2024-04-05
人の死は突然に訪れるものです。それがもしも働き盛りの男性だった場合、残されたご家族は失った悲しみに打ちひしがれるだけではなく、金銭面でも苦労しなければいけないことが増えるでしょう。そのご家族を助けるために支払われるのが、弔慰金という制度です。
そこで本記事では、弔慰金の意味や細かな内容、さらに金額相場やお渡しする際のマナー、非課税限度額などを徹底解説いたします。
弔慰金とは「死亡弔慰金」とも呼ばれており、従業員が亡くなった場合、そのご家族へ企業側が支払う金銭を指します。つまり弔慰金は、ご遺族の生活を保障するための福利厚生なのです。また、自然災害などにより亡くなった方のご家族に自治体が支払う金額も弔慰金と呼ばれていますが、こちらは通称「災害弔慰金」と呼ばれています。
弔慰金は、さまざまな支援金と混合されやすいのが難点です。ここからは、弔慰金の意味や違いを詳しくご説明していきます。
弔慰金は「ちょういきん」と読みます。弔慰金には、亡くなった方のご家族を守る目的のほかに、これまで従業員が会社へ貢献してきたことに対する労いの意味も込められています。そのため、会社による金額の差はあるものの、勤続年数が長いほどその額も多くなる傾向にあるようです。
また、災害や戦争で亡くなった方に対しても弔慰金が支払われますが、その出所は会社ではなく国の税金で賄われるため、支給対象や条件は法律に従って付与されることになります。つまり弔慰金は、企業が払う分と国が払う分の二種類があるのです。
弔慰金も香典も、人が亡くなった際にご遺族へ支払われる金銭です。しかしながら、その意味合いや支給される時期について違いがあります。
香典はご葬儀の当日に、参列者が喪主の方へ故人様へのお供え物としてお渡しする金銭で、ご葬儀の負担を軽減させることが主な意味合いになります。一方の弔慰金は、企業側がご遺族の今後の生活のために弔意を込めてお渡しするもので、ご葬儀の後ご遺族がある程度落ちついてから渡されるのが一般的です。
慶弔金・見舞金は、福利厚生で会社が払う金銭のため、弔慰金と同じようにとらえられがちですが、弔慰金とはまた違う意味を持ちます。
慶弔金の中には、慶事の際のお祝い金と弔事の際の香典、そして従業員が災害にあった際の見舞金が含まれます。つまり、見舞金は慶弔金の一部となるのです。これに対して弔慰金は、弔事の際に支払われる金銭のみを指し示しています。
弔慰金と死亡退職金は、いずれも従業員が亡くなった際に用意される金銭で、これまでの功労と弔意が込められ、残されたご遺族が今後生活していくために企業から支給されるものです。
ただし、それぞれ相続税の非課税限度額の算出方法が異なるため、会計処理上同じ手続きをしないように企業側で注意する必要が出てきます。つまり、弔慰金と死亡退職金では、税務においての違いが生じるのです。
弔慰金は、一定限度額以内であれば相続税の対象にはならないので非課税であり、死亡退職金の場合は「5,000,000円×法定相続人の数」の範囲なら非課税ですが、それを超えた分の金額についてはご遺族側に相続税が掛かります。
すなわち、企業側で弔慰金と死亡退職金を一括で処理してしまうと、非課税分の弔慰金にまで相続税が掛けられることになってしまうため、ご遺族に過剰な税負担を強いてしまうことになるのです。
弔慰金は、亡くなった方の勤続年数や死亡理由によって、その金額の大きさに差が出ます。目安は、以下の通りです。
・勤続年数5~10年程度…10,000~8,000,000円
・勤続年数20~30年程度…30,000~25,000,000円
・一律定額支給の場合…20,000~10,000,000円
・勤続年数5~10年程度…10,000~10,000,000円
・勤続年数20~30年程度…30,000~50,000,000円
・一律定額支給の場合…20,000~35,000,000円
なお、社員のご家族が亡くなった際に支払われる金額相場は、10,000~50,000円です。また、会社側が支払うとされる弔慰金は、法的義務のない法定外福利厚生にあたります。したがって、金額や支給対象、支給の有無が法律で定められているわけではなく、就業規則に準ずる形となります。
ここからは、企業側が従業員のご家族に対して払う弔慰金の一般的な渡し方についてご説明していきます。
死亡弔慰金は不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ)へ包み、ご遺族へお渡しします。中袋は白い無地を選び、お札と目録を入れるのが通例です。金銭は古札を用意し、紙幣の肖像画は裏側下方を向くように、お札の向きをそろえて封筒へ入れます。
目録は、縦書きで記載しましょう。一番右側に弔慰金と記入し、その隣に一回り大きめの旧字体で金額を記載、その左側に弔慰金をお渡しする日程と企業名、最後に故人様の名前を記入します。目録は白無地の紙もしくは奉書紙に記し、三つ折りにして弔慰金と共に封入します。
なお、死亡弔慰金の表書きには薄墨を使用し、「弔慰金」と記載しましょう。
ご遺族に対して弔慰金をお渡しする場合のマナーとしては、香典と同様です。弔慰金と目録を入れた不祝儀袋を袱紗に包み、目の前で袱紗から取り出して、相手の方 に向けてからお渡しします。
従業員本人が亡くなった場合は、ご遺族に連絡を入れてからご自宅まで赴きましょう。また、ご家族が亡くなった場合は、従業員が出社してくるのを待ってから、直接お渡ししてください。
なお、金額が多く不祝儀袋に入りきらない場合は、振り込みでの支給となります。この場合は、空の封筒に目録だけを封入し、後日振り込まれる旨を伝える必要があります。この封筒も、不祝儀袋を用いて袱紗に包んでお渡しするようにしましょう。
従業員が死亡した場合の弔慰金は基本非課税ですが、その金額が一定額を超えてしまった場合は課税対象となります。また、死因によって限度額は変わりますので注意が必要です。なお、非課税の限度額を超えた分は、退職手当金に含めるといった対策が取られます。
・業務以外で死亡…死亡時の月給半年(6ヶ月)分※賞与分は含みません
・業務上にて死亡…死亡時の月給3年(36ヶ月)分※賞与分は含みません
弔慰金の考え方は企業によってさまざまですが、企業の経理では企業理念に沿った弔慰金制度の設計、運営を行うことが求められるでしょう。企業に合った弔慰金の適正価格を算出した上で、弔慰金の非課税限度額を考慮すれば、ご遺族の課税負担を最小限にとどめることができるはずです。
大切なご家族が亡くなった際に、残されたご遺族へ支払われる弔慰金は、今後の生活のために役立てるための前向きな金銭です。それと同時に、亡くなった方への弔意が込められていることも念頭に置くことが大切です。万が一、弔慰金を支給される機会があった場合は、謹んでお受けすると良いでしょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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