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2023-06-30

海洋散骨とは?違法ではない?流れやマナーについて分かりやすく解説

人々が抱く死に対する概念にも変化が見られる昨今では、供養の方法も多様化してきています。その中のひとつに、海洋散骨(かいようさんこつ)という方法が存在します。しかし、まだまだ一般的ではないため、この埋葬について詳しく知らない方も少なくありません。

そこで今回は、海洋散骨についての詳しいマナーや流れ、メリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

海洋散骨とは

日本では、故人様のご遺体は火葬されご遺骨になります。ご遺骨は骨壺に納めてお墓へ埋葬されるのが一般的ですが、海洋散骨は粉状にしたご遺骨を海洋上に散布するという新しい葬送方法です。

海で行う海洋散骨は海洋葬(かいようそう)ともいわれており、「自然葬」のひとつです。ご遺骨を自然へ還し、人と自然を一体化させていくという考えがもとになっており、埋葬の新しいスタイルとして注目されています。

また近年では、「できれば自然に還りたい」という故人様の願いや、さまざまな事情でお墓を持てないご遺族の希望で、海洋散骨を実施することが増えているようです。

海洋散骨は違法ではない?

埋葬に関する法律では、「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の地域に、これを行つてはならない」とされています。

しかし、令和3年3月31日厚生労働省のホームページに散骨に関するガイドラインが掲載されました。

このガイドラインの中で、「海洋散骨を行う場合、海岸から一定の距離以上離れた海域で行うこと」「焼骨はその形状が視認できないように粉状に砕くこと」「地域住民、漁業者などの関係者の利益、宗教感情等を害することのないように十分配慮すること」「自然環境への配慮を行うこと」などが記載されております。

また粉骨は散骨の一環である事が明記され、死体損壊に当たらないとされております。以上の事から、法律的に海洋散骨は認められているといえます。

海洋散骨は自分でできる?

散骨を規制する法律はありませんし、散骨に否定的な見解を示している宗教もありませんので、自らの手で散骨を行うことは可能です。ただし、散骨に至るまでさまざまなプロセスをたどる必要があるため、スムーズに散骨したい場合は業者の力を借りるのが賢明といえるでしょう。

海洋散骨にかかる費用

業者に頼らず散骨する場合ですが、散骨するためには遺骨と分からないよう粉状に粉骨する必要があります。万が一、人骨と分かる状態で散骨してしまうと、死体損壊・死体遺棄罪などの法律に接触する可能性が出てきますので注意しましょう。

また、業者へ依頼し、ご遺族が一緒に乗船したうえで海洋散骨を行う場合の相場は80,000~600,000円です。乗船して寄港するだけのシンプルな内容なら150,000~200,000円程度で済む場合もあります。船のグレードや、船内で行う食事の有無などで金額が大きく変わるのが特徴です。

ほかにも散骨代行といって、粉骨から散骨まですべて業者へ任せるというサービスもあります。こちらは必要書類と遺骨を提出するだけで済み、相場は15,000~100,000円程度です。

海洋散骨を行うメリット

海洋散骨を行う場合、故人様やご遺族はどのような恩恵を受けることができるのでしょうか。それぞれ順番に見ていきましょう。

継承者問題が解決する

海洋散骨はお墓を必要としないため、継承者のことを考えなくてもよくなります。核家族化、少子化が進む昨今は、墓守や跡継ぎがいないといった問題が起こりがちですが、そのような心配がなくなることは大きな利点のひとつといえるでしょう。

経済的な負担が軽くなる

ご遺骨をお墓に埋葬する際に発生するのが、お墓の購入費用、継続的にかかる維持費、管理費です。海洋散骨でお墓が必要なくなれば、これらの費用をすべて抑えることができます。

故人様の遺志を尊重できる

海洋散骨は、狭いお墓へ入るのを嫌がり海や自然が好きだという故人様の遺志や、さまざまな理由で一族のお墓に入りたくないなどという故人様の主張を尊重できるというメリットがあります。遠方に住み、なかなか墓参りができないというご遺族が多い中、海洋散骨によって「海を眺めるだけで故人様を偲べる」と感じることができるのも、大きなメリットのひとつです。

海洋散骨を行うデメリット

ここまで海洋散骨のメリットをお伝えしてきましたが、ここからは海洋散骨に関するデメリットについて説明していきます。

遺骨が残らない

ご遺骨をすべて散骨すれば、当然手元にご遺骨が残ることはありません。そこで、すべてのご遺骨を散骨してしまうのではなく、一部のお遺灰を手元に置いて供養する「手元供養」を考え分骨するのもひとつの手です。ご遺骨を小さな骨壺へ収納できるほか、ご遺骨を宝石などに加工することも叶います。

現在、海洋散骨を行う多くのご遺族が手元供養を希望されているようです。気になる方は、散骨業者へ分骨の件について相談してみましょう。

お墓参りや年忌法要が行えない

海洋散骨はお墓を立てないため、基本的にお墓参りや年忌法要を行うことができません。しかし、散骨した海域に合同でお参りできるクルーズを定期的に開催している業者なら、そのような儀式・仏事を行うことができます。「お墓参りとは違う形で故人様を偲びたい」という方は、アフターサービスの内容も確認すると良いでしょう。

