2020-05-22
日々の仕事や生活において、前もって準備を整えてきちんと段取りをしたにも関わらず、いざ当日になって不測の事態が起きてしまうことがあります。故人様とのこの世で最後のお別れであるご葬儀・告別式においても例外ではなく、急な体調不良や交通機関の遅延、他にもやむを得ない事情により、ご葬儀・告別式に遅れてしまうこともあり得ます。では、遅刻が分かった時点で私たちはどのように対処したらよいのでしょうか。
そこで今回は、あってはならないことですが、ご葬儀・告別式に遅刻してしまう時の連絡や香典の渡し方などのマナーについてご紹介します。
ご葬儀・告別式は急な知らせで駆け付けるお通夜式とは異なり、前もって日時が知らされており参列者側に準備の時間があることから、遅刻をすることはもってのほかになります。しかし、どんなに準備を前もって整えていたとしても、やむを得ない事情で遅刻をしてしまうこともあり得ます。
そのような時に大切なことは、遅刻が判明した時点でとにかく落ち着いて正しく対処をすることです。
ご葬儀・告別式に間に合わないと判明した時点で、まずは落ち着いて葬儀会場に電話連絡をします。ここで大切なのは、直接ご遺族や喪主に連絡をしないということです。なお、ご葬儀・告別式の開式後はご遺族や喪主に伝言することは難しくなりますから、連絡を入れるのはご葬儀・告別式の開式前が望ましいです。
ご葬儀・告別式が始まると、ご遺族や喪主は会葬者への挨拶などで非常に多忙にされております。そのことに配慮し、葬儀会場に連絡を入れることで、場合によっては葬儀社のスタッフがご遺族や喪主にあなたが遅れてくる旨を伝えてくれます。
ご葬儀・告別式の会場がご自宅である時は、むしろ遅刻の連絡はしないほうがよいでしょう。これは、ご遺族や喪主が大変取り込んでいるご葬儀・告別式の最中に、直接電話などで連絡をすることでご遺族や喪主に迷惑になるからです。
もしも受付や挨拶のお手伝いを引き受けていた場合や親族側として参列を予定していた場合は、会場であるご自宅に到着後に改めて葬儀社のスタッフの誘導に従うようにします。
間に合わないことが判明した時点で、葬儀会場へ速やかに連絡を入れることは先述した通りですが、ここからは葬儀会場にどの程度遅れて到着したかによって変わる対処法についてみて参ります。
遅刻をしたのが約15分程度の場合は、ご葬儀が始まってから間もない時間帯ですので、まだ葬儀会場の係員や受付の方が遅れてくる会葬者に備えて残っているケースが多いのです。そのため、会場に到着したらまずは葬儀社のスタッフや受付の方に対してお悔やみの言葉と自分が遅刻したお詫びをお伝えして、その後スタッフの誘導に従うようにします。
到着後すぐに案内してもらえるか、少し待機してからになるかはスタッフが式の流れを見て適切なタイミングで行うため、その都度従うようにしましょう。
ご葬儀・告別式の開式から約30分が経過した段階では、司式者によってまだ読経が行われていることが多いです。そのため、先述しました15分程度の遅刻をした時の対応と同様に、葬儀社のスタッフや受付の方にお悔やみの言葉と遅刻のお詫びを申し上げたら、誘導に従って席に着きます。
遅刻をしたのが45分程度の場合、既に読経は終了して焼香や喪主の挨拶の時間帯になっていることが多いです。この場合はまず葬儀社のスタッフや受付の方にお悔やみの言葉と遅刻したことのお詫びを申し上げ、その上でお焼香をさせていただきたい旨を伝えます。葬儀式場にどのようなタイミングで入ればよいかはスタッフの誘導に従ってください。
遅刻をしたのが約1時間程度の場合ですが、ご葬儀・告別式はそれ自体が1時間程度であり、もう焼香が終了するタイミングか、ご葬儀・告別式の規模にもよりますが場合によっては出棺してしまった可能性もあります。そのため、遅刻が1時間以上となりそうな時は無理に駆けつけることはせず、欠席を選ぶことも選択肢の1つとして考えましょう。
ただし、既に会場に到着して焼香に間に合いそうであるならば、まだ焼香をさせてもらえるかを葬儀社のスタッフに尋ねてみましょう。先述しましたように、この時もお悔やみの言葉と遅刻したことのお詫びは必ずお伝えします。
遅刻してしまった時に何より大切なのは、ご遺族や喪主にお詫びをすることです。しかし、いくら早急にお詫びを申し上げたいからといって、当日中に勝手にお詫びをすることはおすすめできません。
ご遺族も喪主もご葬儀・告別式の当日は会葬者の方々への挨拶や対応、葬儀社との打ち合わせなどで大変多忙な時間を過ごされているからです。そんな最中、無理を押してでもお詫びをしようとすることはマナー違反と捉えられかねません。
それでも、どうしてもお詫びしたい気持ちが強い時は、事前に受付にて葬儀社のスタッフにご遺族や喪主にお詫びをしたい旨を相談して決めるのが無難です。当日であってもご葬儀・告別式後の会食のタイミングで直接お詫びしてはどうかと案内がある場合もあるでしょう。ただし、このような案内は、あくまでご遺族や喪主に時間的な余裕がある場合だけであると考えましょう。
後日お詫びを改めてする時に最も適切な方法は、法要やその他の用事でお会いした時に直接顔を見てお詫びする方法です。どうしても都合が付かずに口答で直接お詫びをするのが難しい時は、丁寧なお手紙を書いてお詫びの気持ちを綴りましょう。この時、メールを使ってのお詫びは余計に失礼な印象を与え、マナー違反になりますので気を付けてください。
遅刻してしまったことで、香典を渡しそびれてしまった時はどうしたらいいのでしょう。
お通夜式で既に香典をお渡ししていた時は、改めてご葬儀・告別式でお渡しする必要はありませんが、そうでない時は到着した時点で受付にてお渡しできるかどうかがポイントになります。
受付がまだ可能で香典をお渡しできる時は、記帳を済ませて香典をお渡しします。もしも、受付が既に閉まっていて香典をお渡しできない時は、後日改めて喪主のお宅に弔問して、直接香典をお渡ししましょう。
遠方であるなどの理由から直接出向くのが難しい場合は、不祝儀袋に香典を入れて、お悔やみとお詫びの言葉を述べた手紙を添えて現金書留で喪主宛てにお届けします。手紙はくどくどと遅刻の理由を述べるようなことはせずに、大切な方を亡くしたご遺族や喪主の気持ちに寄り添った手紙を添えましょう。
香典を郵送する際のマナーや同封する手紙の書き方については、以下の記事で詳しく紹介しておりますので、ぜひご参照ください。
香典を郵送する際のマナー。郵送するタイミングや同封する手紙の書き方
故人様とのこの世で最後のお別れとなるご葬儀・告別式に、遅刻することが分かったら大変焦ってしまうことでしょう。しかし、そうなった時こそ落ち着いて行動することが大切です。落ち着いて考えず闇雲に欠席してしまうと、悔やんでも悔やみきれなくなってしまいます。そうならないためにも、ご葬儀・告別式の日時や場所はしっかりと確認をして、余裕を持って出掛けましょう。ご葬儀・告別式の開式20分前に到着するように予定を立てれば、不測の事態にも対応する余裕ができます。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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