2020-03-19
春の季節が訪れても、春先や気候によってはまだ肌寒い日もあります。そんなとき活躍するのがスプリングコート。しかし、春もののコートというと季節柄、ベージュや薄いピンクなどの淡いカラーばかりが多く、突然のご不幸の際に、そういったコートでご葬儀に参列してもよいのか悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、ご葬儀で着用するコートにまつわるマナーや選ぶ際のポイントなどをご紹介します。
結論から先に申し上げると、「葬儀専用のコート」はありません。しかし、冠婚葬祭どのシーンでも着ていける「礼装用コート」があります。
フォーマルな場に着ていく「礼装用コート」は、昼夜を問わず、冠婚葬祭どのシーンでも着ていけます。シングルの方がより良いとされ、上襟にベルベットを使用するのが条件の1つとされています。
黒くてシンプルなデザインで、着脱可能なライナー付きの「礼装用コート」であれば、秋冬でも春でも使用できるので非常に便利です。
「礼装用コート」を1着持っていると安心ですが、「礼装用コート」は本来、喪主の正装であるモーニングコートに合わせる服とされておりますし、着る頻度もそれほど多くありません。そのため、できれば普段着用しているコートで代用したいという方もいらっしゃるかもしれません。ではその場合、どういった点に注意すればよいのでしょうか。以下で色やデザインなど、コートを選ぶポイントをご紹介していきます。
ご葬儀の場に相応しいコートの色は、「黒」がベストです。「黒」は悲しみを表現する色とされており、深い黒色は悲しみの気持ちが深いことを表します。もし黒いコートがない場合は、暗めの紺色やこげ茶、グレーのコートでも問題ありません。
ただし女性用のスプリングコートで多い、パステルカラーや白などの明るい色は、華やかな印象であるため、ご葬儀の場には不向きと言えます。また、よくある明るめのベージュのトレンチコートも不向きと言えます。
華やかすぎず、かといってカジュアルすぎない素材とデザインのコートを着用することがマナーとなります。
<素材>
光沢のあるビニール素材や歩く際に生地が擦れてシャカシャカと音がするナイロン系の素材はご葬儀の場に相応しくありません。また、殺生を連想させる毛皮やフェイクファー、皮を使用しているコートは必ず避けましょう。
<デザイン>
基本的に装飾のない、無地でシンプルなデザインのものを選ぶようにします。金色のボタンなどの光りものや柄もの、華やかなレースなどが装飾されているコートはもちろんNGとなります。また、ダウン・モッズコートなどカジュアルすぎる上着やフード付きのコートも好ましくありません。
男性がご葬儀の際に着用するコートに関しては、基本的にカジュアルなコートや華やかさのあるデザインコートは避け、ウールやカシミアの黒のコートが良いとされています。ダウンジャケットやジャンパーなどカジュアルな印象を与えるものは避け、殺生を連想させる毛皮素材のものやちょっとしたファー素材が付いているものも避けましょう。
女性の場合はコートの種類が男性よりも多いため、選ぶのも一苦労です。中でも特に気を付けなければならないことが、「着丈の長さ」です。基本的に長めのコートを選べば無難とも言えますが、喪服のスカートの着丈は膝下がマナーとされていますので、喪服の上に着てもスカートが見えない丈のコートを選ぶとよいでしょう。
また、デザインは、少しゆとりのあるサイズにすると、喪服の上に着ても窮屈にならずにすみます。フォルムは、Iラインなどのスリムタイプよりも、Aラインのコートがおすすめです。
防寒対策も大切なことですが、何より大切にしなければいけないのは、故人様やご遺族に対する礼節です。厳粛なご葬儀の場であるということを考慮し、失礼がない服装を心掛けましょう。また、寒い地域のご葬儀に会葬する際は、どの程度の防寒対策をするのがいいのかを葬儀社のスタッフや他の会葬者に尋ねてみるのもよいでしょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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