海洋散骨の流れ

ここからは、海洋散骨の一般的な流れについて詳しくご説明していきます。

①必要な書類を用意する

まずは散骨業者に連絡し、必要書類を確認します。申し込みを決めた時点で施主様の身分証明書、業者所定の申込書や同意書が求められます。

厚労省のガイドラインに「散骨事業者は、契約の締結に当たっては、必要な教育訓練を受けた職員にあらかじめ適切な説明を行わせ、利用者の十分な理解を得る事」とされています。また、契約の方法に「散骨に係る契約の方法は、文章によること」「費用に関する明細書を契約書に添付すること」とされており、ガイドラインでは定められています。

また、ご葬儀の後に埋葬をせず散骨する場合、火葬済みの承認を受けた火葬許可証(埋葬許可証)が必要です。故人様が亡くなった場所や住まわれていた地域、または本籍のある地域で手続きできます。

もしご遺骨がすでにお墓へ埋葬されている場合は、墓地の管理者へ「納骨証明書」の発行をお願いし、お墓のある地域の役所へ提出すると、「改葬許可証」が発行されます。この書類を業者へ提出すれば、散骨をお願いすることが可能です。

万が一改葬許可証が発行されない場合は、「納骨証明書」や「遺骨引渡証明書」でも対応してもらえます。

②業者に相談する

日時や散骨範囲、出港場所や船のプランなどを打ち合わせて、見積もりを取ります。ここで、先述した手元供養やお参りクルーズなどのアフターサービスについても確認してみると良いでしょう。

③遺骨を引き渡す

手続きが終わると、散骨業者がご遺骨を引き取りに訪れます。遠方の場合、発送が可能か確認してください。なお、骨壺は散骨業者が廃棄してくれます。

④粉骨する

散骨業者は、預かったご遺骨をパウダー状に粉骨化します。ご遺骨が見た目に人の骨だと分からないように、粉砕機を使用して2ミリ程度の大きさまで細かく加工します。このとき、ご遺族立ち合いのもと人の手で粉骨を行う業者もいます。

一方、長い間お墓に収められていたご遺骨の場合、虫などの異物が混入していることがよくあります。そのような場合には、ご遺骨を洗う「洗骨」を実施するのが一般的です。

なお、洗骨・粉骨を別プランや別途費用としている業者も多いです。予算と実際の費用に誤差が発生しないように、依頼の前に確認しておくとよいでしょう。

⑤出航する

ご遺族は業者指定の場所へ集合し、散骨式の流れや注意事項などの説明を受けます。故人様が好きだったお花やお酒を持参する場合は、あらかじめ業者へ確認を取っておきます。説明後は、業者の指示に従って乗船しましょう。

乗車の際の服装は、喪服ではなく動きやすい普段着を着用します。船は揺れますので、転倒のリスクを避けるためにも、底が滑りやすい靴やヒールの高いパンプスは避けるのが無難です。また散骨業者へ散骨を委託する場合、故人様が好きだった音楽やお花、お酒を使って散骨式を行ってくれることがあるので、気になる方は事前に確認しておくと良いでしょう。

⑥散骨を行う

船が指定の場所へ到着したら、散骨式が始まります。業者の司会者から挨拶や指示が出されたら、船上から散骨を行いましょう。その後、献酒や献花、黙祷などが行われ、船は散骨ポイントを旋回します。

後日、散骨業者から散骨証明書、散骨実施風景の画像、散骨場所を記した地図が送られてきます。この書類は散骨を実施した証拠になりますので、大切に保管しましょう。

海洋散骨に関するマナー

海洋散骨を行うにあたっては、総務省より「マナーを守り散骨される限り、違法ではない」と示されています。では、総務省の示すマナーとは、どのような事柄になるのでしょうか。それぞれ詳しく見ていきましょう。

喪服は着用しない

海洋散骨の当日は、喪服の着用を避けます。これは、散骨するための乗船場所が人目のつきやすい場所にあるためです。先述した船上での危険を回避するという理由だけではなく、地域に住む周囲の住民への配慮として、平服を着用することが大切だと心得ましょう。

環境に配慮する

海洋散骨では、故人様へ向けて献花と献酒などを行うため、海をきれいに保つための工夫が必要になります。花は花弁のみ、お酒は内容物だけを散布します。人工物であるガラスやビニール、包み紙を撒かないよう気をつけましょう。

陸地から離れた場所で行う

散骨する海域は、地域の生活と密着しているポイントを避けることが重要です。そのため、地域の人々へ十分な配慮を行える業者を選びましょう。

まとめ

広く美しい海で行う海洋散骨は、厳粛なイメージの納骨と違い明るく自由なイメージを持つ方が多いでしょう。しかし、マナーを守らずに行うことで、思わぬトラブルに発展するケースもあります。大切な故人様を気持ち良く見送るためにも、なるべく信頼できる業者に依頼したうえで海洋散骨を実施するようにしましょう。


記事の制作・編集
セレモニーコラム編集部

60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。


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