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2023-08-10

盂蘭盆会(うらぼんえ)とは|歴史や過ごし方を解説します

「お盆」は日本人の暮らしに広く馴染んでおり、誰が聞いても理解のしやすい仏事でしょう。このお盆という言葉は「盂蘭盆(うらぼん)」からきているといわれています。

本記事では、盂蘭盆会とはいったいどのようなものなのか、詳しく解説します。盂蘭盆の由来や歴史、過ごし方などを紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

盂蘭盆会とは

盂蘭盆会とは、日本古来の風習に基づきご先祖様の御霊を供養する大切な仏事です。古代中国が起源となっている太陰太陽暦(たいいんたいようれき)、いわゆる「旧暦」と呼ばれる太陽暦に基づき、古来より7月13日~16日の4日間が盂蘭盆会であるとされてきました。

しかし現代では、古代エジプトが起源となるグレゴリオ暦(太陽暦)に基づいた「新暦」に合わせ、旧暦より1ヶ月先の8月13日~16日の4日間を盂蘭盆会の時期とすることが一般的です。

また盂蘭盆会は、地域によって行われる時期が少々異なります。ただし、故人様を敬い偲ぶ仏事だということに関しては共通しています。

お盆との違いは?

盂蘭盆会は「お盆」の正式名称で、ご先祖様を自宅へ迎えてご供養するための大切な期間です。つまり、現代においてお盆と表現されているだけであって、盂蘭盆会と意味は同じです。ただし、相手に伝わりにくいことが多いので、言葉での表現は「お盆」で良いでしょう。

盂蘭盆会の由来

盂蘭盆会の言葉の由来については、これはもともと日本語ではありません。東南アジアで用いられた古代語であるサンスクリット語の「ウラバンナ」からきており、これは「逆さ吊り」という意味を持っています。

ウラバンナは、死者が逆さ吊りにされて苦しむ様子が表現された言葉です。この死者は、お盆の由来のひとつといわれる「目連(もくれん)尊者」の母親が餓鬼道へ落ちた姿といわれています。

そんな母親を救うため、目連尊者はお釈迦様へ相談します。すると、「母親だけを救おうとするのではなく多くの人を救いなさい」との助言を賜り、その言葉通りに行動して苦しむ母親を救うことができました。

この伝承により、死者をつらい状況から救う言葉として「ウラバンナ」が用いられるようになりました。そして、ウラバンナがなまって「うらぼんえ」と表現され、名前の由来として広く伝えられるようになったようです。

日本における盂蘭盆会の歴史

日本にお盆が伝わったのは西暦606年で、最初に推古天皇が広めたものといわれています。その後、657年に、斉明天皇が飛鳥寺で盂蘭盆会を催し、659年には盂蘭盆経(うらぼんぎょう)で父母を報いさせたとの記録が残っています。

このように盂蘭盆会の歴史は古くから伝わるものです。実際に民衆の中へ仏事として定着したのは、夜に火を灯せるようになった江戸時代からだそうです。

盂蘭盆会の過ごし方

ご先祖様の御霊を迎えて供養するための盂蘭盆会では、仕事もお休みになることが多いので、人それぞれの過ごし方があるでしょう。しかし、命をつないでもらったご先祖様の魂を敬い慰める機会として、この時期を過ごすのもまた良い習慣です。では、盂蘭盆会を仏事と考えて過ごす場合の「お盆の過ごし方」を簡単にご説明しましょう。

①盆棚(精霊棚)の準備を行う

まずはご先祖様に気持ちよく過ごしてもらうために、部屋の掃除を行います。その後、仏壇の前に盆棚を組み、仏壇の中から位牌を移動させてから、野菜・果物・花・菓子・提灯などを飾ります。

②迎え火を焚き、お墓参りをする

お盆の初日の夕方頃、麻幹(おがら)に火を灯し迎え火を焚いて門前へ供えます。地域によっては提灯に火を灯し、門前に飾るところもあります。これは、ご先祖の御霊が道に迷わず帰って来られるようにするために行うものなので、お墓参りは暗くならないうちに済ませておきましょう。

③精進料理を供える

盂蘭盆会の期間中は、朝昼晩の3回に分けて盆棚に精進料理をお供えします。お供えした後は同じ食事をいただきましょう。

④御霊をお送りする

盂蘭盆会の最終日には、送り火を焚きます。お墓参りに行く場合は、防犯を念頭に置き、暗くならないうちに済ませましょう。

ただし、細かい儀式にこだわらず、お墓参りのみを行う方も多いです。自分が一番行いやすい方法でご先祖様のご供養をされるのが良いでしょう。

日本の盂蘭盆会にまつわる行事

盂蘭盆会の時期には、さまざまな地域でお祭りが行われます。その中でも有名なのは、長崎の精霊流しや京都の五山の送り火などです。毎年多くの人が集い、故人様のことを偲んでいます。

海外の盂蘭盆会

海外でも日本の盂蘭盆会と同様に、亡くなった方を弔うためのイベントは存在します。たとえば、有名どころではアイルランドから伝わったハロウィン、キリストの復活祭といわれるイースター、ディズニーの名作映画「塔の上のラプンツェル」の舞台にもなった、タイのロイ・クラトン祭などでしょう。国によって開催時期や行事の内容、ルーツは異なるものの、共通していえることは「死者の魂を弔い供養する」という点に他なりません。

まとめ

盂蘭盆会と一口でいっても、地域や宗派によって考え方や風習はそれぞれ異なります。しかし、この時期に行う行事は日本人にとって伝統的なものであり、またご先祖様を敬うための大切な文化でもあります。具体的な意味や歴史を知り、盂蘭盆会への理解がより深まれば、より厳粛な気持ちで祖霊供養に勤しむことができるのではないでしょうか。


記事の制作・編集
セレモニーコラム編集部

60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。


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