2024-01-26
仏教には初七日や四十九日、一周忌などさまざまな法事が存在します。基本的には「3」と「7」の数字が絡む節目に行うのが一般的で、三十三回忌や五十回忌をもって弔い上げとする方が多いです。
今回は、そんな数ある法事のひとつである「三回忌法要」をご紹介します。三回忌法要における施主の決め方、当日の流れ、気をつけるべきマナーについて解説していきますので、それぞれのポイントを押さえて参列してみてください。
法要(追善供養)とは、故人様のご冥福を祈り、ご供養するために執り行われる仏教の儀式です。追善供養は7日毎に行う「中陰法要」と、故人様の命日に合わせて執り行う「年忌法要」の2種類に分類されます。
三回忌法要は、年忌法要の一つです。故人様が亡くなった1年後の命日に一周忌法要が執り行われますが、三回忌法要は一周忌法要の翌年に行われます。つまり、故人様が亡くなった2年後(翌々年)の命日に執り行われるのが、三回忌法要なのです。
三回忌法要は、故人様のご家族を中心に、故人様の子・親・兄弟姉妹(各家族も含む)などの近しいご親族の間で営まれます。なお、近年では三回忌法要を行わず、家族だけで静かにご供養する形も増えてきているようです。
三回忌法要はちょうど2年後に行われますが、なぜ三回忌と称されているのでしょうか。それは、仏式の考え方から由来しています。亡くなった日を初回の忌日としているため、1年目の一周忌を経た2年目の法要が、三回忌という数え方になるのです。
年忌法要は、故人様の祥月命日かつ決められた年に執り行うのが基本です。なお、三回忌以降に行う法要のタイミングとしては、回忌数から1年を差し引いた数と覚えておけば、分かりやすいでしょう。
法要 | 計算方法 | 年数 |
---|---|---|
三回忌 | 3-1 | 2年後 |
七回忌 | 7-1 | 6年後 |
十三回忌 | 13-1 | 12年後 |
十七回忌 | 17-1 | 16年後 |
二十三回忌 | 23-1 | 22年後 |
二十七回忌 | 27-1 | 26年後 |
三十三回忌 | 33-1 | 32年後 |
年忌法要は三十三回忌まで行うのが一般的ですが、三十七回忌・四十三回忌・四十七回忌・五十回忌・百回忌と続けられる地域もあります。なお、最後になる年忌法要では弔い上げを行い、お寺へ位牌のお焚き上げと永代供養をお願いする手続きを取ります。
基本的に、ご葬儀で喪主を務めた方が三回忌法要の施主を務めます。しかし、喪主の高齢化や体調不良などの理由で同じ方が施主を務められないケースも少なくありません。
そのような場合は、喪主に次いで故人様と関係の深い子どもやその家の当主など、故人様と血縁関係の近い方が施主を務めるのが一般的です。ご遺族間でよく話し合われ、決められるのが良いでしょう。
施主は法事全般を取り仕切る役割を担っており、事前準備から費用負担、当日の挨拶、後日の香典返しなど行わなければならないことがたくさんあります。状況に応じて話し合い、最後までやり遂げられる方にお願いしましょう。
三回忌法要に限らず、法要の流れはさまざまです。特に地方や宗派によっては順番が異なったり、行うことが違ったりする場合もあります。しかし、大まかな流れは以下のとおりで、極端に変わるということはありません。
僧侶が入場するまでの間に、参列者は着席しておくようにしましょう。開催場所がご自宅の場合は、施主はお仏壇の前に僧侶が座るための座布団を用意します。ただし寺院などで執り行う場合、用意する必要はありません。
僧侶が着席したら、施主からの挨拶を行います。参列者へのお礼と三回忌法要を執り行う旨を手短に伝えましょう。たとえば、以下のような挨拶が一般的です。
〈挨拶の例〉
本日はお忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。私、本日の施主を務めさせていただきます〇〇でございます。これより◯◯(名前)の三回忌法要を執り行います。本日は法要から会食まで、お付き合いのほど、よろしくおねがいいたします。
雨天の場合は、「お足元の悪い中」を付け加えるほか、最後に当日の流れを付け加えるケースも少なくありません。当日の流れを加える場合は、「法要後はお食事の席も用意しておりますので、長い時間にはなりますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします」のように簡単な案内で問題ありません。
施主からの挨拶が終わったら、僧侶による読経が始まります。読経は15分ほどで、読経が始まってしばらくすると焼香が始まりますので、順番が回ってきたら焼香を行いましょう。
・焼香の作法
①施主に一礼してから焼香台の手前まで進み、ご本尊と遺影に向かって合掌礼拝します。
②右手で抹香をつまみ、額におしいただきます。
③抹香を香炉にくべます。
④再度、ご本尊遺影に向かって合掌礼拝しましょう。
お焼香の仕方は宗派によって回数など若干の違いがあります。事前に参列する法要の宗派を把握し、焼香の仕方を調べておきましょう。どうしても分からないという場合は、自身の宗派の方法で焼香を行っても問題ないとされています。大切なのは故人様のご冥福をお祈りする気持ちだからです。
【関連記事】ご葬儀における焼香の作法とマナー。宗派ごとの作法や回数の違いとは?
