2020-07-09
新盆(にいぼん)とは故人様が亡くなってから四十九日の忌明け後に、初めて迎えるお盆のことを指します。地域によっては「はつぼん」「ういぼん」と呼ぶところもあります。故人様が亡くなられてから初めてのお盆ですので、何を準備したらよいか分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、新盆を迎える時期や当日の流れ、お供え物など準備しなければならないことについてご紹介します。
新盆の時期は通常のお盆の時期と変わりなく、全国的に多くの地域でお盆といえば、「旧盆」である8月13日~16日のことを指します(一部の地域では「新盆」である7月13日~16日がお盆にあたるところもあります)。
もし、故人様が亡くなってから四十九日前にお盆を迎える時は、新盆は翌年に行うことになりますから覚えておきましょう。
故人様が亡くなって初めて迎えるお盆である新盆は、翌年以降の通常のお盆よりも念入りに供養が行われるため、準備するものもたくさんあり、具体的には、
・盆飾りのための盆棚(精霊棚)や盆提灯、精霊馬などの準備
・新盆法要の手配と招待する方々への連絡
・お布施の準備や会食がある場合はその手配
・参列者への返礼品の手配
などとなります。
以下でそれぞれの準備をどのようにすればよいかを個別に見ていきましょう。
① 精霊棚(しょうりょうだな)
精霊棚は地方や地域によっては盆棚と呼ぶこともあります。精霊棚はご先祖様の霊をお迎えして、そこで安らかになって頂くために用意する棚のことで、ここに故人様の生前好物だったものや好きだったお花、お位牌、精霊馬などを祀ります。
ただし、お住まいの地方や地域、宗派によって精霊棚の飾り方や有り無しが変わるようですから、その習わしに従って決めるのが良いでしょう。精霊棚を用意する場合、翌年からの通常のお盆でも飾ることができます。その際は、新盆よりも多少簡素な棚となっても構いません。
② 盆提灯
新盆では絵柄のついたものではなく白提灯を用意します。故人様が初めて迎えるお盆において、霊が帰ってくるのを清浄で無垢な白提灯でお迎えする、という習わしがその理由です。
一般的に盆提灯は2つ対で飾りますが、基本的に白提灯は1つで構いません。盆提灯に関してもお住まいの地方や地域、宗派によって飾り方や有り無しが変わるようですから、一家の年長者に確認するなどしてその習わしに従って決めましょう。
③ 精霊馬(しょうりょううま)
どなたでも一度は茄子やきゅうりに楊枝をさして動物に見立てたお供え物を、目にしたことがあるのではないでしょうか。これが精霊馬です。精霊馬はご先祖様があの世からこの世に帰ってくる際の、お迎えをするために供えられます。また、この夏の収穫を報告する意味合いも含めており、夏野菜である茄子ときゅうりが使われているそうです。
きゅうりは馬に見立てられています。亡くなった方が馬に乗って「より早くこの世に戻って来られますように」という願いが込められているのですね。反対に、茄子は牛に見立てられおり「あの世にお戻りの際はどうぞゆっくりとお帰りください」というご先祖様がお名残り惜しいという思いが込められているのです。そして、供えられた様々な供物を、たくさん牛に持たせてあの世に戻ってください。という願いも込められています。
④ お供え物
お供え物は原則的に精霊棚にお供えします。その際は、「五供」と呼ばれる5つを用意します。なお、「五供」とは、お線香を指す「香」、ご先祖様や故人様にお供えする「花(供花)」、ロウソクに火を灯すことを指す「灯燭(とうしょく)」、綺麗なお水である「浄水」、食べ物を指す「飲食」となります。
地域によっては上記のほかにも「お団子」をお供えするところもありますので、心配な方は葬儀社や親族の方に相談することをおすすめします。
新盆法要にはご遺族やお身内の方以外にも、故人様が生前親しくお付き合いのあった方をお呼びして、司式者によって読経が行われるのも新盆の特徴です。
新盆法要の流れは、まず、四十九日でお世話になった寺院の司式者によって読経が行われます。
続いて参列者のお焼香となり、その後はお墓参りに向かいます。終了後には会食が行われるのが一般的です。
新盆法要を執り行うには、少なくとも法要の1か月前には菩提寺に連絡をして、司式者に来ていただきたい旨をお伝えするようにします。お寺にとってお盆は大変忙しい時期であり、そんな中を来ていただくのですから、司式者に早めの連絡をすることは大切なマナーです。参列者には、お身内以外に生前親しかった方もお呼びするため、案内状の準備も必要です。こちらも法要の一か月前には、先方に届くように手配をしましょう。
法要後に会食を予定している場合は会食会場をおさえ、読経してくださった司式者にはお布施の準備が必要です。なお、司式者が会食に参加されない場合は「御膳料(おぜんりょう)」もお渡ししましょう。お布施や御膳料などをお渡しする際は、直接お渡しするのは避け、お盆に乗せてお渡しします。
参列者からお香典や提灯代を受け取ることも想定されますので、お返しを用意しておき、会食の終了後に引き出物としてお渡しするとよいでしょう。
お返しの品は、不祝儀を後に残さないということで、食べ物や生活用品などの消耗品がよいとされています。また、最近では贈られた方が各自の好みに合ったものを手に入れることができるということで、カタログギフトも人気となってきました。
新盆は通常のお盆と比べて念入りに供養をすることが、日本の大切な習わしです。当日になって慌てることのないよう、新盆を行う時期を確認して、確実に段取りを進めていきましょう。そして、ご家族や参列者の方々と故人様のことを語らいながら故人様を初めてお迎えする新盆を穏やかに迎えましょう。
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