2023-05-26
かけがえのないご家族や、親しい方が亡くなった後の一周忌では、多くの花で華やかに飾ってあげたい、または心を込めて美しいお花を送りたいと考える方が多いでしょう。しかしながら、故人様へ手向けるためのお花については、ふさわしいマナーや決まり事が存在します。
そこで本記事では、一周忌にどのようなお花を選ぶべきなのか、マナーにはどのような決まりがあるのか、そしてお花につけるメッセージの例文などをご紹介します。
一周忌とは、故人様が亡くなってからちょうど一年後にあたる同月同日の命日に行われる法要です。
従来は祥月命日に行っていましたが、現在は祥月命日が平日の場合、その前の土日などにずらして行う場合が多くなっています。
一周忌は、年忌法要の中で最も大切な儀式の一つとされており、お花を送ることが多くあります。
お花は必ず送らなくてはいけないものではありませんが、故人様を偲ぶ気持ちを伝えられる貴重な機会です。もしお花を送るかどうか迷いがあるようでしたら、後に後悔しないためにも送っておくことをおすすめいたします。
一周忌に送るお花は、白い菊や胡蝶蘭を選ぶのが定番とされています。お花選びのポイントを下記にまとめましたので、ご参照ください。
一周忌に送るお花の色は、白一色でまとめるのが一般的です。ただし、一周忌は四十九日を過ぎていますので、故人様の死を悼むというものから偲んで懐かしむという意味合いに変化するため、明るく優しい色合いのお花でまとめても良いでしょう。
お花を選ぶ基準として、故人様が好きだったお花を選ぶのもおすすめです。ただし花束で送ってしまうと、会場で花瓶へ活ける工程が発生するため、そのままお供えでき見栄えも美しい「アレンジメント」の方がより適切です。アレンジメントには、持ち運びしやすいというメリットもあります。
プリザーブドフラワーとは、一番美しく咲いている時期の生花を特殊な液に浸し、色鮮やかな状態で長期間保存できるよう加工されたお花のことです。ドライフラワーと比較すると、手触りや見た目が生花に近いのが大きな特徴です。
一周忌に送るお花は生花が一般的ですが、プリザーブドフラワーを送っても問題はありません。生花よりも長持ちするプリザーブドフラワーは、ご遺族からも人気があるようです。
当然ながら、一周忌で送るお花としてふさわしくないものもあります。マナーとして避けるべきお花の特徴を覚えておきましょう。
バラやアザミなど「棘のあるお花」は一般的にタブーとされているため、供花用としては避けた方が良いでしょう。
参列者の中には、派手な色のお花を嫌がる方もいらっしゃいます。お花は淡いピンクや薄い紫、水色などを選び、原色に近い色を選ぶのは避けましょう。
基本的に、供花は香りの強いお花は避けるべきとされています。線香の香りを妨げないためにも、法要では選ばないように気を付けましょう。
ユリは供花の定番と言われている一方で、種類によっては香りが強く、お供えに適さないものあります。また、梅も香りが強いので要注意です。
鉢植えは、肥料の成分に不浄なものが含まれているという宗教的な意味合いでタブー視されている場合があります。したがって、お供え用のお花として選ぶのは避けるのが無難です。
送るお花の費用は、5,000~10,000円程度が一般的と言われています。高価すぎるお花を送ると、ご遺族に気を使わせてしまうこともありますので注意しましょう。お花は価格よりも、心のこもったメッセージやお手紙が添えられていると、ご遺族に好印象を与えることが多いようです。
なお、具体的な相場については、地域や会場によってさまざまです。不安な場合は、葬儀社のスタッフへ相談してみると良いでしょう。
一周忌でお花を送る際、ご遺族へ負担を掛けないためにも、心がけるべき注意点をご説明いたします。
お花を送る際には、事前にご遺族へ送っても良いか、確認を取ることが重要です。会場によってはお花を受け付けていないことがあったり、ご遺族の意向で一周忌を行わなかったりするケースがあるためです。
お花を郵送する場合、法要の日時を確認しておく必要があります。当日に届くよう手配をすると、ご遺族が留守で受け取れない可能性が出てきますので、前日までにはお花が届くようにしておきましょう。
法要が寺院で執り行われる場合は、寺院へ確認してから直接お送りする こともできます。その場合、宛先は寺院、宛名は喪主の方宛に お送りしましょう。
一周忌に送るお花にメッセージを添えられれば、より丁寧な印象を与えられます。お悔やみの言葉、故人様との思い出、ご遺族への気遣いになる言葉を綴る「主文」、結びの言葉となる「末分」、日付や差出人のフルネーム、宛名書きでしめる「後付け」の構成が一般的です。このメッセージにも、抑えておくべき大切なポイントが3点あります。
・簡潔丁寧な文書を心がける
お悔やみのメッセージは、長文になりすぎないように書きます。便せん一枚に留められる程度にしましょう。主文は前文(時候の挨拶)を書かずお悔やみの言葉から書き始め、「ご冥福をお祈り申し上げます」などの表現で簡潔に結びましょう。後付けの年月日は和暦で記入します。
・生死に関する言葉への配慮を怠らない
ご遺族は、故人様を失ったショックの最中にいます。そのため、言葉には十分な配慮が必要です。死因を尋ねるような表現や、無念の思いを強調した文章は避けるようにしましょう。
・忌み言葉、重ね言葉を使わない
メッセージ分の作成において、「忌み言葉」や「重ね言葉」にも配慮する必要があります。不幸が連続で起こることをイメージさせる忌み言葉としては、「浮かばれない」「離れる」「大変」「切る」「追って」、重ね言葉は「くれぐれも」「度々」「かさねがさね」「いよいよ」「かえすがえす」「次々」などが挙げられます。
これらのポイントを踏まえ、以下例文を参考にメッセージを作成してみてください。
〇〇さんの一周忌にあたり、お心ばかりですがお花をお贈りします。
生前の明るい〇〇さんを思わせるような、明るい色合いのお花を選びました。
〇〇さんのご仏前にお供えいただければ幸いです。
〇〇さんの一周忌を迎えられ、悲しみをあらたにしていらっしゃる ことと存じます。
このたびは一周忌法要へ参加できず申し訳ございません。
遠方より、故人様のご冥福とご家族様の健康を心よりお祈り申し上げます。
〇〇さまの一周忌にあたり、あらためて悲しみを募らせております。
お悔やみを申し上げるとともに、こころからご冥福をお祈りしております。
このたびのご法要にあたり、心ばかりのお花をお送りいたしました。
ご家族皆様お元気でお過ごしください。
一周忌を迎え、あらためまして〇〇さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
〇〇さんの突然の訃報から1年が経ちました。
〇〇さんの優しい笑顔を思い出しながら、生前の面影を偲んでおります。
このたびはぜひとも参列したかったのですが、現在遠方のため、
このような形でお悔やみを申し上げること、お詫び申し上げます。
気持ちばかりではございますが、〇〇さんのご冥福を祈り、お花をお贈りいたします。
季節の変わり目ですので、ご家族皆様もどうぞご自愛ください。
故人様に捧げるお花は、ご遺族の悲しみに寄り添い、残された方々を労わるための大切なアイテムです。しかしながら、地域、土地柄や菩提寺によって、さまざまなルールやマナーがあります。お花の受付をしているのか、どのようなお花が最適なのかなど、不安な点は事前に葬儀社や周囲の方へ伺ってみましょう。
供花は必須ではありませんが、マナーを守りながら心のこもったお花を送ることで、誠意や気持ちを伝えられます。当記事が、お花選びの参考になれば幸いです。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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