2020-04-03
春は花粉症の季節。つらい症状に頭を悩ませていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。そんな花粉症の人にとってマスクは必需品であり、街中でマスク姿の人を見かけても何も違和感を覚えることはありません。
それでは、お通夜式やご葬儀・告別式においてマスクをして会葬するのはどうでしょうか。弔事の場におけるマスク姿はマナー違反のような気もしますが、かといって体調管理のためのマスクが失礼にあたるとは思えない気もします。
そこで今回は、マスクでご葬儀に会葬するのはマナー違反なのかを解説するとともに、体調不良の場合や喪主、妊婦のマナーや注意点についてご紹介します。
結論から申しますと、花粉症の症状がつらい人や体調不良の人が、マスクを着用してお通夜式やご葬儀・告別式に会葬することはマナー違反にあたりません。
これは、マスクを着用しないことで花粉症や風邪の症状が会葬中に悪化してしまう事態を避けるだけでなく、他の会葬者にうつさないためです。ご葬儀には様々な年代の人が集まります。特に免疫力の低い子どもや高齢者もいらっしゃるご葬儀において、マスクを着用して感染拡大を防ぎ周りに配慮することは大切です。
ただし、あまりに体調が悪い場合は会葬の見合わせも検討しましょう。無理を押すと会葬中に体調が悪化して周囲に心配を掛ける可能性が出てきますし、何より他の会葬者にうつしてしまうことも考えられます。体調不良を押して会葬する時は、ご自分の身体とよく相談して決めましょう。
喪主がご葬儀の際に花粉症に悩まされていたり、体調不良で咳やくしゃみなどの症状が出ていたりすることもあるでしょう。喪主はご葬儀の幹事でありいわば最高責任者です。そんな他の会葬者とは立場を画す喪主が、ご葬儀にマスクを着用するのはマナー違反になるのでしょうか。
先述したように、マスクの着用は会葬中の体調の悪化を防ぎ、他の方に病気を移さないよう配慮する側面があることからマナー違反にはなりません。これは喪主に関しても同様です。
ただし、ご葬儀の責任者である喪主のマスク姿は、どうしても違和感を持たれやすいのも確かです。少人数のごく限られたお身内だけのご葬儀ならば、理解も得られやすくそれほどでもありませんが、規模の大きなご葬儀となるとマスクをしている背景がきちんと伝わらずに、違和感を持たれる可能性があります。そのため、咳やくしゃみ、鼻水が特に酷い場合のみマスクを着用して、体調と状況に合わせて臨機応変にご葬儀に臨むようにしましょう。
かつては妊婦がご葬儀に会葬することを避ける傾向がありましたが、昨今では体調が許すならば妊婦の会葬も珍しいことではなくなりました。妊婦はお腹の子や母体を病気やインフルエンザなどから守るためにもマスクが必要ですから、マナー違反になりません。
ただし、ご葬儀は長丁場であり精神的・肉体的にも負担が多いですから、ご自身の体調とよく相談をして無理をしないよう慎重に会葬を検討しましょう。
マスクをしてご葬儀に会葬することはマナー違反ではないと述べてきましたが、ご葬儀の場面によってはマスクを外した方が望ましい場合があります。それは、人と人が対面するタイミングです。具体的にどのような場面がそれにあたるのか、以下にまとめましたので、ご参照ください。
お焼香をする際は、会葬者とご遺族が対面することになります。この時にマスクを着けたままでお焼香をしてしまうと、マスクで半分顔が隠れた状態で、一体誰がお焼香をしているのかご遺族が分からなくなってしまいます。
そのため、自分のお焼香の順番が近づいてきたらマスクを取り、お焼香が済んでご遺族に再度頭を下げて自席に戻ったら、マスクを着け直すようにしましょう。その際、一時的にマスクをあごの下にずり下げ引っ掛けるようにマスクを外すのはマナー違反です。中途半端に外すのではなく、耳に掛けたゴムを外して、きちんとマスクを取り外してしまうようにします。
受付の担当をする際もマスクを外すのがマナーになります。受付は会葬者がご葬儀会場に到着して、はじめに立ち寄りお悔やみの言葉を述べる大切な場所です。マスクを着けたままで受付に立ってしまうと、顔が半分隠れている上に相手に言葉が聞き取りにくく、失礼だと受け取られかねません。
もしも咳や鼻水、くしゃみなどの症状が酷く相手に不快感を与えるほどの状態ならば、エチケットに配慮して受付の担当を他の方に交代してもらいましょう。万が一、交代できる人がいない時には、ご遺族にマスクを着けたままで受付に立ってもよいかを相談し、ご遺族から了解を得るようにしましょう。マスク姿の理由を述べて、ご遺族からの了解を得た上で受付に立つことは失礼にあたりません。
今回はマスクでご葬儀に会葬するのはマナー違反なのかについて解説して参りました。
お通夜式やご葬儀・告別式においてマスクを着用して会葬することは、エチケットや体調管理の側面からマナー違反ではありませんが、ご葬儀における立場や役割によって臨機応変にマスクの付け外しを判断することが求められます。
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