することもありますので注意が必要です。

まとめ

今回ご紹介したように、実際に改葬を執り行うとなると、通常の埋葬より多くの手続きが必要になります。トラブルを防止し、関係者が満足のいく改葬を執り行うためにも、事前に手続きや流れを理解しておくことがとても重要になります。


記事の制作・編集
セレモニーコラム編集部

60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。


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