2022-12-02
日本では、金封を包む際によく袱紗を使用します。特に冠婚葬祭などの式典で用いられる場合が多く、お金を包んだ封筒が汚れたり、水引が崩れたりしないようにするために用いられます。金封を包む行為は、これから行われる式典への配慮が形になったものであり、袱紗を使用せずに金封を持ち運ぶのは好ましくありません。
とはいえ、日常的に使用するものではないため、いざ使う場面になると、「どう使っていいのか分からない」と悩んでしまう方も多いでしょう。そこで今回は、弔事における袱紗の正しい包み方やマナーについて解説していきます。
袱紗(ふくさ)とは、金封を包むために用いられる布の名称です。日本で古くから使われていたもので、冠婚葬祭の式典や、お茶を点てる際に使用されます。もともとは1枚布のものでしたが、時代とともに改良が重ねられ、現代ではさまざまな種類の袱紗が存在します。
袱紗は、一般的に封筒を汚れや日焼けから守るために使われることが多いです。また、水引が崩れないようにするために用いられることも少なくありません。なお、ご祝儀袋や香典袋を大切に扱うことで、相手に対して礼を重んじているという心遣いを表現する意味もあります。
袱紗には、「包むタイプ」と「挟むタイプ(ケースタイプ)」の2パターンがあり、その中でさらに細かく分類されます。以下の表を参考に、それぞれどんなものがあるのか確認してみてください。
風呂敷タイプ
・正方形の布タイプ
・どのような場面でも使用できる正式な袱紗
台付き袱紗(だいつきふくさ)
・風呂敷タイプの袱紗に金封を乗せる台がついている
・封筒の型崩れを防げる
爪付き袱紗(つめつきふくさ)
・金封を包んだ後に開かないよう留め具がついている
・中身が出る心配がないので、持ち運びの際に安心
金封袱紗(きんぷうふくさ)
・香典を挟むだけの簡単な袱紗
・使いやすいため人気がある
近年は挟むタイプの金封袱紗が人気ですが、正式な袱紗は包むタイプの方です。マナーに違反しているものではありませんが、年長の方が多く参列する場合には、包むタイプを用意すると失敗がありません。
風呂敷タイプはシンプルな一枚布の袱紗で、こちらが正式なものとして扱われています。どのような場面でも使用できるほか、香典をお渡しした後は小さく畳めるため、持ち運びにも便利です。
台付き袱紗は、袱紗に台が取り付けられており、香典袋を置く場所で悩むことがありません。また、香典袋を包むときに台が目安となり、包みやすいのが特徴です。
爪付き袱紗は型崩れに強く、長時間の持ち運びに向いています。袱紗が崩れてしまわないよう、香典袋を包んだ袱紗を留めるための留め糸と爪がついているのが特徴です。
金封袱紗は、長財布のような形をしているのが特徴で、香典袋を挟み込むようにして使用します。折りたたむ手間がいらず手軽に扱うことができ、またスーツや鞄のポケットに入れて持ち運ぶことも可能です。
袱紗にはさまざまなバリエーションがあります。選ぶ袱紗によって使用する場面が限られるため、式典の種類に合わせて袱紗を用意できるよう準備しておきましょう。
先述したとおり、袱紗には4つの種類があります。それぞれどのようなときに使えば良いのか、以下の基準を参考にして選択しましょう。
・風呂敷タイプの袱紗
さまざまな場面で使用できる正式な袱紗です。
・台付き袱紗/爪付き袱紗
風呂敷タイプと同様に、どのような場面でも使用できますが、どちらも持ち運びに便利という特徴があります。ご葬儀会場まで距離がある場合、台付きの袱紗や爪付きの袱紗を選ぶと良いでしょう。
・金封袱紗
基本的には場面を選ばずに使用できますが、年長者が多い場や、より正式な式典に臨む際は包むタイプを選んだ方が良いでしょう。
袱紗にはさまざまな色合いのものがあります。お祝いの場とお悔やみの場では、それぞれ使用できる色が異なるので注意が必要です。
弔事の際は、以下のような寒色系の袱紗を使用します。
一方、慶事の場合は赤・橙色・桃色などの暖色系を使用するのが一般的なマナーです。ただし、紫色だけは慶弔どちらにも使用できます。兼用では抵抗があるという場合は、慶弔それぞれで1枚ずつ用意するようにしましょう。
正式な袱紗は無地ですが、柄や刺繍付きの袱紗もマナー違反とはなりません。しかし、柄物を選ぶ際は、以下のように慶事と弔事で使い分ける必要があります。
蓮/菊/蘭
鶴/亀/亀甲柄/松竹梅/小桜/鳳凰(ほうおう)/おしどり
慶事の際は、柄物を選んでも特に問題はありませんが、弔事の場合は無地を選ぶのが無難です。
袱紗は、その種類によってそれぞれ包み方が異なります。以下にそれぞれの包み方についてまとめましたので、ご参照ください。また、慶事と弔事では包む方向が逆になりますので、包むタイプの袱紗を利用する際は注意しましょう。
①爪がついている方が左側に来るようにし、袱紗をひし形に置く
②香典袋を中央よりもやや右側に置き、表書きの方を上に向かせる
③右側の角を持ち、香典を包むようにして中央へ折る
④下側、上側、左側の順に香典を包んでいく
⑤左側の角が少し余った場合、裏側へ持っていく
①爪がついている方が左側に来るようにして、袱紗をひし形に置く
②香典袋を中央よりもやや右側に置き、表書きの方を上に向かせる
③右側の角を持ち、香典を包むように中央へ折る
④下側、上側、左側の順で香典を包んでいく
⑤左側の角が少し余った場合、裏へ持っていき爪を掛けて留める
①長財布にお札を入れるようにして香典を差し込む
②表書きは取り出し口から読めるように入れ、袱紗のふたを閉める
弔事での袱紗の渡し方は、袱紗の種類によって手順が若干異なりますが、基本は同じです。受付で香典袋を取り出し、相手から見て文字が正面に来るように向きを変え、両手で香典袋を渡します。
以下で、袱紗の種類ごとの手順について見ていきましょう。
①袱紗を開いて香典を取り出す
②相手側から見て、香典の表書きが読めるように向きを変える
③袱紗を香典袋と同じ大きさに畳んだら、上に香典を置いて両手でお渡しする
①袱紗を開いて香典を取り出す
②相手側から見て、香典の表書きが読めるように向きを変える
③袱紗の台か、もしくは袱紗を畳んで香典を置き、両手でお渡しする
①香典を取り出し、金封袱紗の上に置く
②表書きが相手から読めるよう、向きを変える
③両手でお渡しする
急な弔事で袱紗を持っていないという場合には、代用品として風呂敷やハンカチを使うことができます。
ここでも、お悔やみの場合は寒色系のものを選びます。基本的にレースや柄が入ったものや、白色のものは避けるのが無難です。なるべく無地のものを選ぶのがマナーですが、黒やグレーなどの暗い色目でも問題ありません。
袱紗は、主に冠婚葬祭の場で使われる四角い布のことで、正しい包み方や渡し方などを押さえておく必要があります。特にご葬儀の際には、ご遺族に失礼がないようマナーを守った行動を心がけなければなりません。袱紗の基本的な知識を身に付けておき、周りに配慮した振る舞いを心がけましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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