2023-12-22
余命宣告とは、病を抱えた患者に対し、その病状からあとどのくらい生きられるかを判断して医師が余命を告げる行為を指します。
余命宣告は、ご本人にとってもご家族にとっても受け入れがたい言葉であると同時に、精神へ大きなショックをもたらします。しかしながら、残された時間は大切に過ごすべき期間であることも考えなければなりません。
そこで当記事では、余命宣告の意味合いや、ご家族が余命宣告を受けた場合の心構えや準備について、詳細に解説していきます。
余命とは、人があとどのくらい生きられるかを計算した予測値 のことです。これを宣告するのは一般的に医師であり、病気の進行度や治療の反応、過去の症例などを照らし合わせて生存率を割り出し、ご本人やご家族に知らせます。
余命はあくまでも、過去のデータから割り出した予測値です。したがって、必ずしも医師が告げた期日に絶命するとは限りません。余命10か月と告げられながらも、その後何年にわたって生きられた方もいらっしゃいます し、余命3年と宣告されたのに、その後数か月で亡くなってしまうケースもあります。
つまり、余命宣告で告げられた期限は絶対ではないため、余命宣告以上に生きられないと決定されたわけではありません。宣告された期日に寿命が届くか、あるいはさらに先々まで生きられるかどうかは、誰にも知る由がないのです。
余命は、その予想を立てることすら本当に難しいとされているため、生存日数と予測された日数のズレが3分の1以内なら、「その余命宣告は当たっている」と判断されるほどです。
では、実際に大切なご家族が余命宣告を受けた場合、私たちはどのような行動を起こせば良いのでしょうか。順を追って解説していきます。
大切なご家族の余命宣告を受ければ、誰もが動揺し、大きなショックを受けることになります。目の前が真っ暗になって、何も考えられなくなってしまう場合も少なくありません。
しかしながら、ここでは感情を無理に抑え込まないようにするのが大切です。ご自身から湧き上がってきた感情はしっかりと受け止め、その心に従って悲しみや動揺を表現しましょう。「本人の方が辛いに決まっているので我慢しなくてはならない」と考えて、耐えることでかえって心身の辛さが長引いてしまい、精神的に追い込まれることも少なくありません。
どうしようもない精神的な負担に押しつぶされないために、ご自身にも労わりの心を持ち、必要な支援を受けることも大切です。また、信頼のできる方に打ち明けるのも良いでしょう。そうすることで、気持ちを幾分軽くできるかもしれません。一人で悩み、抱え込むことのないようにしましょう。
余命宣告の後では、動揺してパニックになってしまいますが、10~20日ほどで少しずつ落ち着きを取り戻せる場合が多いです。なぜならば、脳が精神的な弱りからご自身を守る作用を起こすためです。少しでも落ち着いてくれば、残された時間で何をするのがご家族やご自身のため になるのか、ゆっくりと考える余裕が生まれてくるでしょう。
ご家族が余命宣告を受ければ、誰もが悲しみや死への恐怖、後悔に苛まれます。しかしながら、誰よりも辛い気持ちを抱えているのは、余命宣告を聞いた患者ご本人です。
中には、ご本人の前で必要以上に哀れんだり、励まそうとしたりする方もいます。しかしながら、現実と向き合っているご本人に、それ以上にがんばるよう伝えるのは酷な行為であり、相手の心をさらに傷つけることにもなりかねません。したがって、軽率な発言には注意すべきと言えます。
患者側の意見として、余命宣告を受けた後でも、ご家族には以前と同じような態度で接してほしいと考える方が多いそうです。時には、ご本人に寄り添いながら共感していくのも良いでしょう。話をとことん聞いたり一緒に泣いたりすることで、互いの気持ちが救われることもあるかもしれません。
非常にデリケートな問題ではありますが、軽はずみな言動で相手を傷つけることのないように注意しながら、ご家族同士で話し合っておきましょう。また、今後ご家族が行うべき準備についても、しっかりと相談しておくことが大切です。
知り合いやご家族に話しても気持ちに整理がつかない場合は、担当医や看護師など、信頼のできる医療従事者や社会福祉士などに、今後における不安や疑問点を相談するのも一つの手です。
なお、「がん相談支援センター」という機関を利用する方法もあります。ここでは、診断の状況やタイミングに関わらず、ご本人であってもご家族でも、匿名かつ無料で相談できるというものです。相談員は、看護師やソーシャルワーカーが対応します。心に抱える気持ちなども聞いてもらえますので、辛い時には利用を検討してみても良いかもしれません。
近年では、医師が患者ご本人に余命宣告を行うケースが増えてきています。しかしながら、中にはご家族へ先に余命宣告が行われることもあるようです。
考え方の問題もありますが、患者の中には余命宣告を受けることで精神的に弱ってしまい、病状がさらに進んでしまう場合もあるかもしれません。したがって、ご家族が先に余命宣告を受けた場合は、ご本人の性格などを考慮しながら、伝えるかどうかを慎重に決めていくことが大切です。
余命宣告を受けた後は、その後の医療方針について医師と話し合います。治療か延命か、痛みや辛さを緩和するだけのケアに絞るのか、よく考える必要が出てくるのです。
すぐに答えを出すのが難しい場合は、ご家族間で話し合いの時間を設けるのも良いでしょう。ご本人の希望に添った、最善の医療行為を慎重に選ぶようにします。
もし、保険に加入しているのが確認できた場合は、契約内容を確認しましょう。ご本人が存命の間にお金を受け取れる特約(リビングニーズ特約)がついていれば、ここで手続きを進めておきます。先立つものがあれば、余生を充実させたり治療費の負担を軽くしたりできるためです。
ご本人の死後に起こりうる相続のトラブルを防ぐためにも、財産の確認と調査をする必要があります。誰に何を相続するのかを確認し、必要ならば遺言書を作成しましょう。なお、エンディングノートに書き記した文書には法的拘束力がないため、ご本人が思い描いている相続が叶いにくくなります。
ご本人の心のうちや、さまざまな情報を書き留めておく「エンディングノート」を作成してもらうのも良いでしょう。エンディングノートは、お金の所在などを整理する意味でも必要なアイテムです。
財産の所在や加入しているサービスのパスワード、友人の住所録、ご葬儀や供養の希望、ご家族に伝えたい心のうちなど、残されたご家族に必要な情報を書き留めてもらいます。
確認できる 状態であれば、ご本人からご葬儀の希望を聞いておくと良いでしょう。好みの形式や規模、コストなどを確認し合いながら、葬儀社へ見積もりを取って検討します。また、ご葬儀に呼びたい方々のリストも作成しておけば、漏れなく連絡がいきわたりますし、ご葬儀の準備も慌てずに進められることでしょう。
大切なご家族が余命宣告をされた時には、誰でも大きく動揺してしまいます。しかしながら、嘆き悲しむだけではなく、残された時間とどう向き合うかを考えることがとても 大切です。
この限られた時間に何ができるのかを考え、有意義な時を過ごすことで、ご本人はもとよりご家族の励みにも繋がります。こうして準備をつつがなく整えられれば、最期の時を穏やかに迎えられるでしょう。
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