2022-03-11
ご遺族が喪に服す期間は、故人様が亡くなられてから49日間といわれています。「忌明け(きあけ・いみあけ)」とは喪が明ける日のことを指し、忌明けによってご遺族は通常の生活に戻ることになります。
そのため、忌明けにあわせて開眼法要(かいがんほうよう)や納骨法要(のうこつほうよう)など、さまざまな儀式を執り行うことが多いです。法要を執り行うにあたり、香典返しの準備や挨拶状の作成と儀式の他にも行うことは多々あります。
初めて忌明けを迎える方の場合、何をどう行えば良いのか分からないという方も多いでしょう。年末付近に不幸があったときには、新年のお祝いや年賀状などにも気を配らなければなりません。
本記事では、忌明けで用意しなければならないものや行うべき儀式、避けるべきことなど、忌明けを初めて迎える方や前回の忌明けから年月が経っている方に向けて解説します。
故人様が亡くなられてから49日間を「忌中(きちゅう)」と呼び、最終日の49日目を「忌明け(きあけ・いみあけ)」と呼びます。忌中は故人様が冥土の世界を旅する期間といわれており、閻魔様からの判決を待つ期間でもあります。
昔は忌中の間、ご遺族は一切のお祝い事をしてはならず、喪服を着用し外出も控えなければなりません。その間神社仏閣へのお参りもしてはいけないとされていますが、忌明け(49日目)をもって、ご遺族は通常の生活に戻ることができます。
しかし、上記の慣習は昔のものなので、現代では忌中期間を本来の決まりのとおりに過ごす家庭は少なくなってきました。そのため、忌中の間はお祝い事を避ける程度の認識で問題はありません。
忌中の厳しい決まりが生まれた理由は、死因がはっきりと分からなかった時代の疫病対策であったという説があります。
医学が発達していない時代、疫病による死はとても恐ろしいものでした。そのため、不幸があったときには疫病の可能性を考慮し、他者への感染を防ぐという意味で49日間は外出や人々との集まりを避けていました。このような慣習が現代まで継承されてきて、忌中の決まりになったと考えられています。
忌明けはご遺族と故人様にとって大きな節目となる日です。そのため、四十九日法要以外にも、忌明けにあわせてさまざまな儀式を執り行わなければなりません。この項目では忌明けにあわせて行うさまざまな儀式や、儀式の他に行わなければならない項目について解説していきます。
四十九日法要は、忌明けに行うメインの儀式です。故人様が極楽浄土に行けるよう、ご遺族や親族が集まってお祈りをします。基本的には49日目に行うのが理想とされていますが、平日に当たる場合は参列できない方が多いため、最近では週末に前倒しで行うことが多いです。
新しくお仏壇を用意したときや、お墓を新しく建てた場合は、お仏壇に魂を入れる「開眼法要」を執り行います。こちらも忌明けと同時に執り行う場合が多いです。ただし、先祖代々のお墓やお仏壇がある場合は、執り行う必要はありません。
お墓にご遺骨を納めるときに行う法要を、「納骨法要」といいます。忌明けまでにお墓の用意ができている場合は、一緒に執り行うのが一般的ですが、お墓が用意できていない場合には、百箇日もしくは一周忌に納骨法要を執り行う場合が多いです。遅くても三周忌までには納骨法要を執り行うようにしましょう。
法要が執り行われたのちに開催されるのが「お斎(おとき)」と呼ばれる会食です。僧侶や参列者に感謝の気持ちを伝えるおもてなしの場となります。開催場所は自宅・葬儀式場・寺院・料理屋などで、基本は精進料理を提供しますが、地域によってはお寿司が提供される場合もあります。
神式の場合は、忌明けに伴い神棚封じの扉を解くという作業があります。神式では「死」は「穢れ」として考えられているため、不幸があった際は「死」と「神様」を近づけないように閉じる作業を行います。仏教では仏壇は基本的に開けたままですが、地方や宗教により閉じる場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
香典返しは、基本的に頂いた香典の半額程度をお返しすれば良いとされています。品物は「消え物」が良いとされており、使用したら無くなってしまうものを選びましょう。ただし、無くなるものとはいえ、慶事の際に用いられる物や生物は禁じられています。
頂いた香典が、用意していた香典返しよりも高額だった場合、後日改めて不足分の香典返しを行います。直接お返しするのが本来の形ですが、最近では郵送で対応することが多くなってきています。郵送の際は品物に一筆添えてお返しするのがマナーです。
忌中には、行ってはいけないことがあります。しかし、慣習として禁止されているだけで法に触れるわけではないので、都合によっては臨機応変に対応しても問題ありません。次の項目ではどのようなことを行ってはいけないのか、解説していきます。
前項でもご説明したとおり、忌中に慶事を執り行うことはよろしくないとされています。そのため、結婚式などの賑やかなお祝い事に参加するのは避けたほうが良いです。
招待状が届いた場合は、「諸事情により今回は欠席いたします」とお返事をしましょう。また、参加の意思を伝えた後に不幸があった場合は、相手方に迷惑をかける可能性があるため、欠席の連絡をするのが無難な選択です。
しかし、必ず避けたほうが良いというわけではありません。開催する側であった場合、予約した後に不幸が訪れてしまう場合もあります。その際は費用や参加者の都合もあるため、両家で話し合い、開催の有無を決定しましょう。
初詣は「おめでたいこと」と考えられているため、忌中の初詣は避けたほうが良いとされています。
新年の挨拶も控えるようにしましょう。「おめでとう」という言葉は使わないように注意し、「今年もよろしくお願いします」という挨拶のみで済ませるようにしましょう。同じような理由から、正月飾りやお節料理でのお祝いもあまりよろしくないとされています。
とくに神式の場合は、死は汚れであり神に近づけてはいけないとされていて、忌中の初詣は神域に汚れを持ち込むと考えられているので控えましょう。ただし、寺院に行き、ご先祖様の供養を行うのは問題ありません。
忌中のうちは年賀状を送るのも控えたほうが良いです。年賀状を出す前に不幸があった場合は、あらかじめ「年賀欠礼状」を出しておきましょう。頂いた年賀状にお返事する場合は「喪中はがき」や「寒中見舞い」で代用します。
ただし、忌明けであれば年賀はがきを出して良いというわけでもありません。年賀はがきは基本的に一周忌を過ぎるまでは控えたほうが無難です。
忌明けとは、忌中(故人様が亡くなられてから49日間)の最終日を指し、この日をもってご遺族は喪が明けるとされています。四十九日法要は忌明けに執り行うことが多く、「開眼法要」や「納骨法要」もその一つです。
忌中はお祝い事を避けるべきという考え方はありますが、必ずという決まりではありません。時と場合に応じて判断して問題はないでしょう。
忌中、忌明けにはそれぞれ大切な意味があり、ご遺族や故人様にとって節目となる大切な日です。さまざまな決まり事はありますが、大切なのは故人様の冥福をお祈りする気持ちです。そのためにも忌中や忌明けの意味を理解しておきましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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