2023-04-07
多くの日本人は仏教を信仰しており、国内におけるキリスト教信者の数は僅少となっています。そのため、いざキリスト教のご葬儀に参列するとなった際、勝手が分からずとまどってしまう方も多いのではないでしょうか。今回は、最初に用意しなければならない「キリスト教のご香典」のマナーについて、詳しく解説していきます。
一般的に、仏式のご葬儀で包む金銭はご香典と呼ばれています。ご香典は、お線香の代わりとして差し上げるという意味合いを含みますが、キリスト教のご葬儀でお線香を用いることはありません。
キリスト教は、故人様が仏様になるという教えとは違い、「天へ旅立つ」または「神の元へ行く」という考えに基づいているため、白い生花を差し上げるというしきたりがあります。よって、ご香典ではなく「御花料(おはなりょう)」を生花の代わりに包むという形を取っていますが、本記事では御花料を「キリスト教のご香典」と表現していきます。
また、キリスト教では主に「カトリック」と「プロテスタント」に分かれており、御花料の呼び方もそれぞれに違いがある点に注意が必要です。カトリックでは「御花料」「ご霊前」「御ミサ料」、プロテスタントでは「御花料」「お花料」「忌慰料」などが使われます。どちらなのか不明な場合、表書きは御花料としておけば問題ないでしょう。
キリスト教のご香典の相場は、基本的に仏式のご香典と変わりありません。それでも、いくら包めば良いのか迷われることと思います。ご香典の金額は、故人様との関係や参列する方の年齢などによって変わるので、しっかりと把握しておくことが大切です。
①両親…20~30代は50,000円、40~50代以上は100,000円
②兄弟姉妹…20~30代は30,000円、40~50代以上は50,000円
③ご親族…一律10,000円
④上司や先輩、友人や知人…20~40代は5,000円、50代以上は10,000円
⑤部下や後輩…20代は5,000円、30代以上は10,000円
なお、地域や立場によって相場が変わることもあります。詳しい金額が決められない場合は、ご親族や周りの方に相談することも視野に入れましょう。
ご香典袋に表書きする際は、筆ペンの薄墨を使うのがマナーです。薄墨での記入は、急な別れを悼み涙で墨が薄くなったという昔からの意味合いが込められています。ほかにもいくつか押さえておくべきポイントがあるので、以下の内容をチェックし、キリスト教のご葬儀に持参するご香典袋の詳しい書き方を把握しておくようにしましょう。
袋の表書きは、袋の上半分の中央に筆ペンの薄墨で記入します。カトリックかプロテスタントかをチェックし、よりふさわしい文字を書くようにしてください。
名前の書き方は、仏式のご香典と変わりありません。下半分の中央に、筆ペンの薄墨でフルネームを記入します。なお、連名の場合などより詳しいことが知りたいという場合には、以下の記事で確認してみてください。
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続きを読む金額は中袋へ記載しますが、書き方は仏式と同じです。黒の万年筆やボールペンを使い、表側中央に縦書きで「大字」を使い金額を記載しましょう。また、実際に書くときは下記をご参照ください。
1 | 2 | 3 | 5 | 7 | 8 | 10 | 千 | 万 |
壱 | 弐 | 参 | 五(伍) | 七 | 八 | 拾 | 阡 | 萬 |
・1,000円→金壱仟圓也
・3,000円→金参仟圓也
・5,000円→金伍仟圓也
・10,000円→金壱萬圓也
・30,000円→金参萬圓也
・50,000円→金伍萬圓也
・100,000円→金拾萬圓也
※「也」はつけなくても良い
最後に、中袋の裏面、左側下方には住所と氏名を書きましょう。
キリスト教のご香典は、準備する段階から相手に渡す際にまで覚えておくべきマナーが存在します。最後に、ご香典を用意する方法や渡し方などについて解説していきます。
キリスト教のご香典を包む袋は、キリスト教専用のものを選びます。白い色で、十字架や百合の花が描いてある封筒です。大手の文房具店、もしくは通販でも手に入れることができますが、もし用意できない場合は、白の熨斗袋などで代用しても構いません。
キリスト教のご香典は、通夜式もしくは前夜式、あるいは追悼ミサのときに袱紗へ包んで持参します。受付が設けられている場合は、受付の際に渡すのが一般的です。受付での渡し方は、袱紗からご香典を取り出し、受付の方へ字を向け、そして袱紗を台にするようにしてご香典を差し出しましょう。
なお、受付が見当たらない場合は、通夜やご葬儀の前後に喪主かご遺族へ渡します。ただし、喪主が忙しい式の直前は避けるのが無難です。
キリスト教の教えとして、「魂は永遠であるため、死は悼むべきものではない」といった考え方があります。そのため、お悔やみの言葉は使わないのがマナーです。受付の際には、「故人様が安らかに眠られますよう、お祈りいたします」などと声をかけましょう。
仏式が主流である日本では、キリスト教のご葬儀に不慣れな方が多いのは当然のことです。しかし、考え方やマナーに違いがあることを事前に理解し、ご遺族の考えに沿った対応を行うことは大切です。キリスト教のご香典は適切な方法で渡せるようにし、落ち着いた気持ちで参列できるようにしましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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