2023-09-22
ご家族が亡くなると、しばらくはご葬儀やさまざまな手続きに追われる日々が続くことになります。その中で、つい疎かになってしまいがちなのが、喪中はがきの準備です。
喪中は祝い事の行事を控えるのがマナーになりますので、正月の前に喪中はがきを送り、喪中の旨を伝えることも、大切な行いの一つになります。そこで当記事では、喪中はがきを出すタイミングや書き方のポイントについて、詳しく解説していきます。
喪中はがきを出すにあたり、最初に考えるのは喪中はがきを出すべき時期です。喪中はがきは、11月中旬頃から投函を始めるのが好ましいとされています。遅くとも12月初旬頃までには、先方へ届くよう心掛けましょう。
理由としては、年賀状の発売が11月1日、そして郵便局での年賀状受付が12月15日からとなっているためです。先方が年賀状を出す前に、こちらからは年賀状が出せない旨を伝えなければなりません。
なお、12月上旬までに喪中はがきを投函できなかった時は、1月7日から立春の日までの間に「寒中見舞い」を送り、喪中である旨を伝えましょう。
先程の項目でも述べたように、喪中はがきを差し出すのに適しているといわれる一般的な時期は11月頃です。郵便局で喪中はがきの販売が始まるのは10月ですので、10~11月上旬には、デザインや文書を考えるなどの準備が始められます。
近年では、年賀状が販売される前の秋頃を目安に喪中はがきを差し出す方も増えていますが、9~10月頃の早い時期に喪中はがきが届いても、先方が忘れてしまい年賀状を出してしまうといった事態に繋がりかねません。
このように、喪中はがきの到着があまりに早すぎると、先方のご迷惑になってしまう可能性があります。したがって喪中はがきは、年賀状の準備に入る少し前の時期に届けられるように送ると良いでしょう。
喪中とは、ご遺族が故人様を偲び、慶事を控える儀礼的禁忌の状態を指し、期間は一般的に約1年間とされています。この喪中期間内で、新年を迎える前に送るはがきを「喪中はがき」と呼びますが、正式名称は「年賀欠礼挨拶状」です。
喪中は、その名の通り喪に服している期間であるため、年賀状で新年を祝うことができません。そこで、新年の挨拶状を控える旨を伝えるために、喪中はがきを先方へ送付する必要が出てくるのです。
身内に不幸があった場合、喪に服すのは、故人様から2親等までのご親族です。故人様の配偶者・子ども・両親・義両親・兄弟姉妹・義兄弟・孫までが2親等にあたるため、喪中はがきを差し出すことになります。
喪中はがきを出す相手は、毎年年賀状をやり取りしている方、それからお勤め先の上司が一般的です。加えて故人様と付き合いの深かった方や、親しくしていた方へ送るのも良いでしょう。
喪中はがきは、郵便局で10月に販売される喪中専用の官製はがき(通常タイプまたは箔付きタイプ)を購入するのが一般的です。また通常の官製はがき、私製はがき(要弔事用切手)のどちらを使用しても、華美なデザインでない限りは問題ありません。
喪中はがきに使用する言葉は、ご葬儀の通知状で使用する文章のように、いくつか守らなければならないポイントがあります。喪中はがきは、人生の区切りともいえる大切な挨拶状のため、正確に記載しなければなりません。ここからは、喪中はがき作成において注意すべき点をご紹介していきます。
喪中はがきは「弔事」に関わる手紙ですので、会葬礼状などと同じように前文を省略し、主文から始めます。前文とは、通常の文書で使用される頭語(拝啓、拝呈)、結語(敬具、拝具)、季節を伝える言葉(~の候)のことです。
書き出しは主文から行い、年賀欠礼について記載しましょう。おめでたい意味を示す「年賀」は使用しないよう気を付け、「新年」「年始」「年頭」のいずれかを用います。例文としては、「喪中のため年頭のご挨拶をご遠慮申し上げます」「喪中につき新年のご挨拶を失礼させていただきます」などです。
喪中はがきでは、会葬礼状と同じように句読点は使用せず、行頭の一字下げも行いません。日本において、これらを正式な挨拶状で用いないことが習わしとなっているためです。一例として、句読点や一字下げが使用された例文をご覧ください。
