2020-04-08
「忌中」という言葉をご存じでしょうか。なかなか馴染みのない言葉でもありますので、「喪中」は知っているが「忌中」は分からない、という方は少なくないと思います。そもそも忌中とはどのようなことなのか。喪中との違いは何なのか。期間はいつまでなのか。
そこで今回は、忌中の期間や忌中の期間中に控えるべきことなどをご紹介します。
忌中とは、ご家族が亡くなられた際に、亡くなった日から四十九日法要が行われる前の期間を指し、四十九日法要を終えたら「忌明け」となります。
日本では昔から“死”は忌まわしいことであり、死による穢れを他人にうつすことが無いように、忌中では慶事やお祭りへの参加を避けるなど、外部との接触をなるべく避けて、身を慎まなければなりません。
かつては、忌中の期間は喪服を身に付け、家の門戸を閉ざし、完全に外部との接触を断つ他、酒や肉も絶ち精進料理を食べて過ごしました。しかし現在では、将来のために勉強したり、生活のために仕事をすることが必要なため、普段通り学校や仕事に行き、食生活も普段通り行うのが一般的です。
なお、神道では五十日祭の翌日までを指します。キリスト教では「忌」の考え方はありませんが、日本の風習として受け入れていて、プロテスタントは1ヵ月後の「召天記念日」、カトリックは三十日目の「追悼ミサ」までを身を慎む期間とされています。
「忌中」とよく似た言葉で「喪中」がありますが、両者の違いは何なのでしょうか。結論から先に申し上げると、両者の違いは「身を慎む期間の“長さ”」になります。
「忌中」も「喪中」も共に、身内の死に際して「身を慎む期間」ではありますが、「忌中」が故人様が亡くなられた日から四十九日法要までを指すのに対し、「喪中」は故人様が亡くなられた日から1年間が目安とされています。
自宅に神棚を置き、日常的にお参りをされているご家庭も少なくありません。そうしたご家庭の近親者が亡くなられた場合は、忌中の間は「神棚封じ」をしなければなりません。神棚は、いわば家の中にある神社になります。そのため、神様に死の穢れを近づけないようにするために神棚にお札や半紙を貼り、忌明けするまではお参りを避けましょう。
なお、自宅に仏壇があるご家庭は仏壇の扉も閉じておきましょう。
忌中の際は、控えなければいけないことがいくつかあります。以下に控えるべき事項をまとめましたので、ご参照ください。
お祝い事には様々なことが考えられますが、代表的なものとしては、自らの結婚式や招かれた結婚式への参加、家の新築・改築などとなります。
神道では死は「穢れ」であるため、神社(神様)の領域に穢れを持ち込むことはタブーとなります。そのため、忌明けとなる50日が経つまでは神社へお参りすることは控えなくてはいけません。
パーティーや宴会への参加は控えましょう。年末年始であれば、忘年会や新年会への参加もできるだけ控えましょう。
身内の方が年末に亡くなられた際は、新年の挨拶は控え、前もって年賀欠礼状を出しましょう。
忌中は「より身を慎んで過ごす期間」でしたが、四十九日法要などが過ぎた忌明け後には、どのようなことをすべきなのでしょうか。以下で忌明け後に行う事項をまとめましたので、ご参照ください。
忌明け後は、香典返しを行いましょう。お通夜式やご葬儀・告別式でいただいた香典の金額に対して、お返しの品物をお贈りします。また香典返しの際は、忌明け法要を無事に終えることができた旨を記載した挨拶状を品物に添えて贈りましょう。
忌明け後は、神棚封じのために貼ったお札や半紙をはがし、今まで通りお参りをします。また、忌中に閉じていた仏壇の扉を開けておきましょう。
故人様が生前楽しみにしていたお祝いはもちろん、ご遺族にとって大事なことであれば、「故人も許してくださる」と柔軟に考える場合もあるなど、最近では、忌中の過ごし方も変わってきています。ただし、あくまでマナーを守るのが基本です。周りのご親族、特に目上の方への相談は欠かさないようにしましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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