2024-10-11
年末になると、家の中をくまなく掃除してから、お正月のお祝いをするために飾り付けや料理の準備を行うのが通例です。玄関に輪飾り、居間に鏡餅など、飾り方はご家庭によってさまざまですが、仏壇にもお清めや華やかな正月飾りを行います。
そこで当記事では、仏壇の正月飾りに必要なもの、華やかに飾り付ける方法、時期などをご紹介いたします。
お正月では、さまざまなお祝いの飾り付けを行って、年神様を迎えるのが日本における古くからのしきたりです。仏壇にも正月飾りを施さなければならないという決まりはありませんが、普段よりも華やかに飾り付けることで、仏様や故人様にもお正月の雰囲気を味わっていただけます。ここでは、お正月に仏壇を彩る道具をご紹介していきます。
お正月飾りに欠かせないのは、打敷(うちしき)です。「内布」「打布」「内敷」とも呼ばれる打敷は、仏壇を飾るために用いる荘厳具(しょうごんぐ)の一つで、金襴(きんらん)織りの美しい敷布です。打敷は、仏具一式をお供えする上卓(前卓)に敷いて使用します。打敷の価格は、布の質によってさまざまです。数千円のお手頃なものから、豪華な刺繍や凝った織物の入った布は数万円する場合もあります。
なお、浄土真宗(真宗大谷派・浄土真宗本願寺派)は、先が三角に仕立てられた打敷を使いますが、その他の宗派は四角形です。用意する際は、ご家庭の宗派を改めて確認してみましょう。
次に、高坏(たかつき)・供物台(くもつだい)も用意します。高坏や供物台は、お供え物を乗せるための台座です。高坏は細長い足が付いており、円形の皿が付いた形状をしています。一方、供物台はテーブルのような形状が多く、実用的な形です。
お正月のお供え物は通常よりも量が多くなるため、仏壇前にこのような台座を用意するのが一般的です。宗教ごとに決められた形はありませんので、高坏や供物台のデザインは、仏壇の大きさやお部屋の雰囲気に合ったものを選ぶと良いでしょう。
次は、お正月の定番ともいえる鏡餅です。鏡餅は、大きめの丸餅の上に一回り小さな丸餅を乗せた形状で、神棚や玄関、床の間、リビングに飾られることが多いとされています。なお、鏡餅は仏教上の教えで、ご飯に次いで重要なお供え物とされているので、仏壇に飾っても縁起が良いです。
仏壇のスペースが小さい場合は、100円ショップやスーパーなどに小さいサイズの鏡餅が販売されています。パウチングされており、通常の鏡餅よりカビが生えにくいので、利用してみても良いでしょう。
仏壇にお正月飾りを行う際は、年末の大掃除と同様に、仏壇の中も綺麗にお手入れしましょう。仏壇はデリケートな素材でできているため、基本は羽根はたきでホコリを払ったり、乾いた布で優しく拭いたりする方法が望ましいといえます。蝋燭やお線香で付いた汚れは、仏壇専用のクリームなどを用いるのも良いでしょう。
通常、仏壇へお供えするものは、香、花、灯燭、浄水、飮食の「五供(ごくう)」が基本とされています。この五供は、もちろんお正月にもお供えしますが、通常よりも豪華になるよう意識して用意すると良いでしょう。
普段、花瓶、香炉、燭台の三具足(みつぐそく) を使用されている方は、お正月飾りの際、蝋燭立てや花立てを増やして五具足(ごぐそく)にしても雰囲気が変わります。蝋燭、花、香はいつもより華やかさを意識し、お正月飾りとしてふさわしいものを選びます。さっそく以下で詳しく見ていきましょう。
香とは、お線香のことです。日本古来より、仏様は香りを召し上がると考えられています。したがって、お正月らしくするためにも、いつもより少し高価で、より良い香りのお線香を選ぶと、ご先祖様も喜ばれるでしょう。
部屋に広がったお線香の煙は、仏様の慈悲を表しており、極楽浄土とこの世を繋ぐ架け橋にもなると信じられています。お線香の香りは、ご先祖様へのご供養だけでなく、人々の心を落ち着かせ、浄化させる力を持つとも信じられているのです。
仏壇の両脇に飾るお花は、供花(きょうか・くげ)と呼ばれています。用意した二つの花立てを仏壇の両脇に設置し、梅や小竹、松などを使ったお正月らしい雰囲気の植物を華やかに飾るのがおすすめです。また、故人様が生前好きだった生花を用いても良いでしょう。ただし、強すぎる香り、毒やトゲが入っている花は避けましょう。
美しい植物は、澄み切った心が表現されているため、お線香の煙と同様に仏様の慈悲を指していると信じられています。そのため、供花はお参りする人の方へ向けて飾るのが良いとされています。お参りを行う方々にも仏様の慈悲が届くようにという想いで飾られた花は、古くから続く人々の願いでもあるのです。
灯燭(とうしょく)とは、灯火や燭火を意味するもので、蝋燭のことを指します。蝋燭の炎は仏様やご先祖様、故人様の場所を明るく照らす役割を担っています。
お正月飾りに用いる蝋燭も、少し豪華なものを用意しましょう。普段の白い蝋燭でも構いませんが、朱色の蝋燭や、蒔絵(まきえ)が描かれた蝋燭を用いれば、お正月飾りがより一層華やかに映えることでしょう。
浄水は、朝一番に汲んだお水を使用します。お正月期間中に限らず、毎日取り替えるのが基本です。浄水には、お参りする方々の心を浄化し、仏様の喉を潤す役割を持つと信じられています。なお、故人様が生前にお茶がお好きだった場合は、お茶をお供えしても構いません。
仏壇へお供えする五供の中で、一番重要なのが飲食供養(おんじきくよう)です。飲食供養で使用するのは、私たちが普段口にする炊きたてのご飯です。炊き上がったご飯を最初に盛り付け、仏壇へ供えます。その他に、故人様がお好みだったおかずを添えても良いでしょう。
炊きたてのご飯は、供えてから手を合わせ拝んだ後ですぐに下げ、ご家族でいただきます。ご飯が傷むまで仏壇の前に放置するのは、あまりよくありません。また、ご飯をお供えするタイミングは、朝と夕方の一日二回です。
なお、お正月の時期では、お雑煮やおせち料理をお供えした後、そのお下がりをご家族みんなでいただくご家庭もあるようです。
しめ縄は、年神様をお迎えするために飾るアイテムで、基本神具となります。そのため、仏壇へ飾ることはしません。神棚や玄関に飾ると、魔除けの効果も発揮してくれるとされています。
正月飾りは、基本的に12月13日の正月事始めから飾ることができます。正月事始めとは、お正月を迎える準備を始める日とされていますが、現代においては、クリスマスが終わってから正月飾りの準備を始める方がほとんどのようです。
また、お正月飾りを外すのは、松の内(お正月の期間)が終了した日です。松の内が終わる日は、地域によって日程が違いますので留意しましょう。
・関西・京都・滋賀など…1月15日(小正月)まで
・関西の一部地域…1月20日まで
・沖縄…1月14日まで(地域によっては1月20日まで)
・その他地域…1月7日まで
お正月期間では、仏壇にもお正月の飾り付けをします。心を込めて綺麗にした仏壇へお正月の飾りを施すことで、仏様やご先祖様、故人様はきっと喜んでくださるに違いありません。できる限り華やかに仏壇を飾り、気持ち良く新しい年をお迎えしましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。