2020-03-13
ご葬儀を済ませ、一段落したご遺族が考えることの1つに「形見分け」があります。故人様を供養するためにできることの1つである形見分けですが、やり方や時期、マナーなどが曖昧なため、トラブルになることも少なくありません。
そこで今回は、形見分け前に知っておくべき形見分けに関するマナーや注意点についてご紹介いたします。
形見分けとは、「故人様の愛用品や思い出の品を近親者や特に親しかった方に分けること」を言います。形見の品を通して故人様を偲び、故人様と過ごした大切な時間を思い出したりするために行われます。
形見と似た言葉として「遺品」がありますが、「遺品」とは故人様が生前所有していた「すべての」品物をいいます。そして、故人様が所有していた遺品の中でも、特に故人様が愛用していた品や思い出がある品物を「形見」といいます。
具体的には、着物や洋服、時計や服飾小物、書籍や筆記具、その他、故人様が生前集めていたコレクションなどが形見にあたります。
形見分けをする相手に関するルールはありませんが、故人様の近親者や故人様と特に親しかった方に対して行われるのが一般的です。形見分けをする相手は、故人様の遺志がある際は、それに従います。
かつては、故人様より目上の方には失礼にあたるので贈らないことがマナーとされていましたが、最近では故人様と特に親しかった人であれば形見分けを行うことが多くなってきています。
形見分けを行う一般的な流れとしては、①遺品整理、②遺産分割、③形見分けと考えるとよいでしょう。
形見分けを行う時期に関して、明確なルールはありませんが、仏教の場合は一般的に親族などが集まる四十九日法要に行われることが多いようです。ただし、故人様が信心深い方であった場合は、故人様の宗派によって決まりがあることがありますので、事前に確認をしておきましょう。
なお、宗教によって形見分けを行うタイミングは異なります。神道の場合は忌明けにあたる「三十日祭」や「五十日祭」の時に形見分けを行います。キリスト教の場合は、形見分けに関しては「カトリック」と「プロテスタント」に分けて考える必要はなく、「どちらの宗派であっても、亡くなってから1ヵ月後」を基本として行われています。
また、近年では、自分の意向を反映できるという点から、生前に形見分けを行う方も増えてきました。ただし、年間110万円を超える品物の贈与を受ける場合は贈与税がかかりますので、注意が必要です。
形見分けの品をどのように選ぶのかについての基準やルールはありませんが、あまりに高価なものは避けましょう。
なお、形見分けはプレゼントではないので、包装はしません。そのまま渡すことが気になる方は、半紙や奉書紙などで軽く包むのがよいでしょう。その際、仏教の場合は「遺品」、神道・キリスト教の場合は「偲び草」などと表書きをするとより丁寧になります。
形見分けの際に贈る代表的な品物を、以下でいくつかご紹介いたします。
洋服や着物などを形見分けする際は、クリーニングをしてから贈るのがマナーです。なお、着物に関しては、数珠入れやバッグなどにリメイクして贈ることも多くなっております。
肩掛けや持ち手などが破損していることがありますので、できれば修理をした上で贈りましょう。
年齢性別をあまり問わずどなたでも使用できるので、形見分けの品としてよく贈られます。ただし、万年筆や機械式時計などは使用できない場合もありますので、確認しておきましょう。
故人様が生前身に付けていた眼鏡やブローチ、財布、ネクタイなどは故人様を偲ぶにはとてもよい品物です。ただ、使用頻度が高いために汚れがあることが多いので、きちんとメンテナンスをしてから贈りましょう。
形見分けをするときは、トラブル防止のため、次のようなことに注意しましょう。
故人様の遺品はすべて相続財産になります。そのため、法定相続人にあたる方が高価な品を形見分けしてもらったときに、相続税の納税義務が生じる可能性があります。また、相続人以外の人が同様に高価な品を形見分けしてもらったときには、贈与税の課税対象になる場合がありますので、十分に注意しましょう。
前述したように、故人様の遺品は基本的に相続財産になり、法定相続人全員で共有することになります。相続トラブルを起こさないために、遺産分割協議を済ませた後で形見分けを行うようにしましょう。
故人様との関係がよく分からない方から、「形見分けをしてほしい」と言われたら、贈ってもよいかどうか他の親族に確認してから形見分けを行うようにしましょう。
故人様と特に親しくしていた方へ「ぜひ、もらってください」と形見分けをすることがあると思います。無理に贈ると相手側の負担になることがあるので、相手の気持ちに配慮するようにしましょう。
