2023-07-28
霊柩車とは、ご葬儀においてご遺体を火葬場までご移送する車のことです。金箔が施された豪華な屋根がある霊柩車だけでなく、一目では霊柩車とは分からないようなタイプのものまでさまざまな種類があります。
本記事では、霊柩車の種類や寝台車との違いを解説します。また故人様を見送る際のマナーも紹介していますので、興味をお持ちの方はぜひ参考にして確認してみてください。
霊柩車とは、ご葬儀の際に用いられる車のことです。車両の中にご遺体の入った棺が納められた後は、ご遺族を伴って式場から火葬場へと向かいます。霊柩車は、一目で霊柩車と分かるタイプのものからシンプルなものまで、さまざまな種類に分かれているのが特徴です。
多くの霊柩車は、荷室部分に棺が収まるよう、ゆとりのあるスペースが設けられています。また、棺をスムーズに納めるためのレールや固定器具が設置されており、一般車両とは違った特別仕様になっています。
霊柩車は、ご葬儀後に式場から火葬場へご遺体をご移送するために使用されます。一方、寝台車は病院で亡くなった故人様を自宅や式場まで搬送する際に用いられます。
霊柩車と寝台車は、ともに「故人様のご遺体を搬送する車両」です。しかし、ご葬儀後の搬送で使用する霊柩車と、お亡くなりになった直後でご遺体を乗せる寝台車では、その使用されるタイミングや搬送先に違いがあるということを押さえておくと良いでしょう。
霊柩車は車種によって大きく4つに分類され、それぞれ違う特徴を持っています。では、車種による相違を見ていきましょう。
リムジン型の霊柩車は「洋型霊柩車」とも呼ばれています。主に、トヨタのクラウンやキャデラック、メルセデスベンツEクラスなどの高級車が改造されて作られています。いずれも高級感あふれる仕様になっているほか、なかにはレザーで装飾されているタイプもあるので、一目で霊柩車と分かる方はさほど多くありません。
商用車(バン)の後方が改造されて作られた霊柩車は、まるで普通のバンに見えるシンプルな見た目が特徴です。トヨタのハイエースやノア、ホンダのオデッセイ、日産のクリッパーバンが多く使用されています。
バン型霊柩車は、主に寝台車として使用されていることが多いです。シンプルで目立ちにくくコストも安いため、こちらを活用するケースも少なくありません。
バスの形をした霊柩車は、前方にご遺族、後方に棺が乗る仕組みとなっています。火葬場への移動にバスをレンタルする必要がなくなるため、コストを押さえることができます。しかし、バスに故人様を乗せることに違和感を持つ方も多いため、バス型の霊柩車を使用する際には、事前にご親族間での話し合いが必要です。
宮型霊柩車は、棺を乗せる棺室に、寺院や神社で見られる宗教的装飾を模した「豪華な飾り」が施された、昔ながらの霊柩車です。一目で霊柩車と分かること、またコストパフォーマンスが悪いことから近年では敬遠されることが多いことや、火葬場で使用禁止になっている場所もあり、やや減少傾向にあります。
霊柩車を使用する際、具体的にどのような手順を踏むことになるのでしょうか。ここでは一般的な手配のやり方、費用相場を解説します。
霊柩車は、葬儀社を通じて手配することが一般的です。ただし、霊柩車を所有している葬儀社は意外に少なく、霊柩車を保有している業者と連携していることが多いです。そのため、ご葬儀のプランに霊柩車の代金がそのまま含まれていることも少なくありません。
霊柩車の種類に関しては、ご葬儀の打ち合わせ時に話し合うことができます。手配する車種によって料金が変わりますので、カタログや金額を加味して慎重に決めましょう。ただし、プラン外で別途請求されるパターンもありますので、葬儀社に確認することが大切です。
搬送料金については、国土交通省が適正と認める範囲内での設定が義務付けされており、無料搬送のほか、常識の範疇を超える高額な料金設定は法律で禁じられています。相場としては、走行距離0~10kmで18,000~60,000円程度です。なお、基本料金に加え、距離に応じて加算額がプラスされるのが一般的で、おおよそ10~20kmごとに増えるとされています。
