2021-10-15
どのようなご葬儀にするかは、故人様とご遺族の希望に沿って決定しますが、両者の意向が一致しないこともあります。例えば、故人様は家族だけでご葬儀を執り行ってもらいたいと希望しているけど、ご遺族は、故人様の死を惜しむご親族や友人・知人など、できるだけ多くの人にお別れの機会を作りたいと思い、一般葬を希望する場合です。
そこで今回は、ご家庭によって事情も様々ありますが、故人様とご遺族のどちらのご希望を尊重すれば悔いの残らないご葬儀になるかを考えていきます。
ご葬儀の主役は故人様です。ご遺族の意向と違った場合でも、できるだけ故人様の希望を優先しましょう。ご葬儀の話は事前にしづらいことではありますが、ご葬儀をするか・しないか、ご葬儀を執り行う場合に誰を招くか、どんな形式にしたいかなどの希望を伝えておく、または聞いておくようにしましょう。
ご葬儀の希望はエンディングノートなどに書いて、保管場所をご家族に伝えておくなどするとよいでしょう。エンディングノートは、遺産や相続を取り決める「遺言書」や死を前提にした最後のメッセージの残す「遺書」とは違い、自身の死後、ご葬儀はどうしたいかなどの希望を記す計画書のようなものです。
以下のように、細かい希望があれば、エンディングノートに書いておくと丁寧でご遺族にとってもご葬儀の準備がしやすくなります。
・葬儀をしてほしいか、してほしくないか、または家族にまかせるなど
・喪主をお願いしたい人(氏名や連絡先)
・施主をお願いしたい人(氏名や連絡先)
・ご葬儀の規模(火葬直葬、家族葬、一般葬、密葬の後にお別れの会・社葬)
・ご葬儀の場所(自宅、セレモニーホールや斎場、寺院、教会、公営集会所、その他)
・ご葬儀の形式(仏式、神道式、キリスト教式、無宗教、その他)
・祭壇の希望(白木、デザイン、好きな花あれば季節ごとに書く)
・特別なご葬儀の希望(音楽葬・樹木葬・海洋葬・無宗教葬)
・生前予約、生前契約の有無
・予約している会社(会社名、連絡先、担当者名、契約書や見積書の有無と保管場所、支払の有無、領収書、支払方法、契約内容)
・予算○○万円ぐらいというところまで具体的な金額を書く
・費用にあてる自己名義の預貯金の有無
・充当するべき資金源の有無、内容
・葬儀保険の加入の有無(会社名・連絡先・担当者名・証書の保管場所)
・互助会への加入の有無(連絡先・契約内容・加入者証等の保管場所)
・葬儀会員制度への加入の有無(葬儀社名・契約内容・会員証などの保管場所)
・戒名や法名はつけてもらいたいか不要か
・すでに持っている戒名と依頼した寺、宗派があれば書く
・戒名をつけてもらいたい場合の希望と予算の目安
・死装束の希望(和装か洋装かなど)
・遺影の有無(使用してほしい写真があればその保管場所)
・生花祭壇の希望の花種、希望の花色、希望のデザイン
・副葬品の希望(生花、手紙、写真、愛用品、冥銭、米と塩など)
・音楽の希望(CDか生演奏か、曲名など)
・メモリアルコーナーの希望(展示品の内容と保管場所、設置するorしない)
・霊柩車を用いる地域での利用の希望有無(宮型、洋型、走行ルートなど)
・通夜の形式(一般的な通夜、身内のみ、その他)
・供花と香典(供花、香典を受けるor辞退する、香典返しの希望)
・訃報を知らせ葬儀に呼んでほしい人(氏名、自宅電話番号、連絡先、その方との関係)
・ご葬儀後に訃報を知らせてほしい人(氏名、自宅電話番号、連絡先、その方との関係)
・訃報を知らせてほしくない人(氏名、自宅電話番号、連絡先、その方との関係)
・弔辞をお願いしたい人(氏名と連絡先)
・焼香や献花の希望(焼香の種類、献花、神道式の玉串拝礼、その他あれば)
・焼香や献花の呼び出しの順
・献花に希望する花の種類や色
・家族それぞれへのメッセージ
基本的にご葬儀は故人様のために行うものですが、一方で、残されたご家族やご親族、ご友人たちが気持ちの整理を行う上での大切な通過儀式といえるでしょう。
ご家族は故人様をしっかり見送ってあげたいという気持ちでご葬儀の準備をしますし、親しかったご友人たちも故人様と最後のお別れをしたいと思うのは当然のことです。お通夜式やご葬儀・告別式の場では、回りの方に助けられたり、ご親戚やご友人の言葉で心を救われることがあるかもしれません。
また、故人様の希望通り、身内だけでご葬儀を行ったところ、ご葬儀後に訃報を知らされた弔問客の対応で大変だったというケースもあるようです。そういったことなども踏まえて、ご葬儀は残された者のことも配慮しながら行えるとよいでしょう。
双方が悔いの残らないご葬儀を行うためには、生前からご葬儀についてご家族で話し合われておくことが大切です。「生前に葬儀の話をするなんて不謹慎だ」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、あらかじめご家族でお話しておくことは多くのメリットがありますので、遺されるご家族のためにも、お話をしておくとよいでしょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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