2024-10-25
人が亡くなるとお通夜やご葬儀が執り行われ、火葬後のご遺骨は骨壺に入れ埋葬するのが一般的です。しかしながら、地域によっては骨壺の代わりに納骨袋(のうこつぶくろ)を使用します。今回は、納骨袋とは何か、その使用目的や使い方、手に入れる方法について解説いたします。
納骨袋とは、火葬されて骨壺に納めたご遺骨を移し替えるための袋です。地域によっては「骨袋」「さらし袋」「骨壺袋」とも呼ばれており、主に木綿など天然素材の生地で作られています。
納骨袋の大きさや形に決まりはありませんが、巾着袋のような形をしているものが多いようです。また、最も多く使用されている生地はシンプルな白無地で、そのほかには着色された生地や柄物、刺繍が施されたものもあるようです。
納骨袋は、主に関西や北海道のご葬儀、四十九日の納骨で用いられます。天然素材の納骨袋へ納めたご遺骨は、埋葬後も自然に土へ還すことができるため、「ご遺骨を土に還すべき」といった考えが根強い地域では、納骨袋で埋葬されるのが一般的です。
骨壺のままお墓へ埋葬するのが通例となっている地域の方にはあまり馴染みのない納骨袋ですが、分骨する際や宗派の教えによっては納骨袋が用いられることもあります。
ここからは、納骨袋の使用方法や用途についてご紹介していきます。
火葬場で骨壺に収められたご遺骨は、お墓へ埋葬するため骨壺から取り出され、納骨袋へ納められてから埋葬されます。
なお、関西のお墓は、ご遺骨を安置するスペースが比較的小ぶりの施設が多いです。そのため、ご遺骨の一部のみを納骨袋に入れてから埋葬するパターンが多いようです。
分骨とは、故人様のご遺骨を数か所の場所に分けて埋葬することです。遠く離れた土地に住むご遺族同士がそれぞれご供養していきたい場合や、故人様のご希望で散骨される際に一部のご遺骨をお墓に残してご供養したい場合、そして手元供養を希望されている場合など、さまざまな事情で分骨が行われます。このように、ご遺骨を分けてご供養したい場合、必要な数の納骨袋を用いれば分骨作業がスムーズに行えるでしょう。
納骨袋を使用するにあたっては、以下のようなメリットが生じることも覚えておくと良いでしょう。
・骨壺より場所を取らない
納骨袋は、陶器で大ぶりの骨壺よりも小ぶりにまとめられるため、省スペースとなります。ゆえに、一つのお墓へ多くの人数を埋葬することができます。
・風通しが良くご遺骨が痛みにくい
陶器の骨壺は風通しが悪いため、ご遺骨に湿気によるカビが生えることがあります。一方の納骨袋は、木綿の天然素材で作られているため、ご遺骨を自然な形で土に還すことができます。
納骨袋が購入できるのは、石材店や仏具店です。店舗に行くのが難しい場合は、インターネットでも購入できます。そのほか、天然の木綿生地を用いて自作される方もいます。ただし、菩提寺や霊園から柄が指定されている場合はそれに従いましょう。
納骨袋の価格相場は、シンプルな白無地なら1,000円程度です。ただし、細やかな刺繍や高級な生地が使用されている場合は、3,000~10,000円ほどするものもあります。
納骨袋は基本、自然の素材でできていますが、無地のものから柄物、お経が書いてあるものなどさまざまです。白無地の木綿が最もスタンダードですが、故人様がお好きだった色を選ぶこともできます。
なお、浄土真宗や浄土宗の寺院に埋葬する納骨袋には、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」の文字、臨済宗、真言宗、天台宗、曹洞宗などの納骨袋は「般若心経」の文字が記載されています。
地域や寺院によって、考え方はさまざまです。埋葬方法も寺院や霊園により、厳格なルールが設けられていたり、自由が利いたりなどの違いがあります。そのため、一存で色々なものをそろえず、周囲の方への確認を怠らないようにすることも大切です。
ご遺骨を納めるための納骨袋には、さまざまなメリットがあります。地域や寺院、宗派、ご家庭のご都合によってご使用の有無は分かれますが、万が一ご使用の機会があった際には、当記事をお役立ていただければ幸いです。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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