霊柩車を見送る際にも、大切なマナーが存在します。たとえば、「正式な礼服でお見送りを行う」などです。冬の寒い時期でも着用していたコートは脱ぎ、また夏の時期でもジャケットを羽織ります。
また、霊柩車が出発したら合掌して一礼しましょう。その後は、霊柩車が見えなくなるまでしばらく頭を上げず、様子を見てゆっくりと元の状態に戻すようにしてください。
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続きを読む霊柩車に対しては、さまざまな言い伝えや疑問が存在します。以下に、霊柩車に関する「よくある質問」の回答を分かりやすくまとめましたので、参考にしてみてください。
世間には、霊柩車に対して親指を隠すような言い伝えがあります。霊柩車を見つけた際、思わず手を握って親指を隠す人は、多くいらっしゃるかもしれません。これは、「親の死に目に会えなくなる」「親族に不幸が訪れる」「縁起が悪い」などさまざまな迷信が囁かれているためでしょう。
この言い伝えは、大正時代以前に記された書物が発祥とされています。当時、親指は人の御霊を取り込む神聖なものとして認知されていました。親指を隠すという行動には、「亡くなったばかりの不浄な魂が親指から侵入することを防ぎ、自らを防御するように」との意味が込められていたようです。
霊柩車が発車する前に、クラクションを鳴らすのが一般的です。出棺の際のクラクションは、「故人様との最期の別れ」を意味しています。しかし、クラクションの音は大きく周囲に迷惑をかけるため、近年ではクラクションの音を短くしたり、まったく鳴らさなかったりといった配慮をするようになりました。
霊柩車は、貨物自動車運送事業法で管轄される「特殊用途車両」です。ご遺体は法律で「貨物」として扱うと定められているため、霊柩車を所有するには、霊柩限定の一般貨物自動車運送事業の許可を取る必要があります。
特殊用途車両は、緑のナンバープレートに「8」の数字が表示されているのが特徴です。もし白いナンバーの霊柩車があるとしたら、それは法律違反の車両ということになり、大切な故人様を乗せるべきではありません。また、特殊用途車両は霊柩車のほかに、パトカーや救急車などが該当します。
なお、運転する際に必要になる免許は、「第一種運転免許」さえ所有していれば問題ありません。ご遺族を一緒に乗せるバス型の霊柩車でも、同様の免許で運転可能です。
(乗車定員11人以上のバス型霊柩車は大型1種免許が必要になります。)
近年、道端で霊柩車と分かる車両を見かける機会はめっきり減りました。火葬場近隣に住む住民への配慮でシンプルな霊柩車がよく用いられるようになったことなどが主な理由として考えられます。
もしご葬儀で霊柩車が必要となった場合は、基本的に葬儀社を通じての手配になります。ただし、霊柩車のタイプによって見た目や料金などが変わるので、余計なトラブルにならないよう、一度親族と話し合ってから決めるようにしてください。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
ご葬儀を執り行う際は、故人様のご遺体を納める棺(ひつぎ)が欠かせません。棺の上には布が掛けられており、この布は「棺掛け(かんかけ)」と呼ばれています。棺掛けについて、なんのために使用されているのか、どのような役割があるのかなど、疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
ご葬儀は、人生において数少ない経験になるがゆえに分からないことも多く、マナーなどで戸惑うことも出てくるでしょう。ですが、ご葬儀は大切な儀式なので、なるべく失敗したくないところです。ご葬儀ではさまざまなマナーが存在しますが、今回はご遺体やご遺骨とともに移動する場面での位牌や遺影、ご遺骨などの扱い方や注意点などについて詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。