読経と焼香が終わったら、僧侶からの法話があります。長年付き合いのある菩提寺の僧侶であれば、故人様との思い出話をしてくださることも少なくありません。
法話の時間は5分ほどが一般的です。しかし、宗派や菩提寺との関係性によっては多少長引く場合もあります。
法話が終われば僧侶は退場しますが、お布施はこのタイミングで渡すのが良いでしょう。また、必要に応じて御車代や御膳料なども渡しましょう。
僧侶が退場した後は、再度施主からの挨拶が始まります。こちらも開始前の挨拶同様、手短に終わらせるようにしましょう。挨拶の内容は、以下のように「参列者へのお礼」「三回忌法要を滞りなく終えることができた旨」「会食への案内」が一般的です。
〈挨拶の例〉
◯◯寺(寺院の名前)様、ありがとうございました。本日お集まりいただいた皆様には心より御礼申し上げます。この後は◯◯(会食の場所)にてお食事の席をご用意しておりますので、亡き母の思い出話などをお聞かせください。それではご移動のほどよろしくお願いいたします。
食事会場に向かうバスやタクシーを用意している場合、移動手段の案内も一緒に行います。会食がない場合、「御礼の品を用意しておりますので、恐縮ではありますが、お受け取りいただきたくお願いいたします」のような文言を加えてください。
三回忌の法要後は「お斎(おとき)」と呼ばれる会食へと移ります。参列者への感謝を表す場なので、施主は下座に座り、参列者を案内します。
会食の食事は本来「精進料理」を提供するものですが、近年では寺院で仕出し弁当を用意する、あるいは斎場のレストランを利用するなど形態はさまざまです。
予算は会場の規模によって変わってきますが、おおよそ3,000〜10,000円とされています。また、会食においても開始時と終了時に施主から挨拶がなされます。
〈挨拶の例〉
本日は◯◯(故人様のお名前)の三回忌法要に参列していただきありがとうございました。ささやかですがお食事の用意をさせていただきました。皆様とともに◯◯を忍びながらお食事を召し上がっていただければと思います。
また、施主は食事の前に乾杯の音頭も取りますが、これは挨拶の後に「献杯」と一言添えるだけで問題ありません。献杯の際はグラス同士を打ち鳴らすことはせず、軽く掲げるだけにしましょう。唱和の際も大きな声ではなく、静かに唱和するのがマナーです。また、終了時は以下のような挨拶で締めくくります。
〈挨拶の例〉
本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。皆様にお集まりいただいて、◯◯も大変喜んでいることと思います。まだ話し足りないところではありますが、時間となりましたのでここでお開きとさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。
参列者への感謝の気持ちを述べ、解散する旨を簡潔に伝えましょう。
三回忌法要では、さまざまな準備が必要となります。というのも、三回忌法要までは比較的多くの方に集まっていただくこともあるほか、会場を選んだり参列していただく方々に案内状を送ったりするなど、計画的に進めておかなくてはいけないことがたくさんあります。
以下では、三回忌法要の際に必要となる準備を大まかにまとめましたので、ご参照ください。
菩提寺をお持ちの方は、まずは菩提寺に連絡を入れます。お越しいただく寺院や僧侶と相談をして三回忌法要の日時と会場を決めます。
なお、ご自宅以外で法要を執り行う場合には空き状況も関係しますので注意が必要です。特にお彼岸やお盆の時期と法要が重なる場合、会場をなかなか押さえられないこともあり得ます。そのため、余裕をもって法要の日時や会場を決めるようにしましょう。
また、菩提寺がない場合は、葬儀会社や僧侶手配サービスなどを利用しましょう。三回忌法要に間に合わないといったトラブルを避けるためにも、二か月ほど前から手配しておくことをおすすめします。
寺院やご自宅などのように、法要と同じ場所で会食をするようであれば、仕出し業者などに予約をしましょう。寺院で会食をする場合、寺院指定の仕出し業者があることもありますので、事前の確認が必要になります。
法要を執り行う場所と異なる場所で会食をするようであれば、料理店などに予約をしておきましょう。
ただし、必ずしも会食の席を設けなくてはいけないということではなく、ご家族数名で法要を執り行うようであれば省略されることもあります。なお、会食をしない場合、法要にご参列いただいた方々にお礼としてカタログギフト・ギフトカード・食事券などをお渡しすることもあります。
