2024-04-19
「お彼岸」の時期が近くなると、近所のスーパーに彼岸用のお供え物が並びます。これらのお供え物を購入するまではいいものの、具体的に何を行えばいいのか、正しく理解していないという方も多いのではないでしょうか。そこで今回はお彼岸の期間や意味、お彼岸の過ごし方などについて解説していきます。
お彼岸の期間は、春分の日と秋分の日を基点とした前後3日間です。しかし、春分の日と秋分の日は毎年決まった日に設定されるものではなく、昼と夜の長さが同じになる日を春分・秋分の日としています。これは、国立天文台による調査をもとに、閣議によって決められるのが一般的です。
なお、お彼岸の最初の日は彼岸入り(ひがんいり)、そしてちょうど真ん中の日を中日(ちゅうにち)、さらに最後の日は彼岸明け(ひがんあけ)と呼ばれています。
では、2024年における春と秋のお彼岸はいつになるのでしょうか。2024年の春彼岸と秋彼岸の期間については、以下の項目で確認してみましょう。
今年の春のお彼岸期間は、3月20日(水)を中日とした前後3日間、つまり3月17日(日)~3月23日(土)までの7日間です。
・彼岸入り 3月17日(日)
・中日(春分の日) 3月20日(水)
・彼岸明け 3月23日(土)
次に秋のお彼岸期間は、9月22日(日)を中日とした前後3日間です。期間は9月19日(木)~9月25日(水)の7日間になります。
・彼岸入り 9月19日(木)
・中日(秋分の日) 9月22日(日)
・彼岸明け 9月25日(水)
お彼岸は、年に2回ご先祖様を供養する日とされています。このお彼岸は日本にしかなく、仏教のおおもとであるインドにはこのような習慣はありません。
仏教では、ご先祖様がいらっしゃる世界である「彼岸」は西に位置し、私たちが生きている「この世(此岸)」は東に位置しているとされています。そして春分・秋分の日には、太陽が真東から昇り真西に沈むことから、此岸と彼岸が最も通じやすくなると考えられるようになりました。
このような仏教の考え方に、「ご先祖様を大切にする」という日本古来の考え方が結びつき、現在私たちに馴染みのあるお彼岸という仏教行事が生まれたとされています。お彼岸は、長年続いている日本独自の仏教行事のひとつなのです。
「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉をよく耳にします。この彼岸は、もともと仏教からきている言葉です。彼岸とは極楽浄土のことで、人々の迷いや苦しみを引き起こすといわれる煩悩(ぼんのう)のない、悟りの世界を指しています。
煩悩にまみれた現世から悟りの世界へ到達するには、仏様のもとで行う修行が必要です。その修行すべき時期が、彼岸の期間とされています。その昔は、仏の道に入っていない人々も、お彼岸の期間には西へ沈みゆく太陽へ向かい祈りを捧げていました。なぜならば、その方角には極楽浄土が存在すると信じられていたからです。
以上のように、お彼岸には仏教的な意味合いが非常に強いため、現代においてもお墓参りや仏事などが行われるのが一般的です。なお、日本においてお墓参りが根付いたのは、江戸時代の中期以降といわれています。
お彼岸によく似た言葉で、お盆があるのは有名です。お盆もまた、お墓参りへ出向く風習がありますが、お彼岸との違いはどこにあるのでしょうか。
まず、お彼岸との違いは行われる時期にあります。春と秋の年2回にわたり巡ってくるお彼岸に対し、お盆は年に1度だけです。お盆は新暦の8月15日を中心として、8月13日~16日の4日間がお盆期間になります。地方によってはこの時期にも違いが出ますので、お盆参りとしてお墓へ行かれる際には確認すると良いでしょう。
お彼岸は、前述のとおり極楽浄土へ到達するための修行期間です。一方のお盆は、ご先祖様の御霊をお迎えして供養するという意味合いになります。いずれにしても、お墓参りを行ってご先祖様や故人様を敬い供養するという目的は、お彼岸もお盆も変わらないと考えて間違いはありません。
