2024-03-29
大切なご家族を供養するため、ご遺骨に対して行う方法の一つが粉骨です。当記事では、粉骨についての解説や注意点、粉骨の方法、粉骨後のご供養について詳しく解説していきます。
粉骨とは、ご遺骨を粉状になるまで細かく粉砕することを指します。一般的なご供養では、粉骨の必要はありません。しかしながら、自然葬や手元供養など、ご遺族の希望する埋葬方法によって、粉骨をしなければならないこともあります。
結論からいえば、粉骨は違法に当たりません。骨の形をそのまま残した状態で海や空などへ散骨すれば、遺骨遺棄の罪に問われることになりかねないので注意しましょう。粉骨をするという行為に対してそれを禁止する法律はありませんので、ご自身で骨を粉砕しても業者に任せても問題にはなりません。
粉骨に際して、厚生労働省によって「粉骨に際するガイドライン」が定められています。その主たる内容は、散骨事業者への注意喚起ともいえるもので、骨片の大きさや散骨の場所についてなどが記されているのです。
なお、散骨と粉骨はセットで考えられることが多くなってきています。なぜならば、ご遺骨と分かるような形のものを遺棄すれば、供養のために行った行為だとしても、犯罪行為に発展しかねないためです。近年では特に、ご遺骨の取り扱いについて慎重にならなくてはいけないという意識が高まっています。
では、粉骨はどのような埋葬方法で行うことになるのでしょうか。粉骨の目的は、主に以下でご紹介する3パターンです。
大切なご家族が亡くなってしまった場合、そのご遺骨をいつまでも手元に置いておきたいと考える方も少なくありません。しかしながら、メインの骨壺は大ぶりなこともあり、家での保管が難しくなることもあるでしょう。
そのような場合に備え、粉骨をしておくという手段があるのです。ご遺骨が粉状になることで、カビなども生えにくくなり、小さな骨壺へ入れて手元に置いておきやすくなります。また、粉状になったご遺骨はアクセサリーやプレートなどへの加工もできますので、ご遺骨と常に寄り添いたいと考える方にとっても重宝されています。
散骨とは、サラサラの粉状にしたご遺骨を海や山、空へ向けて撒く葬送方法です。散骨は主に海へ撒く海洋散骨、山へ撒く里山散骨、空へ向かって打ち上げる宇宙葬もしくはバルーン葬などがあります。
散骨するには、法律上の観点からご遺骨を2ミリ以下の粉状にする必要があります。しかし、粉骨したからといって個々で好きな場所へ撒きに行くことはおすすめできません。なぜならば、そこが観光地や住宅地、漁場の近くであった場合は、周辺の迷惑になりかねないためです。また、人々の生活水源にもなる川や湖、海上交通経路での散骨も控えるべきでしょう。
一部の地域では、散骨を禁止する条例も出ています。したがって、散骨したい場所がある場合は、地域の役所などへ確認することが大切です。さまざまなトラブルを回避して万全を期すためにも、まずは散骨業者と場所や日時などを相談してみましょう。
ご遺族同士が遠い地域にお住まいだったり、ご親族それぞれがお手元で供養したかったりなどの希望がある場合は、分骨という選択肢もあります。もしも分骨をお考えの場合、粉骨しておくことで希望するご遺族それぞれがご遺骨を安置しやすくなります。
粉骨する目的のご説明をしてきましたが、ここからはどのようにして粉骨を行えば良いかを解説していきます。
大切なご遺骨を他人に預けたくない、費用を節約したいなど、さまざまな理由からご自身で粉骨をしようと決めた場合は、以下の手順で粉骨ができます。なお、ご自身の手で粉骨することに関しては法律の規制対象には当たりません。
しかしながら、粉骨を全て手作業で行うとなると、相当の時間と労力がかかることを念頭に置かなければなりません。
1.ご近所へ不快な思いをさせることのないよう、人から見える位置での作業は控えましょう。
2.丈夫な袋へご遺骨を入れたら、その上からハンマーである程度小さくなるまで砕きます。
3.袋の中からご遺骨を取り出し、粒が2ミリ以下の粉状になるまで細かく粉骨します。
粉骨用のキットも販売されていますので、そちらを試してみても良いでしょう。しかし、ご遺骨はかなり固いため、手作業での粉骨は精神的にも肉体的にもかなりの負担を要します。
ご自身での粉骨ではなく、業者へ依頼する方法もあります。業者には粉骨機で粉骨を行うところや手作業で粉骨するところ、遺骨を郵送でやり取りできるところ、粉骨作業を目の前で見せてくれるところなど、さまざまな種類があります。
まずは会社の情報公開をしている専門の業者であるか、希望に対して親身になってくれるか、料金は明確であるか、どのような方法で粉骨してくれるのかなどを確認しましょう。
ここでは、業者へ依頼した場合の散骨手順をご説明していきます。混み具合や作業内容によって、粉骨作業の所要時間はさまざまですが、目安は1~3時間程度です。混んでいる時期であった場合、粉骨の作業へ入るまでに10日~2週間程度の待ち時間を要する場合があります。
1.業者は黙祷をささげた後、骨壺からご遺骨を取り出します。この際、ご遺骨に混ざっている不純物を取り除く作業も行います。
2.ご遺骨の洗浄、乾燥を行います。オプション料金がかかる場合もあるので確認しておきましょう。
3.機械、または手作業での粉骨が行われます。この際、ご遺族が作業内容に立ち会えるかどうかは事前の問い合わせが必要となる場合があります。
4.粉状になったご遺骨は、パッケージングしてからご遺族へ戻されます。
地域によって、業者がご遺骨を引き取りに来てくれるサービスがあります。その場合、引き取り料は粉骨代とは別になることがほとんどですので、利用する場合は料金を確認しましょう。なお、引き取ってもらう際には火葬証明書が必要です。
粉骨にかかる費用相場は10,000~30,000円程度ですが、依頼内容やご遺骨の大きさによって金額が変動するほか、仕上げたご遺骨を入れるパッケージのグレードなどでも料金に差が出ます。
なお、手作業での粉骨を依頼された場合は、時間や手間にかかるため、その分料金も高額となる傾向にあります。
ここからは、粉骨を行うに際しての注意点をまとめていきます。後々のトラブルに発展させることのないよう、下記の項目についてご留意ください。
粉骨すること自体に、法律上の問題はありません。しかしながら、粉骨することに抵抗を感じる方も少なからずいらっしゃいます。粉骨の決断は決して一人で行わず、 ご家族やご親族としっかりと相談することが大切です。
粉末になったご遺骨は、カビにくくなったり加工しやすかったりといったメリットもありますが、こぼれやすくなってしまうというデメリットもあります。
仏壇を掃除する際などにうっかり骨壺を倒してしまうと、粉状になったご遺骨が散らばってしまうかもしれません。したがって、骨壺の蓋はしっかりと密閉できるものを選びましょう。
骨粉を加工する場合は、粉塵が舞い上がることのないよう丁寧に扱うことが大切です。粉塵を吸い込まないよう、マスクやゴーグルなどを着用しましょう。骨粉業者へ依頼すれば、引き渡しの際に小分けにしてくれる場合もありますので、一度確認してみましょう。
粉骨をすることで、故人様のご供養の幅は大きく広がります。しかしながら、粉骨に際してはいくつかの注意点がありますので、慎重な作業が求められます。粉骨をご自身で行うのは大変な労力が必要になりますので、不安がある場合は業者へ依頼するのも一つの手段です。
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