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2022-04-01

臨済宗とは?歴史やご葬儀の流れ・マナーを簡単に解説します!

ご葬儀に参列するときに、その宗派のマナーが分からず、戸惑ってしまったことはありませんか。

日本にはさまざまな宗教がありますが、その大多数を「神道」と「仏教」が占めています。この2つはさらに、いくつかの宗派に分岐。ちなみに、仏教には13の宗と56の派が存在します。

本記事では、禅宗系の宗派である「臨済宗」について、分かりやすく解説しています。最後まで読んでいただけば、臨済宗の基礎知識から歴史や教えの内容、ご葬儀の方法までご理解いただけるので、ぜひ参考にしてみてください。

臨済宗とは禅宗の1つ

日本の仏教は、「南部六宗」「平安二宗」「禅」の3つに分かれます。臨済宗はその中の「禅」に属しており、日本三代禅宗の1つとされています。禅の宗派としては、「曹洞宗(そうとうしゅう)」や「黄檗宗(おうばくしゅう)」も有名です。

臨済宗の歴史

ここからは、臨済宗がどのようにして誕生したのか、臨済宗の歴史について解説します。

臨済宗の元となった「禅」の考え方は、インドが発祥といわれています。「禅」の考え方がインドから中国に渡り、「禅宗」という宗教に変化しました。

日本に臨済宗が広まったのは、鎌倉時代のことです。栄西という僧侶が仏教の修行のため中国へ渡ったのがきっかけでした。栄西は中国で禅宗の考え方に出会い、印可証明という悟りの境地に至った証を受け取りました。栄西に印可を授けたのが、「臨済宗黄龍派(りんざいしゅうおうりゅうは)」です。

栄西は臨済宗黄龍派の教えを日本に持ち帰り、「臨済宗」として布教します。臨済宗は武士社会で強く支持され、鎌倉幕府や室町幕府からも支持されるほどの大きな宗派となりました。

臨済宗の教え

そもそも、臨済宗の教えとはどのようなものなのでしょうか。臨済宗の特徴は、「座禅で悟りを得る」という考えと、「南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)」という教えです。

読経や修行によるものではなく、「座禅」という形で悟りを開くという方法が当時の武士の人気を集めたため、武士が活躍していた鎌倉や室町時代の幕府に強く支持されていたそうです。

ここからは、臨済宗の2つの特徴について、詳しく解説していきます。

座禅で悟りを得る

臨済宗では、悟りを開く修行をする際に、師弟が向かい合って座り、禅問答を行います。師匠は弟子に問いを投げかけ、弟子はその問いに対して頭で考えるのではなく、体全体で思考して答えます。そうすることによって、論理を超えた真実を探し出し、悟りの境地を開くというのが臨済宗の教えです。

また、師匠は弟子の出した回答を検討することによって、悟りが開けるとされています。どのような禅問答が行われているか、気になる方は「公案集」と調べてみてください。公案集とは師匠から弟子へ語り継がれてきた数々の禅問答が載っている文章で、ネットでも見ることができます。

