2025-01-24
寺院で厳しい戒律を守りながら修行を行う一方で、法事や法話、お墓の管理など人々の心の支えとなる活動を行っている方々は「お坊さん」と呼ばれています。お坊さんは、ご葬儀などの仏事に欠かせない存在であり、ご住職や僧侶、和尚といった呼び名でも親しまれていることは有名です。
そこで今回は、お坊さんをどのようにお呼びするのが正しいのか、また宗教ごとにも呼び方の違いがあることも詳しくご説明していきます。
ご葬儀の場でお坊さんにお声がけする場合は「僧侶さま」、または寺院の名前に「さま」、僧侶の名字に「さま」のいずれかでお呼びするのが無難です。ただし、その他にもさまざまな呼び方があり、それぞれ少しずつ意味が違うことも理解しておくと、いざという時に安心できます。
ただし、宗教によって呼び方が違うこともありますので、不安な場合は僧侶ご本人へ「どのようにお呼びすれば宜しいでしょうか」と確認しても失礼にはあたりません。
お坊さんとは、仏教の戒律を守りながら修行を行う出家者のことです。その昔は「坊主」と呼ばれていました。その他、僧侶や和尚、住職とも呼ばれています。同じお坊さんには違いありませんが、それぞれに違う意味が込められていることも知っておきましょう。
・僧侶(そうりょ)
出家をして仏門へ入った方、つまりお釈迦様の弟子となった方々を指します。仏の教えを守りながら生活し、厳しい戒律の中で修行している方は全員が僧侶です。なお、戒律は特に法で定められたものではありませんが、宗派によってその内容に少しずつ違いが見られます。
・和尚(おしょう)
日々の厳しい戒律を守り抜いて一人前と認められ、教えを説く側に立った方が和尚です。なお、和尚は宗派によって呼び方が変わりますので、この言葉を使う際には気をつけなければなりません。
・坊主(ぼうず)
坊主の呼び名は、家の主を指していた「房主(ぼうしゆ)」が語源となっています。やがて房主は、お坊さん達の中の長(おさ)を示す主僧(しゆそう)と呼ばれるようになっていき、時間を経て坊主と呼ばれるようになりました。
また、「坊」は四町四方の略称で、区画された街を示す言葉です。しかしながら時代とともに、大きな寺院に属する末寺を示す意味としても使用されるようになっていきます。つまり、それぞれの寺院に属しているトップの僧侶が「一坊の主人」と呼ばれるようになり、省略されて坊主という言葉が誕生したと伝えられています。
この説によれば、坊主は「偉いお坊さん」といった意味になりますが、現代ではお坊さんに対し「坊主」という言葉を使ってお呼びすることはありません。むしろ現代では、自身のご子息や小さな男の子、髪を短くカットしている方に親しみを込めて呼ぶ場合がほとんどです。このように、言葉の表現によってさまざまな意味が含まれているものの、総称で親しみを込め表現されている名前が「お坊さん」なのです。
寺院にそのまま住み込み、寺院の維持や運営、管理を行う方は住職と呼ばれています。住職は一つの寺院に一人だけで、一番上に位置する方です。つまり一般企業で例えれば、取締役のような立場の方と考えて相違ありません。
また、次の地位のお坊さんは副住職と呼ばれています。なお、住職が和尚と呼ばれることもありますが、その方が寺院に住まれていない場合、住職とお呼びするのは誤りです。
なお、一人前と認められた和尚さんは、全ての宗派で同じように呼ばれるわけではありません。ここからは、宗派による和尚さんの呼び方を確認していきます。
天台宗のお坊さんは、和尚(おしょう/かしょう)さまと呼びます。また、法印(ほういん)さまとお呼びしても構いません。
真言宗のお坊さんは、和尚(わじょう)さまと呼びます。また、厳しい修行を経た高僧は、阿闍梨(あじゃり)さまとも呼びます。ただし一般の方からしてみれば、どちらも聞き慣れない言葉と感じることが多いでしょう。したがって、お名前に「さま」とつけてお呼びしても失礼にはあたりません。
浄土宗のお坊さんは基本的に和尚(おしょう)さま、高僧の方は御前(ごぜん)さまです。一般的には和尚さまでも問題ありません。
禅宗のお坊さんは基本的に和尚さま、または方丈(ほうじょう)さまと呼びます。呼び方はどちらでも構いませんが、禅宗では方丈さまと呼ぶ方が一般的とされる場合が多いようです。
浄土真宗のお坊さんは、御院主(ごいんじゅ)さま、院主(いんじゅ)さまと呼びます。また、「ごえんさま」と呼ばれることもありますが、慣れ親しみのあるご住職(じゅうしょく)さまでも構いません。ただし、浄土真宗では「和尚」という言葉は使いませんのでご注意ください。
日蓮宗のお坊さんは、お上人(おしょうにん)さまと呼ぶのが一般的です。また、お坊さんご本人がご住職だと分かっている場合は、ご住職さまでも構いません。
お坊さんにはさまざまな呼び方や、それぞれに意味があります。一般的には「僧侶さま」、もしくは寺院の名前にそのまま敬称をつけて「〇〇寺さま」とお呼びすれば間違いありません。呼び方の名前に込められた意味を理解すれば、今後も失礼のない対応をとることができるでしょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。