2020-09-18
ご葬儀に参列した際に、黒色のリボンや腕章を身に着けている方を見かけます。この黒色のリボンや腕章は「喪章(もしょう)」と言いますが、この喪章の役割や誰が身に着けるべきものなのかなど、喪章に関して分からないことは多いと思います。
そこで今回は、ご葬儀の際に見かける喪章に関して、その役割や身に着けるべき方はどなたなのかなどについてご紹介します。
喪章(もしょう)は、故人様の死を悼み弔う気持ちを示すために身に着ける黒い布を指します。
日本のご葬儀では、かつてご遺族は白装束を、ご会葬者は羽織袴などの正装を着用しており、服装でご遺族とご会葬者が分かるようになっていました。しかし、明治維新で洋服を着用する文化が浸透していく中で、ご遺族もご会葬者も黒の喪服を着用するのが一般的になったことで、服装での区別ができなくなり、一目で「立場が分かる目印」として喪章が用いられるようになったとされています。
なお、喪章は仏具店や葬儀式場近くのスーパーマーケットなどで取り扱っている場合もありますが、葬儀社でも用意をしてもらえます。
喪章は、ご遺族全員が身に着けるかというと、そうではありません。一般的に喪章を身に着ける方は「故人様の4親等の方」までとされています。ただし、場合によってはご親族全員身に着けたり、喪主のご家族のみが身に着けることもあります。また、喪主・ご遺族・ご親族以外にも、受付などをお手伝いしてくださる方や葬儀会社のスタッフが喪章を身に着けることもあります。
喪章には「リボン型」と「腕章型」の2種類があり、それぞれピンで留めます。リボン型の場合は左胸のポケットの上あたりに留め、腕章型の場合は左腕に巻き付けて二の腕あたりに留めます。
「リボン型」と「腕章型」で共通しているのは、どちらも左側に喪章を身に着けるという点です。これは仏教の教えに由来しており、本尊から見て右側(本尊に向かって左側)が上位であるとされているため、喪章を左側に身に着けることで、故人様に対して弔意を示すということになります。
一部のWebサイトやマナー教本などで、「仕事先や外出先から取り急ぎ普段着用しているスーツで葬儀式場まで駆け付けた場合、喪章を身に着けることで喪服の代わりになる」との記載がされていることがありますが、決してそのようなことはないため注意が必要です。
そもそも喪章は先述したように、喪主やご遺族、ご親族などが身に着けるものであって、ご会葬者が身に着けるものではありません。
喪章は現在では、ご葬儀以外の場面で目にすることがあります。例えば、サッカーや野球などのユニフォームを着用するスポーツでは、自チームのレジェンドやチーム関係者が亡くなられた際に喪章を身に着けることがあります。
他にも、コンサートなどの各種イベントにおいても、出演者や主演者と縁が深かった方が亡くなられた際にも喪章を身に着けて行われることもあります。
近年増えている家族葬のように身内だけで執り行われるご葬儀などでは、喪章を身に着けないケースも増えています。喪章を身に着けるべきなのか、そうでないのかで迷われたり、ご心配な方はご親戚や葬儀社に確認することをおすすめします。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。