2023-06-09
故人様がお亡くなりになった際に、故人様の死を「大往生」と表現することがあります。「立派に生きて天寿を全うした方、または安らかな死を迎えた方」を意味する言葉です。しかしながら、使い方や使用するタイミングを間違えてしまうと、相手に失礼なイメージを与えかねません。
そこでこの記事では、いざという時に使い方を誤ることのないよう、大往生の意味や由来などを含め、詳しい使い方をご紹介します。
永六輔氏のベストセラー本のタイトルにも用いられている「大往生」ですが、この言葉は「立派に生きて天寿を全うした方、または安らかな死を迎えた方」に対して使われます。
したがって、死が安らかではない病気や事故であった場合、大往生を用いてはいけません。大往生は、自然な死や老衰などの、「安らかで後悔のない天寿を全うしたと納得される死」に限って使用できる言葉です。
では、この大往生とは、どのような由来からなる言葉なのでしょうか。
大往生の往生とは、仏教用語の「極楽往生(ごくらくおうじょう)」という単語をなぞらえて出来た言葉と言われています。極楽往生とは、安らかな死後に極楽浄土へ生まれ変わるという意味合いがあります。その中の往生という言葉に大の字をつけ、あらためて「安らかな死」という意味の言葉とし、世間一般で広く用いられるようになりました。
一般的に大往生が用いられる場合、その時代の平均寿命を超えた方に対して使われることが多いです。しかし、その年齢が何歳を指すのかについては、明確な定義は定められていません。
大往生という言葉は、主に故人様のご遺族が使用する言葉です。他人が「大往生でしたね」と伝えることで、多くのご遺族は「もうじゅうぶん長生きしたのだから亡くなっても問題はない」と受け取ってしまうからです。大往生は、「故人様にもっと生きていてほしかった」と考えるご遺族を深く傷つけてしまう言葉になりかねないため、基本的に参列者の立場からは使用しません。
お悔やみの言葉としては、「突然のことで大変驚いております。心よりお悔やみ申し上げます」などが一般的です。静かに寄り添う気持ちを込めて、ご遺族にお伝えしましょう。
大往生は、参列者からお悔やみの言葉をかけられた際、ご遺族が返す言葉として用いるのが一般的です。では、具体的な使い方をご説明します。
・大往生を迎えた本人としては、満足していることと思います。
・祖父は苦しむことなく、安らかに大往生を迎えました。
では、ご遺族から「大往生でした」と言われた際、どのように返答すれば失礼にあたらないのでしょうか。
おうむ返しで「そうですね、大往生でした」と同調するような返事は避けるべきです。「そのようなことはありません、もっと長生きしてほしかったです」「もっと元気なお姿をみていたかったです」など、故人様の死を悼む発言や、「非常に残念ですが、故人様が満足されているのなら、それが何よりです」という返答が好ましいでしょう。
人によって考え方はさまざまであり、故人様を称賛する意味であえて「大往生」という言葉を使いお悔やみの言葉とする方もいます。しかしながら、なかなかそのような意味で受け取れない方が多いのも事実です。
ご葬儀の場では、ご遺族の気持ちを一番に考えて行動しなければいけません。したがって、大往生という言葉をご遺族以外が口にすることは、極力控えるのが無難です。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
香典は、ご葬儀の場において故人様の御霊前へお供え物をする代わりに、ご遺族へお渡しする金銭です。「5,000円程度が香典の相場なのではないか」という意見も散見されますが、故人様との関係や地域によって金額のマナーは変わるため、注意が必要です。 そこで今回の記事では、香典の一般的な相場や香典袋の選び方、書き方、香典のマナーについて詳しくご紹介していきます。
故人様の死を偲びながら静かに過ごす一年間を喪中といいますが、喪中では慶事に参列したり、大がかりな旅行をしたりなどの行動を慎むことが、古くからの慣習となっています。本記事では、一年で最もめでたい時期と考えられているお正月に焦点を当て、喪中のご家庭でどのように過ごしていくべきかを解説していきます。
ご家族に不幸があった場合、玄関に「忌中」と書かれた札が掲げられます。この札は忌中札(きちゅうふだ)といって、日本の伝統的な様式です。目立つ位置に貼ることで近所の方々へ不幸を知らせるため、そして死の穢れを周りへ移さないようにするためという心遣いでもありました。 現代でも、各地域に忌中札の風習は残っています。そこで当記事では、この忌中札の意味や書き方、掲げる時期、掲げ方などを解説いたします。