2020-08-07
ご葬儀の際にいただいた香典に対するお返しとしてお渡しする「香典返し」。香典返しにはお悔やみいただいた方々にご葬儀や四十九日法要を滞りなく終えたこととお礼を伝えるためにお渡しするものでもあります。
そこで今回は、香典返しをお渡しする時期や品物を選ぶ際の注意点など、香典返しに関するマナーなどについてご紹介します。
ご葬儀の際にいただく香典は、故人様の御霊前にお供えするもので、お花や線香・抹香の代わりとなります。また、お供え物を購入するために使っていただきたいという弔慰金の意味合いも含んでいます。その香典に対して、無事にご葬儀と四十九日法要を終えた報告も兼ねて、ご遺族が香典を包んでくださった方々へのお礼としてお渡しするのが「香典返し」です。
香典返しと似たものとして「会葬返礼品」があります。香典返しと会葬返礼品はどちらもご遺族からお礼の気持ちを込めてお渡しされるものですが、若干意味が異なります。香典返しが香典を包んでくださった方々にお渡しする品物を指すに対し、会葬返礼品はご葬儀に会葬してくださった方々にお渡しする品物を指します。
最近ではお通夜式とご葬儀・告別式の当日に香典返しをお渡しする「当日返し」という形が増えてきました。
「当日返し」では、香典を包んでいただいた方全員に一律の品物をお渡しします。そのため、高額な香典を包んでくださった方に対してお礼が足りないという事態も起こりますが、その際は忌明け後に改めて品物をお渡しする形となります。
香典返しを後日郵送でお贈りするよう場合、香典返しをお贈りする時期としては、基本的に四十九日法要後の忌明けから1ヵ月以内となります。
ただし、忌明けの時期は宗教によって違うため、それに伴って香典返しをお贈りする時期も異なりますので、注意が必要です。
・仏式の場合
四十九日法要~1ヵ月以内
・神式の場合
五十日祭~1ヵ月以内
・キリスト教式(カトリック)の場合
追悼ミサ~
・キリスト教式(プロテスタント)の場合
昇天記念日~
不祝儀のお返し・お礼である香典返しの品物としてよく用いられるは、縁起を担いで、不幸を洗い流す「石けん・洗剤」や不幸を拭い去る「タオル」、消えものと言われる「お菓子・お茶」があります。また、近年ではお好きなものを選んでいただける「カタログギフト」も選ばれています。
なお、香典返しにはタブーである品物もありますので、注意しましょう。タブーとされる品物には、四つ足生臭ものと呼ばれて避けられている「肉・魚」や慶事の際に贈られることが多い「鰹節・昆布」、神事の際に使用される「お酒」などがあります。
これらのタブーとされている品物をどうしても選びたい場合は、カタログギフトを利用するようにしましょう。
香典返しは不祝儀のお返し・お礼であるため、熨斗(のし)がない掛け紙を使用します。仏教であれば蓮の花が描かれた掛け紙を、その他の宗教では無地の掛け紙となります。
なお、水引は黒白のものが一般的ですが、関西地方では黄白の結び切りとなっている水引を使用することもあります。ご不安な方は、ご親戚の年長者の方や葬儀社に確認することをおすすめします。
香典返しでは、掛け紙に記載する表書きは「志」とするのが一般的です(関西地方では「満中陰志」とすることもあります)。その他にも宗教や地域によって異なることがありますので注意しましょう。また、水引の下(掛け紙の下部)には、「喪主の姓」や「○○家」を記載します。
香典返しは、本来であれば先方にお伺いし、ご葬儀と法要が滞りなく終わったことの報告と香典のお礼をしますが、近年では宅配便や郵送でお贈りすることがほとんどです。そのため、香典返しをお贈りする際は、直接お礼を申し上げることができない代わりとして「お礼状」を添えましょう。
お礼状の全体の構成としては、
① 故人様のお名前
「亡父/亡母 ○○儀」や「亡祖父/亡祖母 ○○儀」「弊社社長 ○○儀」「故 ○○儀」など
② お礼の言葉
ご葬儀へのご会葬と香典を包んでいただいたことへのお礼の言葉
③ 略儀である旨を伝える
あくまでお礼状は略儀であり、本来はお伺いしてお礼をいうべきであるということを明記する
④ お礼状の差出人の名前
となります。
また、お礼状を書く際のルールとして、「句読点(「、」「。」)は使用しない」「季節の挨拶は不要」といったルールが存在しますのでお礼状を書く際は注意しましょう。
香典を包んでいただいた方から、「香典返しの受け取りは辞退します」という旨の申し出を受けることがあります。このような時は、先方の申し出を受け入れて香典返しはお渡ししない、またはお贈りしないようにするのがマナーです。
特に、職場の規約のような理由から辞退を申し出ているのであれば、無理に香典返しはお贈りしてしまうと先方に迷惑をかけてしまいます。それでも何かお礼をしなければいけないとお思いであれば、その時はお礼状などで感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
弔事のマナーは地域や宗教によって異なるため、香典返しにおいても掛け紙や香典返しをお渡しする・お贈りする時期にも違いがあります。ご葬儀から少し期間が経って落ち着いた時期だからこそ、香典を包んでいただいた方々に丁寧に感謝のお気持ちを伝えるようにしましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
香典返しが届いたら、お礼の連絡が必要か迷ったことはありませんか?基本的にはお礼やお返しは必要ありませんが、お付き合いの程度によっては、返礼品が届いたことを伝えた方が良い場合もあります。 こちらでは、香典返しをいただいたときのマナーや対応、香典返しの到着を伝える際の注意点を含め、手紙やメールを送る際の例文をご紹介いたします。
ご葬儀に参列していただいた方にお渡しする品を「返礼品」と呼びます。返礼品を指す言葉として「会葬御礼」「香典返し」がよく使われますが、実は別の意味を持つ言葉ということをご存じでしょうか。今回は、会葬御礼と香典返しの違いについて解説していきますので、双方の違いが分からないという方は参考にしてみてください。
初七日法要とは、故人様が亡くなられてから初めて執り行う追善供養です。法要を行った際、参列者から香典をいただくことがありますが、「初七日法要でも香典返しは必要?」「のしや表書きの書き方は?」と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。今回は、初七日法要のお返しに最適な品物の選び方・渡すタイミング・金額相場・用意する際のマナーなどについて解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
ご遺族が喪に服す期間は、故人様が亡くなられてから49日間といわれています。「忌明け(きあけ・いみあけ)」とは喪が明ける日のことを指し、忌明けによってご遺族は通常の生活に戻ることになります。 そのため、忌明けにあわせて開眼法要(かいがんほうよう)や納骨法要(のうこつほうよう)など、さまざまな儀式を執り行うことが多いです。法要を執り行うにあたり、香典返しの準備や挨拶状の作成と儀式の他にも行うことは多々あります。 初めて忌明けを迎える方の場合、何をどう行えば良いのか分からないという方も多いでしょう。年末付近に不幸があったときには、新年のお祝いや年賀状などにも気を配らなければなりません。 本記事では、忌明けで用意しなければならないものや行うべき儀式、避けるべきことなど、忌明けを初めて迎える方や前回の忌明けから年月が経っている方に向けて解説します。