2024-09-17
お正月になり初詣へ出かけると寺社仏閣でよく見られるのが、木の棒に羽が付けられた弓矢です。これを破魔矢(はまや)といいます。破魔矢は、お参りの後に授かると良いとされる縁起物です。魔を除けて幸福を呼ぶとされる破魔矢ですが、縁起をより授かりやすくするための飾り方があるのはご存じでしょうか。
ここでは、破魔矢の意味や、今後破魔矢を飾るのに良い方角、前年度に授けられた破魔矢の処分方法について解説していきます。
お正月に神社や寺院で授かることができる破魔矢は、自身に起こりうる災いや魔を払い、幸福や無病息災を願って幸せな一年を送るための縁起物です。弓矢は武器ですが、その見た目通り「射る」という行為のために作られるものなので、「好機を射止める」ことにもご利益があると信じられています。
また、お正月だけではなく、七五三のご祈祷で破魔矢が一緒に授与されることも少なくありません。さらに、家屋の新築で基本構造が完成した後、屋根の一番高い位置へ棟木(むなぎ)を取り付ける際に、上棟式(じょうとうしき)を行います。上棟 式では、破魔矢を鬼門の方角へ立て、災いを払う儀式を行うのです。
このように、日本古来より魔を退けるために用いられてきた破魔矢ですが、災いに対する強い効果を持つと信じられるまでには、どのような起源が存在したのでしょうか。
そもそも、日本には古くからの習わしとして、年占(としうら)という神事がありました。年占とは正月や節分、七夕など季節の行事で行われることが多く、一年間の天候、農作物の豊凶などを占うものです。
年占にはさまざまな方式があり、その中の一つに破魔打(はまうち)があります。破魔打は、地域によっては射礼(じゃらい)と呼ばれており、地区ごとに選ばれた子どもが、ハマという名の的に向かい、弓を使って矢を放つ競技を行います。その中で、一番うまく当てた子どもの住む地域が豊作になるという占いなのです。
破魔打で使用された弓と矢は、「ハマ矢」「ハマ弓」と呼ばれるようになり、ハマの字にはいつの間にか「破魔」という漢字が当てはめられるようになりました。そして破魔矢や破魔弓は縁起物として、悪霊を跳ね返す力を持っていると考えられるようになっていったのです。
現代の寺社では、破魔矢だけ置かれているのがほとんどですが、一緒に破魔弓を授かれるところもあるようです。もしペアでお持ちになりたいとお考えの場合は、お取り扱いの有無を事前に確認してみても良いでしょう。
破魔矢を飾る時期は、初詣に購入してから小正月(1月15日)まで、または端午の節句(5月5日)に五月人形と飾るのが良いされてきました。しかしながら、現代では魔除け として一年間飾りっぱなしにしても良いとされています。
その昔、破魔矢は男の子に贈るものとされていましたが、時代とともに老若男女の誰にでも魔除けと福寄せの効力があるアイテムへと変化していきました。ゆえに、飾る時期も一年中で良いという方向へ変わったのでしょう。
ただし、飾る時期に関しては地域や宗教、各ご家庭の考えに違いがありますので、ご不安な方は周りの方に確認した方が良いかもしれません。
破魔矢は置くだけでも縁起が良いとされているものですが、置き方や位置によってさらなる幸福を呼ぶと信じられているのです。ここからは、破魔矢の飾り方についてご説明していきます。
破魔矢は、神様がお使いになる武具です。つまり、自宅へ飾る場合は、神様が一番近くにいらっしゃる神棚の近くへ祀るのが一番良いでしょう。また、ご家族がよく集まる居間、床の間に飾るのも良いとされています。なお、魔除けとしての効果をお望みであれば、玄関へ置くのも有効です。
いずれにしても、破魔矢は神仏に関わる縁起物なので、明るい場所や人が見上げる位置へ飾ります。なお、破魔矢は羽が付いている方が上です。飾る際には上を向かせるように意識し、天地が逆にならないようにします。また、縁起物は穢れ(汚れやホコリなど)を嫌うので、効力を弱めないためにもマメな掃除を心がけましょう。
飾るだけでも縁起の良い破魔矢ですが、実は干支によってより良い置き方があります。基本は破魔矢の羽の方を天に向けますが、邪気払いとして矢尻(矢の一番下)を悪い方角へ向ける置き方も良いとされています。矢尻を向ける悪い方角は年(干支)によって変わりますので、下記をご参照ください。
・2024年 辰年…西北西微北/300° (戌)
・2025年 巳年…北北西微西/330° (亥)
・2026年 午年…北/0° (子)
・2027年 未年…北北東微東/30° (丑)
・2028年 申年…東北東微北/60° (寅)
・2029年 酉年…東/90° (卯)
・2030年 戌年…東南東微南/120° (辰)
・2031年 亥年…南南東微東/150° (巳)
・2032年 子年…南/180° (午)
・2033年 丑年…南南西微西/210° (未)
・2034年 寅年…西南西微南/240° (申)
・2035年 卯年…西/270° (酉)
破魔矢の効き目は、一年間です。一年が過ぎた破魔矢は授かった場所へ返納し、お焚き上げしてもらいましょう。もしも、授かった場所が遠く伺うことが困難な場合は、寺院の破魔矢なら寺院へ、神社の破魔矢なら神社へ持って行き、納札所へ納めます。
なお、神社仏閣では、1月15日前後にどんど焼き(お焚き上げ)を行うところが多いです。地域により日程に違いがあるため、焚き上げたい縁起物がある場合は事前に確認しておくと良いでしょう。
破魔矢には魔を遠ざけ、良き運を得るという効力があると信じられている縁起物です。お札やお守りと同様、丁寧な扱いを心がけるようにしましょう。また、置き方や時期、方角については地域や宗教によって考え方に違いがある場合があります。気になる場合は、破魔矢を授かる際に神社仏閣の方へ尋ねてみても良いでしょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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