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2023-04-21

ご葬儀で行う合掌の意味とは?合掌の意味をはじめ、由来や正しい作法について

ご葬儀に参列した際や法事・法要の際は、数珠を手に持って「合掌」し、故人様を偲ぶことになります。ご葬儀で当然のように行っている合掌ですが、その意味や正しいやり方は意外と知らない方も多いのではないでしょうか。今回は、合掌の意味や由来、合掌・礼拝の正しい作法についてご紹介しますので、お悩みの方はぜひ参考にしてみてください。

合掌とは

合掌は、両手の掌を合わせる行為です。両手を合わせる動作は、祈りを意味するとされています。仏教においては、人間と仏様がひとつになって成仏を願う気持ちを表現しています。

合掌は小さな頃からしていたはずですから、日本発祥かと思う方も多いかもしれません。ところが、合掌はインドが発祥の所作とされています。

合掌、仏教発祥の地であるインドで生まれ、日本には仏教伝来とともに伝わってきました。合掌はサンスクリット語の「アンジャリ(añjali)」を訳した言葉で、インドでは敬意を表す所作の一種です。その所作が仏教に取り入れられ、伝来とともに日本でも広まっていくようになりました。

合掌の所作は、インドの考え方と関係性が深いです。インドでは右手が清浄、左手が不浄と、左右の手で違う意味を持っています。仏教では、正常なものを持つ右手が仏様の世界(極楽浄土)、不浄なものを持つ左手が現世(衆生:しゅじょう)と意味付けられています。

また、仏教において合掌することは、相手への尊敬や敬意を表すこととほぼ同義です。たとえば、仏教が伝わったアジア諸国では、人とすれ違う際や別れる際の挨拶で両手を合わせることがあります。「あなたのことを大切に思っています」「敬意を払っています」ということを合掌という所作で表しているのです。

ご葬儀で行われる合掌の意味

ご葬儀で行われる合掌には、故人様の成仏を願うといった意味が込められています。ご葬儀は、故人様が極楽浄土に行けるように送り出すための「葬送儀礼」であると同時に、故人様が現世との区切りをつけるための儀式でもあります。そのため、仏様の世界(右手)と現世(左手)を合わせて、故人様の成仏をお祈りするのです。

また合掌には、煩悩の中でも特に人を毒するとされている「三毒(さんどく)」を洗い清めるといった意味も込められています。「三毒」とは、腹立ちを意味する「瞋恚(しんに)」、人の業といわれる「貪欲(どんよく)」、「愚痴」の3つです。つまり、ご葬儀における合掌は、故人様の心身を清めて仏様の世界(極楽浄土)に導いていただくことを願う作法ということになります。

神道のご葬儀で合掌する?

神道のご葬儀では合掌をせず、拍手(しのび手)を打ちます。拍手とは、音を出して両掌を合わせる所作ですが、ご葬儀では音をたてずに拍手を打ちます。神社を参拝するときに行う「二礼二拍手一礼」の「二拍手」も柏手に該当します。

キリスト教のご葬儀で合掌する?

キリスト教のご葬儀でも合掌はしませんが、神に祈りを捧げるためのポーズはあります。両手の指を交互に組み、顔の近くまで持っていく動作です。これは主に、「神へ祈りを捧げる」「現世での行いに関する救いを求める」といった意味を持っています。

ご葬儀での合掌の正しい作法

ご葬儀における合掌には正しい作法があります。以下で礼拝の流れとともに合掌の正しい作法をまとめました。

1.両手をみぞおちの前あたりで合わせる(手の角度は45度程度に保つ)

2.親指と人差し指の間に数珠を手にかけて軽く押さえる

3.宗派に沿った念仏を唱えて上体を前に45度程度傾けて一礼する

4.上体を起こして合掌をとく

ご葬儀の場では、ほとんどの場合数珠を持ちながら合掌します。持ち方は宗派によってさまざまですが、基本的には「左手首に通す」「左手の親指と人差し指の間にかける」「両手にかけて両親指で押さえる」のいずれかになります。その際、両目を閉じて故人様のご冥福をお祈りしましょう。

あらためて正しい作法をやろうとすると、少々戸惑うこともあるかもしれません。しかし、何よりも大切なのは、故人様のご冥福をお祈りする気持ちです。

所作を意識しすぎてお悔やみの気持ちを忘れてしまっては、故人様の供養にはなりません。不安な方は事前に確認しておき、自分の意識を故人様に向けて合掌するようにしましょう。

日常で行われる合掌の意味

日本では、日常生活の中において合掌という手を合わせる所作はよく見られます。たとえば、食事の前に「いただきます」といって目の前の食事に対して手を合わせます。これは、食べ物となった生命に対してお祈りをしてありがたくいただくという気持ちを込めて行う合掌です。

また先述したように、インドや南アジアでは挨拶の所作として日常的に合掌が行われています。合掌することで、「挨拶」「相手への敬意」「暴力的な意思がない」といったことを伝えられるからです。つまり、日常生活の中で行われる合掌は、「感謝」と「敬意」を伝える作法ということになります。

まとめ

普段何気なく行っている合掌という左右の手を合わせる行為には、「あなたのことを大切に思っています」といった深い意味があります。ご葬儀やお墓参りなど合掌をするタイミングは多々ありますので、正しい作法に則って合掌を行い、大切な故人様のことを偲ぶようにしてください。


記事の制作・編集
セレモニーコラム編集部

60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。


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