三回忌法要の日時や会場が決まったら、その日時と会場_を案内状に記載して参列者にお送りしましょう。その際、参列の可否を把握するためにも、返信用はがきを入れておくようにしておきます。
もし法要に招く方が近しいご親族のみと少ないようであれば、電話での案内でも良いとされていますが、仕事をされているなどの理由からなかなか電話がつながらないことも十分考えられますので注意しましょう。
三回忌法要では参列者の方々が香典を持参されるのが一般的ですので、返礼品の準備をしておかなくてはいけません。そのため、返信用はがきが戻り人数が確定したら、参列者の人数分の返礼品を手配しましょう。
返礼品の内容としては、お茶・海苔・石けんなどの「消え物」が良いとされています。また、返礼品の相場としては、受け取った香典の1/2~1/3程度が一般的とされています。
また、返礼品には必ず「掛け紙」をつけるようにしましょう。水引は白黒や銀の結び切りを選びます。表書きは「志」と記載するケースが一般的ですが、地方によって異なり、関西圏では「粗供養」と記載する場合が多いです。
三回忌法要においても、さまざまなマナーが存在します。この項目では「服装」「お供え物」「香典」「香典返し」「お布施」それぞれのマナーについて解説していきます。
三回忌までは「略喪服」で参列するのが一般的なマナーです。こちらは施主・参列者どちらの立場であっても変わりありません。
男性であればブラック・グレー・濃紺のスーツ、女性であれば黒・グレー・紺のワンピースやアンサンブル、セットアップスーツなどがそれにあたります。一方お子さんの場合、就学児であれば学校制服、未就学児であれば色味の落ち着いた洋服を選べば問題ありません。
基本的には他の年忌法要と同様に「消え物」が良いとされており、定番の商品として「ろうそく・線香」「お花」「くだもの」などが挙げられます。注意するポイントは、「殺生を連想させるものは選ばないこと」です。相場は10,000〜30,000円で、故人様との関係性によって金額は前後します。
また、勝手にお供えする行為はマナー違反であり、「御仏前にお供えください」と施主に一言添えてお供え物を渡す必要があります。また、渡すタイミングは法要の前がマナーなので、紙袋から出し、熨斗が施主に見えるように準備しておきましょう。
三回忌法要における香典の相場は、親族の場合は10,000〜50,000円、親族以外の場合は5,000〜10,000円とされています。金額を決める際は、「割り切れる数字」「4と9」を避けるようにしましょう。
「割り切れる数字」は、縁が切れるという意味を連想させ縁起が悪いとされています。また、「4」と「9」は「死」「苦しむ」などのネガティブな言葉を連想させるため、これらも注意が必要です。
香典返しは「消え物」が良いとされています。定番の商品は「お菓子」「飲み物」「洗剤」「タオル」などです。また、最近ではカタログギフトを贈る方も増えてきました。
香典返しの相場は「半返し」が基本のため、当日は3,000〜5,000円の香典返しを渡しましょう。もし用意できない場合、後日郵送という形で対応するのが無難です。
また、香典返しを送る際はお礼状を添えることも忘れてはいけません。「香典のお礼」「三回忌法要を無事執り行うことができた旨」を記載するほか、長文にならないよう注意しましょう。
宗派によってお布施の金額はそれぞれ異なりますが、おおよその相場は3 0,000〜50,000円とされています。また、場合によっては「御車代」や「御膳料」なども包む必要があります。
お布施の金額を決めるのが不安な場合は、菩提寺の僧侶に直接聞くのが良いでしょう。菩提寺によってはおおよその目安が決められているからです。
したがって、「皆さんはいかほどお包みでしょうか?」と伺えば、相応の答えをいただけるでしょう。ただしお相手によっては「お気持ちで」などと、回答を濁されてしまうことも考えられます。その際は、地域の年長者、もしくはご親戚の方に伺いを立ててみるのもおすすめです。
故人様が亡くなられてから満2年ともなれば、故人様との思い出を語り合いたいというご親族やご友人・知人も多いはずです。法要を執り行うにあたっては、準備をすることがたくさんありますので、参列していただいた方々と思い出を共有し故人様の供養を滞りなく行うためにも、余裕をもって早めに各準備をしておきましょう。
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