2020-10-23
ご自宅にお仏壇をお持ちの方が気になるのが、引っ越しなどに際してお仏壇を動かすことではないでしょうか。「お仏壇をそのまま動かして大丈夫なのか?」「事前に準備しておくことはあるのか?」「お仏壇の移動は日取りを選んだ方がいいの?」といった疑問や不安を抱えている方も少なくないと思います。
そこで今回は、故人様・ご先祖様を思う気持ちを大切にしつつ、不安なく行えるように、引っ越しなどの際のお仏壇の移動方法や日取りなどについてご紹介します。
故人様やご先祖様を祀っているお仏壇ですが、引っ越しなどの際に事前に行う準備があります。お仏壇を引っ越しなどで移動させる際の準備としては、以下のようになります。
・お仏壇のサイズを測って、移動先に問題なく入るかどうかを確認しておく
お仏壇はとても大きいため、お仏壇を移動させる際のルート上にある玄関やドア、階段、エレベーターなどの幅・高さを確認しておきましょう。
・お仏壇の配置場所を決めておく
新居などの移動先のどこにお仏壇を置くのかも、事前に決めておきましょう。引っ越しなどの最中はバタバタすることが多く、大きな家具・家電などは事前に配置場所を決めておかないと、全ての荷物を移動させ終えた後に改めてお仏壇を配置し直すということが起こってしまいます。
・仏具を外す前に、お仏壇全体を撮影しておく
お仏壇には細かい仏具が供えられています。どの仏具がどこに配置されていたのかを記録として残しておくと、改めて仏具を配置する時に悩まれずにすみます。
・供養を執り行う
お仏壇を引っ越しなどで移動させる際は、「魂抜き」「閉眼法要」「遷仏法要」などと呼ばれる供養を執り行う必要があります。これらの呼び方や方法は宗派によって異なりますが、お仏壇の移動はこれらの供養を執り行わなければいけません。
先述しましたが、お仏壇を移動させる際はその前後で執り行わなければいけない供養があります。
供養を執り行う場所 | 執り行う供養 |
---|---|
旧居 | 魂抜き/閉眼供養/遷仏法要 |
新居・移動先 | 魂入れ/開眼供養/入佛法要 |
旧居で執り行う「魂抜き(閉眼供養や遷仏法要とも言う)」は、お仏壇の中に祀られている故人様・ご先祖様の魂をお仏壇から抜くことで、お仏壇を「参拝対象」から「モノ」とするための供養になります。魂抜きは引っ越し前にも執り行うことができますので、供養していただく日程や準備しておくものも事前に相談しておきましょう。
一方の「魂入れ(閉眼供養や遷仏法要とも言う)」は、故人様・ご先祖様の魂をお仏壇に入れることで、お仏壇を「モノ」から「参拝対象」にするための供養になります。
引っ越しなどの1ヵ月前から終えた後までの供養の流れを以下でまとめましたのでご参照ください。
1ヵ月前 | 菩提寺などの司式者に魂抜きの依頼を行う |
1週間前~前日 | 司式者に魂抜きを執り行っていただく |
お仏壇の移動後 | 司式者に魂入れを執り行っていただく |
なお、お仏壇を移動する際に執り行う供養の細かい作法に関しては、宗派によって異なりますので注意が必要です。ご心配な方は事前に菩提寺や供養を執り行っていただく司式者に確認しておきましょう。
お仏壇を移動する際に執り行う供養は、以下のような場合は供養が不要になります。
引っ越しなどのように家を替える際にはお仏壇の供養が必要になりますが、同じ家屋内で別の場所にする場合であれば、一般的に供養を執り行う必要はないとされています。ただし、宗派によってはお仏壇を祀る場所を替えたら供養が必要になることもありますので、ご心配な方は事前に菩提寺などに確認しておくとよいでしょう。
浄土真宗では、「お仏壇に魂を入れる」という考え方はないため、お仏壇の移動時はもちろん、お仏壇を処分される際も供養は行いません。
お仏壇を引っ越しなどで移動させる方法は、主に「ご自身やご家族で移動する方法」「仏壇・仏具の専門店に依頼して移動する方法」「引っ越し業者に依頼して移動する方法」の3つがあります。以下でそれぞれの方法によって異なる注意するポイントについてまとめましたのでご参照ください。
お仏壇の移動をご自身やご家族で行う場合に気を付けたいのが、お仏壇を破損させてしまうことです。そのため、お仏壇を移動させる際はしっかりと固定をした上で運ぶようにします。
また、お仏壇に納められている仏具ごとに適した梱包の仕方がありますので注意しましょう。
仏壇・仏具の専門店では、専門知識を持ったスタッフが対応してくださることもあります。費用は少々割高になってしまうことが想定されますが、宗派の作法に沿ったかたちで対応してもらえるので、梱包から設置まで安心してお任せできます。
お仏壇は言うまでもなく高価な上、デリケートなため、丁寧に移動させなくてはいけません。しかし、お仏壇の運送に不慣れな引っ越し業者に依頼してしまうと、トラブルになったり、通常とは異なる対応によって割高な請求をされることもあります。そのため、仏壇の運送になれた業者を選んでお願いするようにしましょう。
お仏壇を移動する日取りを決めるにあたって気にしなければいけないのが、「六曜」になります。六曜とは、暦の上で運勢や吉凶を占う方法で、「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」の6つであり、カレンダーで見たことがある方は多いと思います。
それらの中で最も適した日取りが「大安」で、あまり適さないとされているのが「仏滅」になります。
大安はお仏壇の移動に限らず、引っ越しにもふさわしい日とされています。お仏壇だけを移動させるのは大変ですので、その他の移動と合わせて一気に大安に運んでしまうのがよいでしょう。
なお、ご家族やご親族が日取りを気にしないということであれば、日取りについて考える必要はありませんが、1人でも日取りを気にされる方がいらっしゃるようでしたら、六曜の考え方で日取りを決めておくのが無難です。
お仏壇や仏具の扱いはとても複雑で専門性が求められます。そのため、ご自身やご家族でお仏壇を移動させる場合はお仏壇を破損させないように細心の注意を払いつつ、故人様・ご先祖様を大事にする気持ちを大切にしながら移動させましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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