2020-06-18
ご葬儀や火葬を終えてご自宅に戻ったご遺骨は、「後飾り」といわれる祭壇に祀られます。後飾り祭壇は、弔問してくださる方が故人様にお参りをするための大切な場所であると同時に、後飾り祭壇を正しく配すことは故人様への弔いの気持ちを表します。
そこで今回は、後飾り祭壇の設置場所や飾り方、後飾り祭壇を使用し終わった後の片付け方についてご紹介します。
後飾り祭壇は、ご葬儀終了後にご自宅に戻った故人様のご遺骨を一時的に祀るための祭壇のことをいいます。地域によっては、「中陰壇(ちゅういんだん)」「後飾り」「自宅飾り」と呼ぶこともあります。また、後飾り祭壇は故人様のご遺骨を祀る以外にも、ご遺族が故人様の冥福を祈るための場や弔問客がお参りをする場でもあります。
後飾り祭壇にご遺骨を祀る期間に関しては、宗教によって異なります。仏式であれば四十九日まで、神式であれば五十日祭まで、キリスト教式であれば追悼ミサ(カトリック)や召天記念日(プロテスタント)までとなります。
なお、後飾り祭壇は、ご葬儀終了後、ご遺骨としてご自宅に戻ってこられるまでに設置します(ご遺骨がご自宅に戻ってこられてから設置することもあります)。
ご自宅に仏壇がある場合は仏壇の前、もしくは仏壇の傍に後飾り祭壇を設置し、仏壇がない場合は部屋の北側か西側に設置します。なお、場所が選べない場合は、ご家族の方が日々お参りをしやすい場所や弔問客を案内しやすい場所に設置するとよいでしょう。
ただし、直射日光のあたる場所や水回りなどの湿気が多い場所は、ご遺骨の状態が悪くなることがありますので避けるようにしましょう。
後飾り祭壇の飾り方やお供え物は、宗教によって異なります。以下で、仏式、神式、キリスト教式それぞれの一般的な後飾り祭壇の飾り方とお供え物についてみていきましょう。
仏式の後飾り祭壇は、白木の二段または三段の祭壇を作ります。白木以外を使用する場合は白い布を掛けます。
後飾り祭壇のどの段に何を供えるのかは、特に決まりはありませんが、一般的に最上段にご遺骨・遺影・白木位牌(仮位牌)を飾ります。それ以外の段に、香炉・ロウソク台・鐘・花立て・お供え物などを飾ります。
お供え物は、仏飯・お水・お茶・お菓子・果物・生花のほか、生前故人様がお好きだったものをお供えしてもよいでしょう。仏飯・お水・お茶は毎日取り替え、お供えしたらあげっぱなしにしないようにしましょう。お菓子や果物は傷む前にご家族でいただくようにし、生花は枯れる前に取り替えます。また、四十九日が明けるまでは、故人様の供養として毎日ロウソクに火を灯し、お線香は絶やさないようにします。
なお、故人様は死後に仏になると考えられている浄土真宗では、仏飯やお水、お茶などの霊供膳(りょうくぜん)はお供えしないのが正式とされています。
神式の後飾り祭壇は、仮霊舎(かりみたまや)と呼ばれ、白木でできた八足の祭壇を作ります。
上段にはご遺骨と遺影、中段には霊璽(れいじ)と榊(さかき)、下段には三方(さんぼう)に入れた徳利、水玉、皿と玉串と火立を飾ります。お供え物は、洗米・水・酒・塩・榊・灯明をお供えするのが一般的です。
キリスト教式の後飾り祭壇は特に決まりはありませんが、一般的に小さなテープルに白布をかけて、上段に十字架を飾り、中段にご遺骨と遺影、下段に生花や聖書などを置きます。
お供え物についても、特に決まりはないのでお好きなものを供えることができます。
後飾り祭壇は故人様のご遺骨を一時的に祀るためのものですので、納骨や埋葬が済んだら、後飾り祭壇はその役目を終えます。役目を終えた後飾り祭壇は、ご自身がお住みになられている地域のゴミ分別のルールに従って廃棄しても問題ありません。
とはいえ、大切な故人様を祀っていた祭壇をゴミとして処分してしまうのは気がとがめるという方は、葬儀会社で回収できるところもありますので相談してみるとよいでしょう。また、無理に処分をしなくても後飾り祭壇は故人様の一周忌などで使用することもできます。
祭壇以外の仏具に関しては、普段のお参りの際に使用できますが、白木位牌(仮位牌)は本位牌に、仮霊舎は本霊舎にする必要がありますので注意が必要です。
白木位牌は、お通夜式やご葬儀・告別式の祭壇や後飾り祭壇に置かれる仮位牌のことをいいます。享年や戒名、俗名などが書かれており、本位牌と同様に故人様の魂が宿っているといわれています。
四十九日までは白木位牌を使用し、四十九日以降は本位牌を使用します。四十九日法要では、白木位牌(仮位牌)から本位牌に故人様の魂を移し替えていただく「位牌開眼(いはいかいげん)」を行いますので、不要になった白木位牌は、菩提寺に預けお焚き上げしてもらいます。
後飾り祭壇は宗教・宗派によって用意するものは異なりますが、故人様があの世に旅立つまでの時間を過ごすとても大切な場所になります。故人様のよりよい旅立ちを願うためにもそれぞれの宗教・宗派に従ってきちんと準備しましょう。
なお、後飾り祭壇の設置場所や飾り方、処分の方法などでお悩みのことがございましたら、ぜひセレモニーにご相談ください。
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