2022-05-27
神道以外の宗教を信仰していても、ご自宅に神棚がある方がいらっしゃると思います。ご自宅に神棚がある方のご家族にご不幸があると、神棚に半紙を貼り封印します。これを「神棚封じ」と言いますが、なぜ神棚を封印しなければならないのでしょうか。また、神棚封じは、誰がどのようにするものなのでしょうか。
そこで今回は、神道における重要な作法の1つである神棚封じをする理由やその手順、封じておく期間などについてご紹介します。
神道では、古来より「死」は穢れととらえており、神様は穢れがあると力を失ってしまうと考えられています。このため、死という穢れで神様が力を失わないようにするために神棚封じが行われるのです。
ちなみに、「穢れ」というと汚いとか不浄という悪いイメージを抱く人が多いと思います。しかし、神道でいう穢れというのは、「気枯れ」とも書き、不浄というわけではなく「気が枯れて」いる状態のことを言います。
人間は悲しいことや辛いことがあると、活力や気力が失われます。特に、大切な方がお亡くなりになったということであれば、深い悲しみで気が沈み込むことになるでしょう。このように、気力が失われている状態を「気枯れ」ている=「穢れ」ていると呼ぶようになったとされています。
それでは、神棚封じは、いつ、誰がどのように行うのでしょうか。
神棚封じを行う時期としては、ご家族が亡くなった時点で行います。そして、神棚封じを行う人はご遺族ではなく、死の穢れが及んでいない第三者が行います。
1. 神棚の神様に挨拶をしてから、誰が亡くなったのかを伝えます。
2. 神棚にお供えしてある御神酒や米や塩などのお供え物や榊を下げます。
3. 神棚の扉をきちんと閉めてから、白い半紙などを使用して神棚が隠れるようにします。
4. しめ縄がある場合は、しめ縄の上から半紙を貼ります。半紙を貼る際は、神棚を傷付けるのを防止するためセロテープを用いて神棚を封じるとよいでしょう。
神道を信仰していなくても、神棚が自宅にある場合もあります。この場合でも、同様の手順で神棚封じをするようにしましょう。
神道においては、50日間が忌中の期間となります。したがって、50日間神棚を封印しておく必要があります。神棚封じの期間を終えた後は、塩で身を清めた上で礼拝をした後に半紙を取り、普段と同じお供えをするようにしましょう。
地域によっては祖父母の場合は30日間、父母の場合は50日間というように神棚封じの期間が異なる場合があります。そのため、神棚封じの期間については地域の慣習を確認しておきましょう。
なお、仏教を信仰されている場合でもご自宅に神棚がある際の神棚封じに関しては、神道の考えにのっとることになります。
忌中に関しては以下の記事で詳しく紹介していますので、是非ご参照ください。
忌中の期間や控えるべきこととは?知っておきたい忌中のマナー
大切なご家族が亡くなったという悲しみで「気が枯れている(穢れている)」ことの影響を神様に与えないために神棚封じをしているのですから、お供えをしたり拝礼することは控えるようにしましょう。
また、普段は榊やお米、塩水など神棚に供えていらっしゃったとしても、神棚封じの期間はそれらを供えてはいけません。「お供えをしないと失礼にあたるのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、「気が枯れている(穢れている)」時に神棚に触れることのほうがよくないことですので、気をつけましょう。
誤って半紙がはがれてしまったら、再び貼り直すだけで問題ありません。貼り直す際は、ご遺族と無関係の第三者が行うのが望ましいのですが、難しいようであればご遺族が行っても構いません。半紙を貼り直す際は、塩で身を清めてから行いましょう。
お正月は新年のお祝いする時期です。しかし、お正月に神棚封じの期間(忌中)が重なってしまった場合は、神棚に拝礼したり神社に参詣してはいけません。年賀状の代わりに喪中はがきを出し、新年のお祝いができないことを知らせておきましょう。
神棚を封印するのであれば、仏壇も同様に封印した方がよいのではないかと思わる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、神棚を扱う神道と仏壇を扱う仏教では「死」に対する考え方が異なります。死を穢れとしてとらえる神道とは異なり、仏教では死を穢れと捉えないので、仏壇を封じる必要はありません。そのため、いつも通りお参りをしていただいて問題ございません。
ご葬儀の作法を確認するのも大切なことですが、同じようにご葬儀を執り行った後の作法を確認するのも大切です。なお、地域によって神棚のほか仏壇も封印する習慣があります。作法に不安がある際は、周囲の人や葬儀会社などに尋ねるのもよいでしょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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