2020-04-24
友人や仲の良い人の危篤が知らされた時、あなたはどんな言葉を掛けたら良いでしょうか。また、友人の大切な人が危篤に直面していると知らされた時、どんな言葉を友人に掛ければいいのでしょうか。
そこで今回は、これら2つのケースにおいてそれぞれどのような言葉を掛けるべきか、具体的な例文とともに、守るべきマナーや注意点をご紹介します。
危篤とは、 症状などが非常に重い状態にあり、医師が治療を施しても回復の見込みがなく、今にも命の灯が消えそうな状況にあることです。危篤の状態は数時間持たない場合もあれば、人によっては数週間もの間続くこともあります。命の灯がいつまで続くかは、誰にも分らないのです。しかし、時には危篤の知らせを受けながらも回復するケースもあり、希望を繋ぐこともあります。
危篤の知らせに至るまでは、長く闘病を続けた末に危篤になる場合や事故などで突然危篤に陥るなど状況はそれぞれ異なります。知らせを受けて駆け付けたものの、何の覚悟もなく本人を目の当たりにすると一体どのような言葉をかけたらいいか、頭が真っ白になってしまうかもしれません。そんな本人に寄り添っているご家族にもどんな声をかけるべきか、困惑してしまうでしょう。
危篤の知らせを受けた時点で大切なのは、大切な人がこれから迎えるかもしれない最期を受け入れる覚悟です。そのため、大きく深呼吸をして気持ちを落ち着かせるように務めましょう。悲しく辛いことでパニックを起こしてしまいそうですが、冷静に、すぐに病院に向かうことを考えます。
一説によれば、人は例え危篤状態に陥ったとしても周りに誰がいて、何を話しているのか理解しているといわれます。呼びかけに反応したり、微かにうなずいたりするケースもあります。このように反応がある場合や、目を開けず返事をしない危篤状態であっても、意識はあってこちらの音が聞こえているといわれます。
先述しましたように危篤状態とは、大切な友人とのお別れの時間が近づいている可能性を表します。2人の思い出話などを語りかけて、共に過ごした楽しかった日を思い出しましょう。ご本人もその時間を思い出して、いい人生だったと満たされながら、穏やかな気持ちになれるかもしれません。
見守るご家族も加わって和やかに思い出に花を咲かせながら語り合えば、ご本人も安心するのではないでしょうか。
病院にあなたが駆け付けるということは、ご本人と大変縁のある仲であったということです。これまで共に過ごしてきたこと、お世話になったことへの感謝の気持ちを伝えましょう。
顔を見ながら直接ご本人に気持ちを伝えられるのは、これが最後になるかもしれません。照れずに、素直な思いを語りかけましょう。感謝の思いだけではなく、まだまだ別れたくない、と惜しむ言葉やこの後も安心してもらえるような言葉をかけるのもよいでしょう。なお、ご本人の家族構成、取り巻く環境などによって選ぶ言葉が変わるため、言葉選びには配慮します。
【具体例】
・皆で行った旅行楽しかったね。
・まだ別れたくない、サークルの皆も待っているよ。
・あの時助けてくれてありがとう。
・●●ちゃん(孫の名前)も来ているよ。
・あなたと親友になれたこと、感謝しているよ。
・後のことは心配しないで任せてちょうだいね。
・叔母さんの姪になれて幸せだったよ。
危篤になった方に付き添い続けているご家族は、既に大きな悲しみとショックを受け、精神的に参っていらっしゃいます。そこで安易に病状などを聞くのはマナー違反になります。慰めようとかけた言葉でご家族が却って傷ついてしまうこともあり、こうした時は「どんなことがあってもあなたに寄り添い、受け止めます」といったニュアンスで、ご家族の体調を労わるような言葉がけが大切になります。
【具体例】
・仕事のことは心配いらないから、お父様のそばにいてあげて。
・話を聞くくらいならできるから、辛い時は何でも話してね。
・何か私の手伝えることがあったら遠慮なく教えてね。
・●●さんが側にいるだけで、きっとお父さんも安心しているよ。
・早く病院に行ってあげて。お母様も待っているはずよ。
友人が危篤の知らせに混乱している時は、落ち着いて早く病院に向かえるように言葉をかけます。既に大切な人が危篤となり疲弊しているご家族に、あまり多くを伝える必要はありません。「大丈夫だよ」「仕方ないよ」「元気出して」などは、こちらにそのつもりがなくとも、受け取られ方によっては相手を傷つけてしまいかねません。言葉選びには十分な配慮が必要です。
危篤の時に相手にかけることがマナー違反になる言葉について、以下にまとめましたので、ご参照ください。
「ご愁傷さまです」は亡くなった時に初めてかける言葉ですから、間違っても危篤の人に使ってはいけません。絶対に使わない様に気を付けましょう。また、死後のご葬儀を思わせるような声かけもマナー違反です。
ご家族の事情によっては、今言ってしまいたいことや懺悔をしたいこともあるかもしれません。しかし、危篤状態の人が穏やかに心安らかに旅立てるようにするのが、今の務めです。あまりネガティブな言葉を口に出さないよう配慮してください。泣き叫んだり、大声を出したりするのも控えましょう。
「頑張って」「しっかりして」といった、普段何気なく使っているこの言葉ですが、危篤の状態である相手にかけるのは、既に十分頑張っており余裕がない相手に対して失礼になる可能性があり、使わないに越したことはありません。
「そんなに気落ちしないで」「いつまでもクヨクヨしないように」といった相手を励まそうとしてかけた言葉でも、まるで相手の哀しみに水を差すように受け取られ、軽率な発言と捉えられることがあります。人間の心は素直に深く悲しむことで、立ち直りが早くなるものです。早く立ち直らせようとするばかりに、励ますような言葉は慎みましょう。
また、「まだ助かるかもしれない。希望を捨ててはだめ」といった回復の望みを持たせるような言葉も相応しくありません。危篤からの回復は、残念ながらほぼ可能性はないと考えて軽率な発言をしないようにします。
お付き合いのある人が危篤になったと聞くと、心配して気が気でなくなるのは分かります。本人の今の容態を知りたいのも無理はありませんが、こちらからそれを尋ねるのはマナー違反です。込み入った質問は決してせずに、静かにこれからの行く末を見守るだけにしましょう。
危篤の知らせを受けると、大きな悲しみとショックで動揺してしまうかもしれません。しかし、今は危篤になったご本人が「いい人生だった」と満たされ、安心しながら息を引き取れるように寄り添い、優しい言葉をかけようと務めることが大切です。
胸が詰まって言葉が見つからない時は、傍に寄り添い手を握ってあげるだけでもこちらの気持ちが伝わり、安心してもらえることでしょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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