2019-11-15
ご葬儀・告別式が終わると、故人様が納められた棺は火葬場まで移動します。この一連の流れを出棺といいます。
親族や参列者の立場として、失礼のない振る舞いを心掛けたいものですが、出棺の流れや出棺時のマナーと言われても、「礼をして見送るだけでは?」と、ピンとこない方も少なくないと思います。
そこで今回は、一般的な出棺の流れやマナー、出棺の際の持ち物などについてご紹介します。
ご葬儀・告別式が終了してから、出棺するまでの流れは次のようになります。
地域によって、若干の違いがありますので心配な方は、事前に親族に尋ねるか葬儀社に確認を取るとよいでしょう。
ご葬儀・告別式が終了すると、ご遺族や親族、故人様の親しい友人などによるお別れの儀を執り行います。
棺の蓋を開け、ご遺族と参列者でご遺体の周りを生花で飾る「別れ花」を行います。別れ花は、故人様に近い方から花を飾っていき、喪主、喪主の配偶者、親兄弟というような順番で行われます。また、別れ花以外にも棺の中に副葬品(故人様の思い出の品など)を入れ、最期のお別れを行います。
なお、副葬品として入れられない物もあるので、事前に葬儀会社に確認をとるとよいでしょう。
お別れの儀を終えたら、親族などが小石や小槌で釘を2回打ち込み棺に蓋をする釘打ちの儀を執り行います。これは、蓋に釘を打つことで物理的に棺が開かなくなるという意味の他に、死者の蘇りを防ぐためという宗教的な意味、蓋を閉じることで故人様の死を受け入れるという精神的な意味などがあります(最近では、執り行われないことが多くなりました)。
棺は重量があるため、ご遺族や親しかった方々などに手伝っていただき、霊柩車に乗せます。位牌は喪主が、他のご遺族が遺影写真を持ちます。
喪主もしくは代表者が参列者にご葬儀に参列していただいたお礼や生前故人様がお世話になったことへの感謝の挨拶をしてから火葬場へ移動します。一般参列者の方に関しましては特に必要な持ち物などはありません。
霊柩車が出発したら車が見えなくなるまで一礼をし、合掌します。車が見えなくなると、つい話をしてしまいそうですが、これはマナー違反になりますので気を付けるようにしましょう。一礼をする際に数珠を使用する場合は、あらかじめ左手に数珠を掛けておくとよいでしょう。
冬の時期は、出棺を待つ間、コートを着ていても失礼にあたりませんが、実際に出棺が行われたら、コートを脱ぎ礼服でお見送りをするのがマナーになります。夏の時期は、真夏の屋外でのご出棺でもジャケットを着用してお見送りしましょう。
雨が降っている時は、出棺の際に傘をさしていても問題ありません。ただし、色や柄が派手なものは避けましょう。ビニール傘でも問題ありません。
一般的に火葬場に同行するのは、故人様のご親族と特に関係が深かった方になりますが、その他の方が火葬場に同行したい場合はどうしたらよいのでしょうか。
もちろん、同行は可能なのですが、お通夜式などの席で事前に親族や世話役の方に相談し、同行の了解を得るようにしましょう。直前の申し立ての際は、車や精進落としの手配などが間に合わずに、ご遺族に迷惑を掛けてしまうことがありますので、できる限り早急にご遺族に確認をしましょう。
火葬場へ向かう際、喪主が位牌を持ち、他のご遺族が遺影写真を持っていきます。その他に、次のようなものも必要になります。
ご遺体を許可なく火葬することは法律によって禁じられていますので、火葬許可証は必ず忘れずに持参します。
火葬許可証は、市町村役場で発行され、亡くなった方のご遺体を火葬する許可を証明する書類です。市区町村役場の窓口に死亡届を提出するのに併せて、火葬許可申請書を出して手続きを行います。提出した書類に不備がなければ、その場で火葬許可証が発行されます。
火葬許可証の手続きは、葬儀社が代行してくれるところもありますので、相談するのがよいでしょう。
火葬の時間は1~2時間程度掛かります。その間、ご遺族や火葬に参列した人は控え室で待つことになります。控え室では、お茶菓子や軽食を取りながら、故人様の話をするのが一般的なので、準備するようにしましょう。
なお、お茶菓子や軽食を火葬場で用意できるかどうか、そもそも持ち込みが可能なのかを事前に葬儀社に確認しておきましょう。
火葬場に向かう際は、喪主が位牌を、遺族代表が遺影を持って霊柩車に同乗し、ご遺族や親族は自家用車、あるいはバス・タクシーなどで火葬場に向かいます。
火葬場へは、「納めの式」で読経を行うために司式者が同行する場合があります。火葬場に司式者が同行する場合は、火葬場までのお車の手配をしておきます(霊柩車に同乗いただく場合もあります)。
ただし、最近では司式者が自家用車で火葬場に向かうことも増えていますので、事前に車の手配について確認しておきましょう。
お通夜式やご葬儀・告別式のマナーを重視する方もいらっしゃるかもしれませんが、出棺も火葬も故人様を見送る上でとても大切な儀式です。だからこそ、お別れの儀や釘打ち、出棺の際のお見送りなど悔いなく心を込めて故人様を見送るためにも、事前にしっかりマナーを身に付けしましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
ご葬儀を執り行う際は、故人様のご遺体を納める棺(ひつぎ)が欠かせません。棺の上には布が掛けられており、この布は「棺掛け(かんかけ)」と呼ばれています。棺掛けについて、なんのために使用されているのか、どのような役割があるのかなど、疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
霊柩車とは、ご葬儀においてご遺体を火葬場までご移送する車のことです。金箔が施された豪華な屋根がある霊柩車だけでなく、一目では霊柩車とは分からないようなタイプのものまでさまざまな種類があります。
ご葬儀は、人生において数少ない経験になるがゆえに分からないことも多く、マナーなどで戸惑うことも出てくるでしょう。ですが、ご葬儀は大切な儀式なので、なるべく失敗したくないところです。ご葬儀ではさまざまなマナーが存在しますが、今回はご遺体やご遺骨とともに移動する場面での位牌や遺影、ご遺骨などの扱い方や注意点などについて詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。