2020-04-24
ご葬儀に会葬したあと、会葬礼状や香典返しと一緒に「塩」が渡されることがあります。この塩は「お清めの塩」といいます。「お清めの塩」はご葬儀から帰宅し、玄関に入る前に使いますが、正しく使わないと「お清め」という意味が薄れるといわれています。
そこで今回は、知っているようで意外と知らない、お清めの塩を使う理由と正しい使い方・まき方についてご紹介します。
日本ではかつて、病気や天災などのよくないことや不幸なことが起こると、塩で身体を清める習慣がありました。とりわけ神道では「死」は穢れと考えられており、邪気をもたらすと畏れられていたため、身体を清めるために塩をまいたともいわれています。
なお、神道の言う「穢れ」の対象は、人の死に際して寄り付いてきた「邪気」を指しています。お清めの塩をまくことは、決して「故人様の霊を祓うということではない」ということを覚えておきましょう。
ご葬儀のあとのお清めの塩は、正しい方法で使わないと本来の意味での「お清め」にならないとされており、次のように使うのが正しいとされています。
正式には、お清めの塩を身体に振りかける前に手を洗います。しかし、現代では省略されることが多いです。可能であれば、ご葬儀に参列しなかった家族に手桶と柄杓(ひしゃく)を用意してもらい、手を洗うのを手伝ってもらうとよいでしょう。
お清めの塩は、必ず玄関に入る前に身体に振りかけます。他人の目が気になるなどの理由で、玄関に入ってからお清めの塩をかけたくなることもあると思います。しかし、これでは本来の「お清め」という意味がなくなるので必ず玄関に入る前に行いましょう。
お清めの塩は、ひとつまみ程度の量をとり、胸元・背中・足元の順番で振りかけます。その後、手で服についた塩を軽くはらいます。自宅に留守番をしている家族がいる場合は、家族に塩を振りかけてもらいます。
服についた塩を振りはらったあとの足元に落ちた塩を踏んだ後に玄関に入ります。
お清めの塩は食用として作られていません。そのまま処分するか、家庭ゴミ(生ゴミなど)を処分する時に殺菌のため使用するのがよいでしょう。
うっかり、お清めの塩をかけ忘れてしまった時はどうしたらよいのでしょうか。このような場合でも神経質になる必要はありません。気になる方は、喪服のまま玄関にもどり、お清めの塩をかけてから、再び家の中に入るだけで問題ありません。
ご葬儀の際に行うお清めは「お清めの塩」にもあり、食事やお酒もお清めの1つとなります。
例えば、お通夜式の後に「通夜振る舞い」を行いますが、これを「お清め」と呼ぶこともあります。食事をとることには生きるための活力を得るという意味もありますので、ご葬儀で落ち込んだ気力を回復させ、邪気を払う役割があります。
また、お酒にも邪気を祓う力があるとされており、通夜振る舞いの際にお酒が振る舞われます。お酒は神が作ったものともいわれているため、日本の神話でもお祓いやお清めのためにお酒がよく使用されています。
なお、通夜振る舞いに関して以下の記事で詳しくご紹介しておりますので、関心のある方はぜひご参照ください。
知っておきたい、通夜振る舞いに参加する時のマナー
お清めの塩は、宗教の考え方だけでなく、地域に伝わる慣習などによっても左右されることがあります。地域によっては神道のご葬儀であっても、お清めの塩がない場合もあります。そのため、お清めの塩がないことで、どうしても気になる方はご自身で塩を用意するとよいでしょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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