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続きを読むお彼岸は春と秋に行われますが、それぞれで違いはあるのでしょうか。結論から先に申し上げると、春と秋のお彼岸はどちらもご先祖様を供養し、お墓参りを行うといった点に違いはありません。
しかし、異なる点を挙げるとすれば、お供えするものが異なり、春のお彼岸には「ぼたもち」、秋のお彼岸には「おはぎ」をお供えします。「ぼたもち」と「おはぎ」はそもそも同じ食べ物です。ただし、食べる時期によって名称が異なるのです。
「ぼたもち」と「おはぎ」は漢字で書くと、「牡丹餅」「お萩」となります。春のお彼岸の時期は牡丹の花、秋のお彼岸の時期は萩の花が咲くことが由来とされています。
お彼岸に深く関わる春分の日と秋分の日は、国立天文台が天文学的に割り出した数値により、毎年決められて発表されています。春分の日は、太陽が春分点を通過するタイミングを含む日程であり、秋分の日は、太陽が秋分点を通過するタイミングを含む日程のことを指します。
地球の周りを動く太陽の道筋は、黄道と呼ばれているものです。この黄道が南から北へ通過する時に赤道にぶつかる点を春分点、逆に北から南へ通過する時赤道にぶつかる点を秋分点といいます。つまり、春分点の日が春分の日、秋分点の日が秋分の日なのです。
この情報は、国立天文台が、前年の2月ごろに官報で毎年公表しています。春分の日、秋分の日が発表されると、その前後合わせて1週間がお彼岸の日と決定されるのです。
お彼岸の期間において、どうしても何かを行わなければいけない決まりはありません。ただし、ご先祖様に対する感謝の念を伝え、供養を行う大切な機会でもあります。ここでは、一般的なお彼岸の過ごし方について解説いたします。
年に2回のお墓参りは、ご先祖様への敬いや故人様へのご供養だけではなく、大切なお墓をメンテナンスする意味でも重要なきっかけになります。お墓参りにはぜひ子どもなども一緒に、人を大切にする心やご先祖様を敬う気持ちを伝えるのも良いでしょう。ここからは、お墓参りのタイミングや流れを見ていきます。
お墓参りは、お彼岸の期間であればいつ行っても問題はありません。またお彼岸ではなく、ご先祖様の命日や記念日、何か報告したいことがある時などにお参りに行く方も多いです。お墓参りは回数が多ければ多いほど良いとされているため、月に1回など定期的にお墓参りに行く日を決めておいても良いでしょう。
お墓参りへ行くにあたって、いくつか用意しておくべきものがあります。大まかに分けて3つであり、まずはお参りのための用品、そして供え物、掃除道具です。
寺院や霊園によっては柄杓や桶、墓石をぬぐうための雑巾が用意されている場合もあります。全てを用意する前に、現地へ確認すると良いでしょう。
・お参り用品
手桶(またはバケツ)、柄杓、花鋏(はなばさみ)、数珠、ろうそく、着火ライター
・お供え物
お線香、供花、故人様の好きだった食べ物など
・掃除道具
清潔なタオル、軍手、柔らかいスポンジ、歯ブラシ、ごみ袋(枯れた花やごみを持ち帰るため)
当日現地に到着したら、しゃがんでお墓に手を合わせ、お掃除の許可をいただきます。その後、落ち葉やごみ、枯れた花などを回収し、掃き 掃除もして出たごみを片付けましょう。
次に手桶へ水を汲み、柄杓で水をすくってお墓の上から優しくかけます。そして、高い位置から柔らかいスポンジで撫でるように洗いましょう。隙間汚れには歯ブラシが便利です。締めくくりに、清潔なタオルで水分をふき取ります。
次に、備え付けの花立てや香炉などの 備品も洗い、持ってきた花を供えます。その後、お線香に火をつけて供え、食べ物や飲み物を供えましょう。全てが終わったらお墓に向かって手を合わせ、ご冥福をお祈りします。
お彼岸の期間は、ご自宅のお仏壇や仏具をお掃除し、お花や食べ物などをお供えします。全ての作業が終わりましたら、ご供養の気持ちを込めてしっかりと手を合わせましょう。