「南無釈迦牟尼仏」を唱える

臨済宗のもう1つの特徴が、「南無釈迦牟尼仏」を唱えるところです。実は臨済宗には特定の本尊がなく、一般的に本尊として釈迦様をお祀りするという特徴があります。

そのため、唱えるお経も、お釈迦様の別名である「釈迦牟尼仏」からいただき、「南無釈迦牟尼」と唱えるのが臨済宗の特徴になっています。

臨済宗の宗派は14ある

臨済宗は禅宗の1つで、14の派に分岐しています。分岐した宗派の詳細は、以下のとおりです。

【京都】

・妙心寺派

・南禅寺派

・東福寺派

・大徳寺派

・相国寺派

・天龍寺派

・建仁寺派

【鎌倉】

・建長寺派

・円覚寺派

【浜松】

・方広寺派

【東近江】

・永源寺派

【甲州】

・向嶽寺派

【広島・三原】

・佛通寺派

【富山・高岡】

国泰寺派

臨済宗はそれぞれの本山を派の名前としています。中でも京都にある建仁寺は、栄西が建立したお寺でもあります。

臨済宗のご葬儀の特徴

臨済宗のご葬儀の流れやお焼香の仕方、数珠の持ち方などは、他の宗教と細かな箇所に違いや特徴があります。ここからは、臨済宗のご葬儀の特徴について解説します。

臨済宗のご葬儀の流れ

臨済宗のご葬儀は「授戒(じゅかい)」「念誦(ねんじゅ)」「引導(いんどう)」の順で行われます。それぞれの詳細は下記のとおりです。

【授戒】

故人様が仏門に入るための儀式となり、下記の内容を行います。

(1) 剃髪(ていはつ)

唱えられるお経…剃髪の偈(ていはつのげ)

実際に剃髪を行う訳ではなく、剃る仕草を行います。

(2) 懺悔文(さんげもん)

(3) 三帰開門(さんきかいもん)

(4) 三聚浄戒(さんじゅうじょうかい)

(5) 十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)

【念珠】

僧侶がお経を読み上げる儀式となり、具体的な内容は以下のとおりです。

(6) 入龕諷経(にゅうがんふぎん)

   唱える経文…大悲呪(だいひしゅう)、回向文(えこうもん)

(7) 龕前念誦(がんぜんねんじゅ)

   唱える経文…十仏名(じゅうぶつみょう)

(8) 起龕諷経(きがんふぎん)

   唱える経文…大悲呪(だいひしゅう)、回向文(えこうもん)

(9) 山頭念誦(さんとうねんじゅ)

   唱える経文…「往生咒」(おうじょうしゅ)

【引導】

故人様の魂を浄土へと旅立たせるための儀式で、以下の流れで行われます。臨済宗で特徴的なのが、この「引導」のときに僧侶が「喝!」叫ぶところです。なぜこのように叫ぶのかというと、現世への未練を断ち切り、仏の道へ正しく進ませるためだといわれています。

(10)引導法語

(11)焼香

   唱える経文…観音経、大悲心陀羅尼(だいひしんだらに)

(12)出棺

   唱える経文…回向文(えこうもん)

臨済宗のお焼香

臨済宗ではお焼香の方法にも若干の違いがあります。派によってさらに若干の違いはありますが、大筋の流れは変わりありません。

(1) 仏様の前で合掌、礼拝

(2) 親指、中指、人差し指でお香をつまみます。額にはいただかないでそのまま香炉へくべます。

(3) お線香の場合は1本だけ火をつけ、お線香を振って火を消します。または手であおいでも問題ありません。息で吹き消すことだけはしないようにしましょう。

(4) 再度合掌し、礼拝を行います。

臨済宗での数珠の持ち方

臨済宗では「看経念珠(かんきんねんじゅ)」と呼ばれる数珠を使用します。煩悩と同じ108個の玉と、親玉1個をつないだものです。

持ち方は、二重にして左手首にかけておきます。合掌する際は左手の人差し指と親指の間にかけるように持ちます。房の部分が下に来るようにしましょう。

まとめ

臨済宗は三代禅宗の1つであり、体を使った修行を通して悟りを開くことを目的としています。ご葬儀に関しても同様に、お亡くなりになった方が悟りの道を正しく辿れるような流れで構成されています。

焼香の回数も額にいただくかどうかも明確な決まりがあるわけではありません。「1回のみでもよい。額にはいただかなくてもよい」と覚えておきましょう。

マナーに囚われすぎて本来の意味を見失ってしまっては意味がありません。ご葬儀では多少作法が違っても問題ありませんので、故人様のご冥福をお祈りする気持ちを大切にしてください。本記事でご紹介した作法は安心材料として頭の片隅に置いておきましょう。


記事の制作・編集
セレモニーコラム編集部

60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。


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