形見の品で衣類はクリーニングに出し、貴金属・時計などもきれいにしてから贈るようにします。あまりに古くて使えそうもないものは贈らないようにしましょう。
ご遺族から形見分けの申し出をいただいた際は、基本的に受けるのがマナーです。しかし、どうしても受け取れない理由があれば、丁寧にお断りをしてもよいですが、故人様のことやご遺族のお気持ちを思うと、できる限り受け取りましょう。
また、譲り受けた形見分けの品を大切に使用することが、故人様の供養となりますので、第三者に譲ったり、現金化したりすることは避けましょう。
なお、形見分けに対してのお礼は、基本的に不要です。形見分けの品を大切に使って故人様を偲び、いつまでも忘れないことが最大のお礼なのです。そのため、お礼の品はもちろん、お礼の手紙も送る必要はありませんが、その代わりに、お彼岸やお盆などの法事で、故人様の思い出話に花を咲かせましょう。
形見分けを行うことで思わぬトラブルを招くこともあるため、「形見分けを行わない」という方もいらっしゃるでしょう。しかし、形見分けは単純に「物を分ける作業」だけを言うのではありません。故人様の遺したものを見、触れることは、大切な方の死を受け入れること、そして、故人様の供養にもつながります。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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ご葬儀が一段落し落ち着いたころに、故人様の残した大切な遺品の整理をすることを考えることになります。思い出の遺品を処分することにためらう人もいらっしゃるでしょう。またどのくらいの時期に遺品整理をはじめてよいのか悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。セレモニーでも、故人様の残した遺品を回収して供養するサービスもおこなっております。今回は遺品整理の仕方や時期について説明します。 遺品整理はどのようにすればいいの? 遺品整理の仕方 作業計画をたてる 遺品が多く1日で整理ができそうもない場合は、 ・この日にはこの部分を整理する ・別の日には残りの部分を整理する というように作業計画をたてるとスムーズに進みます。 遺品を分類する 遺品は次のように分類するとわかりやすく整理できます。 <必ず保管しておくもの> 通帳・株券・家屋などの権利書・領収書のほか、故人様の愛用品・宝飾品・骨董品など <処分するもの> 不用品・下着・衣類・不要な生活雑貨や家具家電など <不明なもの> 高価な着物・衣類・靴・貴金属・腕時計など 故人様の趣味だったものやコレクション、写真など さらに、この不明なものを ・とりあえず保管しておくもの ・形見分けにするもの に分けておくと、さらにわかりやすくなります。 ある程度の分類が終わったら、内容がわかるようにラベリングをしたり、写真を撮るなどしてリスト化しておくのもおすすめです。 迷ってしまったら? 遺品整理を気持ちが落ち着いた状態でできるとは限りません。その中で処分するかどうか迷うものがあるときは、すぐに処分せず、一旦保管するようにしましょう。 処分を急いでしまったために、「あの時、捨てなければよかった」と後悔することになるかもしれません。 一旦保管することにした遺品について、落ち着いてからゆっくりやろうと思っているうちに忘れてしまうことがあります。たとえば、「半年後の月命日に遺品の見直しをする」というようにすると忘れづらくなるのでおすすめです。 遺品整理はいつからはじめたらいいの? 遺品整理はいつからはじめなければならないという決まりはありません。 ただし、故人様の生活されていた環境によって、遺品整理をはじめたほうがよい時期に違いがあります。 故人様が賃貸物件や介護施設などで生活されていた場合 故人様がおひとりで賃貸物件や介護施設などで生活しており、すでに退去日が決まっている場合は、すぐに遺品整理を始める必要があります。 その際、まず明け渡しの日程や費用に関して、大家さんや管理会社に確認します。そこから、逆算して遺品整理をはじめるようにします。 故人様が持ち家で生活されていた場合 故人様が自己もしくは家族所有の住宅で生活していた場合は、特別急いで遺品整理を始める必要はありません。ご遺族様の心が落ち着いてからゆっくりと整理するようにしましょう。 まとめ 悲しみが癒えないうちに遺品整理をしなければならない場合や、大量に遺品の整理しなければならない場合など遺品整理の代行サービスの利用の検討をすることもよいでしょう。 セレモニーでは、遺品整理の代行サービスのご案内も行っております。 また、回収したのち、ご供養もおこなっております。 お見積りは無料ですので、お気軽にお問い合わせください。