2020-09-03
ペットを飼われる方が年々増え続けるのに伴い、「ペット葬儀」を執り行う方も増えてきています。大切な家族の一員として共に生活をしているペットにも「もしもの時」は訪れます。愛するペットが亡くなってしまった時のことを思うと、とても辛く悲しいことではあります。
そこで今回は、最近増えてきているペット葬儀とは何なのか、どういう流れなのか、服装などのマナーはあるのかなどについてご紹介します。
ペット葬儀は、これまで大切な家族の一員として生活を共にしてきたペットが亡くなった際に執り行われる葬儀様式の総称になります。
以前はペットの亡骸は焼却炉に運搬して焼却処分するか、小動物であれば土に埋めていましたが、近年ではペットを家族に迎え入れるご家庭の増加に伴い、それらに抵抗を覚える方が増えてきました。
そうした中で、ペット関連のサービスが充実していき、ペットと同伴できる飲食店やペットトリマー、ペットホテルなどが登場し、そして「家族同然の生活をしていたペットの最期を私たちと同様に執り行ってあげたい」という多くの飼い主の方々の要望からペット葬儀が生まれました。現在では、ペット霊園やペット葬儀を専門で執り行っている会社などがあり、これからも増えていくと言われています。
ペット葬儀は、私たち人間のご葬儀と同様に様々な種類があります。以下では、ペット葬儀を4種類に分類して、それぞれの特徴をご紹介します。
ペット葬儀における合同葬は、たくさんのペットを同時に火葬する形式になります。たくさんのペットを応じに火葬するため、他のご家庭のペットのご遺骨と混ざってしまうため、お骨上げができません。
また、費用面においてはご紹介する4種類の中でも一番安価で執り行えるのも特徴です。
ペット葬儀における立会葬は、ご葬儀の中に「お見送り出棺」「火葬」「お骨上げ」「納骨」が含まれています。つまり、私たち人間とほぼ変わらない形式と言えます。
立会葬では名前のとおり、飼い主の立会いのもとで執り行われます。そのため、丁重にペットを弔ってあげたいという要望に沿ったご葬儀が執り行えるのが特徴です。
個別一任葬は、丁重にペットを弔いたいけど、どうしてもご葬儀の時間がとれなかったり、時間に余裕がない飼い主の要望に応えた形式になります。
「立会葬」と同様の流れでご葬儀が執り行われますが、「火葬」「お骨上げ」時に飼い主が立ち会うことができません。これらは葬儀場スタッフによって行われ、火葬後のご遺骨を後日お迎えに行っていただくか、ご自宅でお渡しになるのが特徴です。
訪問火葬は、「火葬車」という火葬炉を積載した専用車両がご自宅まで出向き、ご自宅や指定された場所でペットを火葬する形式です。火葬後のお骨上げについては選択できます。また、火葬場や葬儀場に出向くのが時間的・地理的に難しい方やペットとの思い出の場所で火葬したいと考える方に適した形式でもあります。
ペット葬儀では私たち人間と同様に、読経や焼香を行えます。以下で一般的なペット葬儀の流れについて見ていきましょう。
1.ペットを安置
ペットのご遺体を清め、底に柔らかいものを敷いた棺や箱にご遺体を安置します。
2.ペット葬儀社に連絡
ペット葬儀社に連絡をし、ご葬儀の形式やお迎えに来ていただく日時を予約します。
3.火葬場に向かう
ペット葬儀社のお迎えの車が到着したら火葬場に向かいます。ご葬儀の形式が訪問火葬の場合は火葬車が指定の場所に到着してから火葬が執り行われます。
4.ご葬儀(火葬)を執り行う
先述したように、ペットのご葬儀でも司式者による読経や焼香を執り行うことができます。
火葬の際に、副葬品としてペットが好きだったおやつやご飯をティッシュなどに包んで口元に置いてあげてもよいでしょう。なお、おもちゃなども副葬品として納められますが、金属やプラスチックのおもちゃなどは火葬の際に溶け残ったりしてしまうため、一緒に納められません。金属やプラスチックのおもちゃなどは、写真の横に飾るようにしましょう。
5.ペットのご遺骨を骨壺に収骨
火葬が終了したら、ペットのご遺骨を骨壺に収骨します。
6.お墓に埋葬する、またはご自宅にご遺骨を持ち帰る
収骨したご遺骨はペット霊園の納骨堂や合祀同で供養していただくか、ご自宅にご遺骨を持ち帰ります。
7.ペット葬儀後の供養や手続き
ペット葬儀後の供養は、ペット霊園で四十九日法要を執り行たり、ご自宅で行えます。ちなみに、ペットが犬であった場合は、ペットが亡くなってから30日以内に死亡届を役所に提出しなければなりません。
なお、ペット葬儀にかかる時間は、ペットの大きさや体重によって火葬にかかる時間が異なります。以下の表に、種類・体重別のペットの火葬にかかる時間の目安をまとめさせていただきますのでご参照ください。
種類と体重 | 所要時間 |
---|---|
小型鳥類やハムスターなどの小動物 | 30分前後 |
猫や小型犬などの3kg程度の動物 | 45分~1時間程度 |
中型犬などの7~10kg程度の動物 | 1時間~1時間半程度 |
大型犬などの15~25kg程度の動物 | 1時間半~2時間程度 |
超大型動物などの25kg以上の動物 | 2時間~3時間程度 |
ペット葬儀の際の服装は、私たち人間のご葬儀とは異なり、服装に関する決まりはありませんが、ペット葬儀を執り行う場所によっていくつか選択肢があります。
ペット葬儀専用の葬儀場や火葬場に行く場合は、派手な服装や華美な服装に気を付ければその他は特に気にする必要はありません。もちろん喪服でも問題ありません。
なお、ご自身のペット以外のペット葬儀に参列する際は、黒っぽい地味目の落ち着いた服装で参列するとよいでしょう。
人間も使用している葬儀場や火葬場に行く場合は、黒や紺などの地味目な服装でも問題ありませんが、その際の服装は喪服であることが多いようです。あまりにもふさわしくない服装だと、他のご葬儀にご会葬者の方々が不快に思われてしまうこともありますので、周りの方への気配りが大切になります。
ペット葬儀の際の持ち物は、以下のようなものを用意しておきましょう。事前にリストを作成しておくと、「もしもの時」にも慌てずに対応できますのでおすすめです。
・ハンカチ
・数珠
・ペットの写真
・お花
・好きだったおやつ、おもちゃ
・納骨用の骨壺
家族の一員として生活を共にしていたペットが亡くなった悲しみと喪失感から何も手につかないということもあるかもしれません。しかし、愛するペットの安らかな眠りを祈りながら、最後のお別れとなる数日間を過ごして安心して送り出すためにも心を込めてご葬儀を執り行ってあげましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
現代のご葬儀は、各ご家庭の都合によって一般葬や火葬式、家族葬、一日葬などさまざまな形で執り行われることが増えてきています。中でもスタンダードなご葬儀といえば、一般葬です。一般葬では、お通夜や告別式を終えた後で、最後に火葬が行われます。
自宅葬とは、故人様のご自宅を葬儀会場として執り行うご葬儀です。故人様との思い出が詰まった我が家で、時間に縛られず故人様との最期の時をゆっくり過ごせるというメリットがありますが、ご遺族の手間が増える場合もありますので、自宅葬を検討している方は確認しておきましょう。
ご葬儀が年々簡略化される昨今では、「ご葬儀をしない」という選択肢も時々耳にするようになりました。そこで近年注目されているのが、火葬だけでお別れを済ませる火葬式(かそうしき)というものです。