喪中につき、新年のご挨拶を失礼させていただきます。
本年、母 〇〇が、〇月に〇〇歳にて永眠いたしました。
生前中に賜りましたご厚情に、心より感謝申し上げます。
明年も変わらぬご厚誼のほど、よろしくお願い申し上げます。
一見、違和感のない文章に見えるかもしれませんが、これは喪中はがきにおいては誤りです。句読点や一字下げは、文字を読みやすくするために、明治時代に使用されるようになりました。その背景には、字が認識しづらい方への配慮があったようです。
そこで、読解力のある方に向けた文書では、句読点や一字下げを用いないという考えが一部現代にも残り、正式な挨拶状で使用するのはマナー違反とされるようになりました。したがって、喪中はがきに適した文書は以下になります。
喪中につき新年のご挨拶を失礼させていただきます
本年 母 〇〇が 〇月に〇〇歳にて永眠いたしました
生前中に賜りましたご厚情に心より感謝申し上げます
明年も変わらぬご厚誼のほどよろしくお願い申し上げます
喪中はがきは、年賀欠礼のみを記載する挨拶状です。したがって、引っ越しや結婚、出産などの近況報告を記載すると、マナー違反となってしまいます。近況報告を行いたい場合は、メールや電話、寒中見舞いなど、喪中はがきとは別の方法で行うようにしましょう。
かつて弔事で使われていた文字は、急な悲しみで墨を磨る時間も持てないことを表現するため、全て薄墨色が使用されていました。しかしながら、喪中はがきを出す時期には、ご葬儀から時間が経っていることが多いため、黒色で執筆してもマナー違反にはあたりません。
なお、パソコンやスマートフォンで喪中はがきを作成する場合は、文字のフォントにも気を付けなければいけません。ポップな字体は避けるようにし、楷書体や明朝体を使用するようにしましょう。
官製はがきは、料額印面が胡蝶蘭柄のものが喪中はがき用として定番となっています。図柄がすでに印刷されている市販のはがき(私製はがき)に切手を貼って投函する際は、郵便局で販売されている「弔事用63円普通切手」を使用しましょう。
喪中はがきは、あくまで喪に服すための挨拶状です。したがって、華美なデザインが施されている切手やキャラクターなどが印刷されている切手、シンプルでも弔事用以外の切手は避けるのが無難です。
夫婦連名で喪中はがきを出すことがある場合は、夫の続柄に合わせるのが一般的とされています。つまり、夫を基準としてどの続柄になるのか、といった形です。 例えば、妻のお父様が亡くなられた際は、「本年〇月に義父○○が○○歳にて永眠いたしました」や 「(妻の名前)の父 ○○」というように記載します。
喪中につき新年の
御挨拶を御遠慮申し上げます
本年〇月に 父 〇〇〇〇が〇〇歳にて永眠いたしました
ここに本年中賜りましたご厚情を深謝申し上げます
明年も変わらぬご厚誼のほどよろしくお願い申し上げます
令和〇年〇月
〒〇〇〇ー〇〇〇
住所〇〇〇〇〇〇
氏名〇〇〇〇
喪中はがきをお送りしなかった人から年賀状が届いた場合は、年賀状のお礼や喪中であることを相手に伝えるためにも「寒中見舞い」や「年始状」を送りましょう。一般的に、寒中見舞いは1月8日以降~立春にかけて出し、年始状であればお正月に届くよう郵送します。
寒中見舞いとは、暑中見舞いと同様に、気候が厳しい中で送り先の方を気遣うための挨拶状です。また年始状とは、2012年から登場した喪中はがきをいただいた方にお送りできる、賀詞で寿や祝などのおめでたい言葉を使用しない挨拶状です。
いずれも、慶事以外の方法で連絡を取るために活用できる方法として、覚えておくと良いでしょう。
近年ではパソコンやスマートフォンの普及により、喪中はがきを自作する方も増えてきました。だからこそ、年賀欠礼の挨拶にもなる喪中はがきは、受け取る側の気持ちになって失礼のないように出す心掛けが大切です。
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