2022-12-02
故人様と長く一緒にいるために、「寝ずの番」をしたという経験を持つ方も多いでしょう。寝ずの番をする場合、葬儀場の注意を守りながら準備をする必要がありますが、具体的にどんなことをすれば良いのか分からず困ってしまう方も珍しくありません。今回は葬儀場で寝ずの番を行う際に持参する持ち物や、事前に注意すべきポイントなどについて解説していきますので、今後の参考にしてみてください。
通夜の後、ご遺族が寝ずの番を行うことがあります。寝ずの番とは、ロウソクの灯りや線香の煙が絶えないよう、故人様の見守りも兼ねて行う風習です。
基本的に、通夜の翌朝まで行いますが、現在では「半通夜」として日付が変わるまでなど、時間を短縮する場合もあります。また、都市部などでは防犯上の理由に寝ずの番を行わない葬儀場も少なくありません。
葬儀場で寝ずの番を行う理由は、主に以下の2つといわれています。
仏教では、故人様が亡くなってから49日間は冥府を旅するとされており、故人様が迷わずに旅ができるよう、願いを込めて寝ずの番を行うといわれています。ロウソクと線香の火や煙を絶やさないよう、注意しながら見守ります。
医学が発達する前は、安置された故人様が生きていたという事例がいくつかあったようです。そのため、ご遺族が故人様の様子を確認するために寝ずの番を行っていたといわれています。この名残を受け、現在では故人様と最後のお別れをする機会となっています。
ただし、寝ずの番をするといっても、葬儀場は宿泊施設ではありません。ホテルのようにゆっくりと過ごせるものではなく、あくまで仮眠を取る程度の認識であることを頭に入れておきましょう。
寝ずの番に明確な決まりはなく、一般的には配偶者や子ども、孫が行います。また、単独で行うという決まりもないため、ご家族全員で寝ずの番をしても問題ありません。これに加え、親族でなければならないという決まりもなく、故人様と親しかった友人や知人が寝ずの番をすることもあります。
寝ずの番をする際に用意するものは下記のとおりです。
・香典
・数珠
・着替え
・アメニティグッズ
次項では、それぞれの持ち物について詳しく解説します。
寝ずの番の後、徹夜明けのような状態でご葬儀に参列することになるため、香典はあらかじめ準備しておくと安心です。香典を忘れると故人様やご遺族に失礼なので、表書きまでし終わった香典を準備しておきましょう。
葬儀場が自宅近くであれば、寝ずの番の後に数珠を取りに帰れることも可能ですが、場合によっては間に合わないことも考えられるので、あらかじめ準備しておく方が無難です。また、数珠には厄除けの意味合いがあるので、なるべく寝ずの番のときに持っていくようにしましょう。
通夜で着用した喪服は、翌日のご葬儀でも着用するものです。そのまま寝ずの番をすると、喪服がシワになったり汚れたりする可能性があります。喪服をご葬儀まできれいに保つため、あらかじめ寝替えを準備しましょう。
人によって異なるものの、ジャージやスウェットなどゆったりと過ごせる服装を選ぶのが無難です。また下着や靴下、女性であればストッキングなどの準備も必要です。
歯ブラシや洗顔フォーム、タオルなど最低限身だしなみを整えられるアメニティグッズを準備します。男性ならひげ剃り、女性ならメイク道具も必要です。また、ヘアアイロンやヘアドライヤーなども必要に応じて持参しましょう。
寝ずの番を行うときは、下記2つの点に注意しましょう。
・寝ずの番ができる葬儀場とできない葬儀場があること
・葬儀場は宿泊施設ではないこと
事前に把握しておき、余計なトラブルを起こさないよう注意しましょう。
葬儀場が閉館すると、スタッフが不在になり、寝ずの番をする方だけが残ることになります。スタッフがいない中、寝ずの番をする方だけを残すのはリスクが高く、寝ずの番ができない葬儀場も少なくありません。
また、寝ずの番では線香やロウソクを灯し続けることになります。万が一、線香やロウソクが倒れると火災が発生してしまうかもしれないので、安全性を考慮して寝ずの番を許可していない葬儀場も多くあります。
前述したとおり、葬儀場は宿泊施設ではありません。寝ずの番を行う方に提供されるのは、仮眠ができる程度の設備が整った部屋で、お風呂やシャワーを完備している葬儀場はさほど多くありません。翌日のご葬儀に備えてゆっくり休みたい、アメニティグッズを準備したくないと考えているのであれば、近場のホテルに宿泊しましょう。
今回は、葬儀場で行う寝ずの番で必要になる持ち物や、事前に把握すべき注意点について解説しました。葬儀場は宿泊施設ではなく、用意されるのはあくまでも仮眠できる部屋のみです。翌日のご葬儀に慌てて参列することがないよう、事前に必要な準備を行ってから寝ずの番に臨みましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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