お供え物として一般的なのは「ぼたもち」や「おはぎ」です。一般的に、春彼岸にはぼたもち、秋彼岸にはおはぎをお供えします。ぼたもちやおはぎのほか、故人様の好きだったものなどをお供えしても問題ありません。
なお、お供えしたぼたもちやおはぎは、五穀豊穣のご利益や魔除けの効果があるとされていますので、仏壇から下げた後はご家族でいただくと良いでしょう。
ここからは、お彼岸に他家へ伺う場合のポイントを解説していきます。
通常、お彼岸のお参りで他家に伺った場合、ご遺族へお渡しする香典の相場は3,000~5,000円程度です。お供え物も持参する場合は、香典とお供え物とを合わせて5,000円程度にします。例えば、香典が3,000円、お供え物を2,000円程度とし、合わせて5,000円程度にすると良いでしょう。
他家へお参りに行く日程は、お彼岸中のどの日でも基本的に問題はありません。ただし、お相手にも都合があるため、数日前には必ずアポイントメントを取るようにします。万が一お彼岸に伺うのが難しい場合は、お彼岸前で一番近い日程での予定を相談してみましょう。
「彼岸法要」に参列するのも、お彼岸の良い過ごし方といえます。彼岸法要とは、お彼岸に合わせて寺院で執り行われる合同法要で、「彼岸会(ひがんえ)」とも呼ばれています。
彼岸法要を寺院や霊園で行う場合は、各所へ相談してから時間や費用を決めます。なお、僧侶へのお布施は10,000円前後が一般的ですが、ご自宅へお招きする場合は30,000~50,000円が妥当です。遠方であれば、お布施とは別にお車代も包みます。
彼岸法要に参列する場合は、必ず香典を持参しましょう。初彼岸でしたら5,000~10,000円、それ以降でしたら3,000~5,000円程度が相場となっています。特に初彼岸は、大切な思いで過ごされているご遺族が多いです。近しい関係性の方であれば、お供え物(3,000~5,000円程度)も一緒に持参すると喜ばれます。
お彼岸は年2回、春分の日と秋分の日を基点に行われる大切な仏教行事のひとつです。あの世とこの世が最も近づく日であり、ご先祖様に感謝の気持ちを伝える大事な期間とされています。
「お彼岸が何なのか分からなかった」「なんとなくお墓参りをしていた」という方も、意味や由来を理解することによって、お彼岸での過ごし方や気持ちの持ち方が変わってくるのではないでしょうか。お墓参りの機会はそれほど多くはありません。大事なご先祖様の供養のために、仕事のスケジュールを調整してご家族と一緒にお墓参りをしてみてください。
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お彼岸の時期になると、お墓参りへ向かう方が多くなります。これは日本における古くからの習わしで、主な目的はご先祖様や故人様のご供養です。ただし、お彼岸での鎮魂方法はお墓参りだけに留まらず、僧侶を招いた法要が執り行われることもあります。 そこで当記事では、お彼岸の意味や法要に関する香典のマナーについてご紹介いたします。
日本には、ご先祖様や故人様の御霊を慰めるためのお彼岸という慣習があります。あの世とこの世が最も近づくと伝えられている日に、お仏壇を清めてお供えし、お墓参りに出向いて法要を執り行うことによって、御霊のご供養をする期間です。 ここでは、お彼岸に行われる法要の意味や種類、僧侶に対するお布施の相場とお渡しする際のマナー、参列時の服装についてお伝えいたします。
夏本番を迎えてお盆が過ぎると、次にやってくるのは秋のお彼岸です。お彼岸といえばあの世とこの世が最も近づく時期とされており、ご先祖様に対するご供養でお墓参りへ向かう方も多いです。 そのような中で、もしも彼岸会(ひがんえ)へ参列したり、自宅に僧侶を招き読経をお願いしたりする場合、お布施の総額はどのくらいになるのかと悩む方もいらっしゃるでしょう。当記事では、さまざまなお彼岸の迎え方やお布施のマナーを詳しく解説していきます。